正月のもう一言

利孟
トラックのはづめばこぼれ幌の雪
天井の裏も盛んに嫁が君
半生の手艶の茶筒福沸し
乱れ無く髪を梳き上げお初釜
餅三つで足りる二人の雑煮かな
比呂
猪狩りや言葉少なき杣仲間
杣と仙似てるけど違いますから
篝火の絶え間漆黒除夜詣
平家村雪に埋もるる由緒書
生くる枷の一つや二つ嫁が君
上中の措辞に嫁が君が響くかというと?、使える措辞ですね
初御空蒼海のごと晴れ渡る
蒼天て言葉もあるくらいだから、わざわざ海で例えなくてもと思うんですけど
敬子
狐棲む民話の里の仏の座
ポケットに句帳ひとつや小正月
金星の明るき宵や初湯殿
遥けしや平成に生き嫁が君
水仙や医師の笑顔に我も笑む
聖子
剥き出しの梁の黒艶嫁が君
オーソドックスな出来た句ですが
久々の母と語らふ初湯かな
一斉に天井走る嫁が君
ちょっとネズミ御殿じゃ無いの?
雪の朝足跡辿りつき進む
突き進むって辿るとは逆の動きでしょう
行き先を迷ふごと降り深雪かな
ミヨ
茶釜の火絶やさぬ古刹去年今年
古峰神社ね、なんていうんでしょうね古刹じゃなくて
横たはる筑波山も加波山も初茜
羽織の紐解く真打ちの初笑ひ
古ピアノの音に聡耳の嫁が君
青木の実朱をもて飾る神の杜
信子
もの溢る世の何漁り嫁が君
目薬を一注してより初化粧
透析へ向ふ門開け二日はや
析と柝とは違います、点睛なんて話ではありません
初明り出窓に淡き花の鉢
珈琲の香や初売りの地階より
美恵子
七草粥ひと匙毎の野の香り
初雪や国道の街静かなり
昼休みつららの雫やつと落つ
俳句はまだ溶けないな、ようやく溶け出したという時間経過を詠うのではなく、ほら雫が落ち出したという今を詠う詩なのです
ストーブに集うまつ毛の白き人
集うという穏やかさではないでしょうね、まつ毛が凍る寒さなら、季語が二つになるのはどうかとは思いますが、白髪のまつ毛と間違えるよりは良いとせねばなりません
初詣五列で並び階上がる
良人
柏手に願いの込もる初詣
寂として日光連山初日受く
背を押され石段昇る初詣
平かな八溝山を越えて初日差す
新居には宿る場所なし嫁が君
嫁いびりみたい
昭雄
大皿を小鉢の囲む初座敷
初座敷て芸妓の新年のお座敷みたいな意味ではと思うのだが?
三宝に隠れて覗く嫁が君
子供達寝つきて嫁が君静か
嫁が君というのと閨事とは微妙に響いている句が多いのです、その期待に応えていません
嫁が君きりりと見せる氏素性
氏素性?がネズミに?
初句会背筋の伸びる奥座敷
木瓜
初場所や髭のジョージア和丁髷
和丁髷があれば洋丁髷は?となる、そんな言い方は無いんで・・「髭」はくちひげ、「鬚」はあごひげ、「髯」はほおひげ、で栃の心のはほほひげでくくれるだろう
身不知の扉開ける初句会
嫁が君頂く餅に白歯たて
白歯なんて言葉が使われることがあるのかね?
煮凝りに塗り箸使ふ指さばき
大寒や背骨の接手はめ治す
巴人
射干玉の三和土覗ふ嫁が君
覗くで「うかがう」のルビは勝手にすぎる、三和土というのは素材ですから
初市やシャンシャン手〆一斗缶
てのひらのくれなゐ初詣の息
破調が面白いけど、くれないまではちょっと
雲高く初東雲やビルいくつ
幣祓ひ神に抱れて初明り
多分そんな気分なのかもしれないけどよく分からない
青樹
御利益を祈る柏手初明かり
猫まんま盗み食いかよ嫁が君
猫まんまてのは飯に味噌汁掛けたようなものをいうのでは?
福だるま抱えて帰る初の市
初の市てのは無いでしょう、福だるまも新年の季語ですがまあこの程度の添削で
初売りの店内に聞く早春譜
唄の歌詞に頼られても困るんだ
去年より少し大きな達磨買い
清泉
初釜に新しき衣袖とおす
衣なんて言いかた今時しないでしょう
倉庫内今は少なき初荷札
季語を増やしてしまっているけど、今は少なきという時間をいうことはしない
御仏を今だ見づして初日の出
文字遣いは直したが、御仏がなぜ出てくるのかは分かりません
することもなくごろごろと嫁が君
こうなると家では句を披露出来ませんね