4月のもう一言

利孟
龍と化す形に捩れ五月鯉
面壁の背に忍び寄る五月闇
風船師お代頂戴してやをら
闇に香を満たして白き牡丹かな
仲良きは美しきかな四十雀
比呂
べか船の薄き底板夏めける
神鶏の羽脱けて漫ろ歩きかな
雪形の兎耳失せ跳ねにけり
朝風や尾を小付き合ふ鯉のぼり
渺々と続く樹海や五月闇
ミヨ
春寒や納屋の奥なる馬具農具
窯どころ一日休みぬ鯉のぼり
囀りや明けの守衛のエポレット
煉瓦窯焚き口塞ぐ五月闇
観音山下る手種の蓬かな
美恵子
桜鯛細波のごと陽を集め
リハビリの手摺り冷たき五月闇
学ランの裾上げ糸切る鯉のぼり
せせらぎや空いつぱいの鯉のぼり
鯉のぼり尾を潜り抜け青菜採る
信子
五月闇茅葺母屋の深庇
耀ふて鬼怒川蛇行吹流し
耀ふ」は「て」につながるつきは「耀ひ+て」です、覚えましょう
畑打を終ふ吾に地に地に星の数
畑打ちは春だね
春宵の歌劇カーテンコールなほ
日を均し関東平野鯉のぼり
青樹
五月闇ほとめきの風雨を呼ぶ
五月闇座敷わらしに出会えるか
五月闇蒸気機関車突き抜かば
耽猫の騒ぎ落ち着き五月闇
大空を見上げゆうらり鯉のぼり
大空といえばこれまた見上げてるんですから・・
良人
風覆ふ杉の並木や五月闇
みちのくの田中の家々鯉幟
風凪ぎて竿に寄り添ふ鯉幟
川岸に並ぶ家々鯉幟
ビル風に順風満帆鯉幟
木瓜
降りてなほ口を閉ざさず鯉のぼり
伸びやかに風の吹くまま鯉のぼり
てのひらに若葉の匂ひ柏餅
野良猫の冷眼光る五月闇
春秋やほっとひと息ゴッホの絵
巴塵
那須連山裾に一竿鯉幟
五月闇椎の落葉の音一つ
五月闇巫女の姿のかすかなり
見あげればベランダにある鯉幟
ベランダといえば見上げてるんです
鯉幟負けずに泳げ青い空
聖子
鯉のぼり泣く子に高い高いかな
五月闇線絡む程の長話し
畦道や水澄む村の五月闇
水澄は秋
生き物の如く尾の跳ね鯉のぼり
国道の一斉点灯五月闇
敬子
かがやける空の青さや鯉のぼり
蔵町に馴じみし異人夏きざす
梅ふふむ宮に古刹の六地蔵
確かに神宮寺とか寺と神社が共存するところもあるけれど
農道を四方に走る夕焼雲
人生の紆余曲折や花水木
昭雄
長男でしかも末っ子武具飾る
筒鳥の遠鳴きつづく五月闇
筒鳥・五月闇
五月闇赤灯にじむ駐在所
五月闇けふも夜干しの剣道着
より高く爺の気骨の鯉幟