2月のもう一言

利孟
大きめに上る制服春立つ日
菓子箪笥に納める干菓子春まだき
梅開く天神様とよぶ祠
高貴なる血の色の月睦月尽
今度の月食はスーパーブルーブラッドムーンと言われましたが、ブルーブラッドって高貴な血筋のことです
雲水の焚く破れ草鞋寒明ける
比呂
埋め置きし葱立ち上がる日和かな
名ばかりの女人結界野梅咲く
有り無しの風芳しき牡丹の芽
寒明けや漫ろ歩きに菓子屋まで
どんど火や村に小さき消防車
信子
夕餉の菜洗ふ水音寒の明け
就寝に点す豆球梅月夜
寒明けのまだ空事の空の青
何処までの林暗夜の梅の花
パンダ舎に人人人や寒明けて
ミヨ
間伐の樵り積む音や寒明ける
探梅や尊徳堀の堰とどろ
銅山の辺の寸土あまさぬ赤かぶら
蕪が山積みだったってわけもなかろうし
土割って光まぶしき野水仙
土割ってって福寿草なんかだとわかるんだけど水仙の花となるとね
室花や古マジョリカの壺さやに
昭雄
文豪の墨跡香る梅の寺
墨っていうと古梅園の梅花墨ってくらい梅とついてはいますね
大地震の地にも人にも梅真白
まあ、こういうのは一応取っておきます
百段の終りは社殿梅開く
鳶一つあげて里山寒明くる
寒明けの馬場に乱れし蹄跡
良人
筑波嶺の裾野を埋める梅林
毎回筑波山をぐるりと回り込んで宇都宮にくるのですが、そんなにびっしり梅で埋まってはいないですよ
寒明けの風に誘はれ山路行く
寒明けの夕日に染まる茜雲
やはらかき風運び来る梅の香
香を「か」と読むか「こう」と読むかで意味が違ってくる、音数が足りないからとルビで無理に読ませても意味が違ってはいけません
やはらかき日を浴び香る梅一樹
巴人
盆梅の手入れ昼の酒少々
緋の袴梅が枝手折る白い指
梅を手折るに暗喩があるなら、緋袴ではいかんでしょう
妖精の降る空しずかな寒の明
観念的なで分かったような気にさせるがわからない句
梅花節万歳三唱背筋伸ブ
伸ブとカタカナにする意味はないね、背筋伸びるが余分です
東北線の窓梅どころどころ
東北線のところどころに梅が咲いてるというのは、あまりにも範囲が広すぎませんか?
青樹
捨て置かる老木なれど梅真白
山鳩の鳴く声響く寒明けて
梅の香にふと佇めば昼の月
ふと佇めばは全くいらないフレーズ、俳句はふと気づく文学かも
寒明けてなほ霜柱重ね立つ
実際にはそういうことは通常なのだが、俳句では季が違うといって溜です
犬吠の霧笛響けり寒明けて
霧笛ってのは霧の傍題で秋なんです
清泉
梅香り子らと手つなぐ帰り道
コンビニも花やぐチョコと恵方巻
どうやら恵方巻は季語性を帯びつつあるようです
川堤超えて香りぬ梅の花
本命のチョコ選ぶ瞳は輝けり
どうして本命チョコを選んでるってのが分かるの?ってのが一番の弱点なんです
蒼き空輝かせたり屋根の雪
敬子
人住まぬ故郷となり寒椿
生き方は人それぞれや梅蕾
梅の花犬を待たせて立話
遠回りして紅梅を確かめる
何でも確かめられそうですね
やはらかき土の弾みに梅の花
美恵子
スキップのランドセルの列寒明ける
ランドセルを背負った子供が音を合わせてスキップをしてるのは異様では?
陽の当たる窓より今かと梅の花
日向ぼこ畳より逃げし陽を追いて
梅の花熊本野菜の若き色
寒明けや雀の燥ぐ瓦屋根
聖子
抗いし父に幾たび寒紅梅
寒明けやリズム奏でる軒雫
リズム奏でるをもっと具体的に
未婚同士の利き酒の会寒明くる
そういうのもあるんだろうね、呑兵衛夫婦が出来上がるってことかな?
つぎはぎの縄文土器や梅の花
組合のビラ配らるる寒明けて
木瓜
梅の花に力がこもっているのは理解に苦しむ、儚いものの象徴みたいな花ですから
力込む向きはあちこち梅の花
襟と襟先は違うんよ、そっとなんて使わずに句は作りたいね
春めくやそっと襟先立てにけり
春の海静かに波の歩み寄る
寒明けや小指先まで伸ばしけり
なんのゴールかあまりにも漠然としすぎてるな
のんびりとゴール目指して二月尽