8月のもう一言

利孟
聞き慣れぬ鳴き声の湧き小鳥来る
花火会の窓に卓向けレストラン
Tシヤツのゆるむ襟元秋立てり
磯揚げの舟におく砂土用波
銀漢や赤灯台を揺るうねり
ミヨ
鳥渡る霊山拝す女人堂
鶴嘴の相うつ谺小鳥来る
秋近し染抜き紋の箪笥かけ
お輿入れですかね
筒鳥鳴く杉の重たき陰の中
三斗小屋寝ること惜しむ天の川
三斗小屋は前書きにすることですね
比呂
組み上ぐる太き棟木や小鳥来る
聞香会(もんこうえ)金蕊(しべ)立つる白蓮(はちす)
背を撫づる仕種も介護軒風鈴
カンナ炎ゆ与謝野晶子の濃き眉根
転輪蔵(てんりんぞう)の扉の半開き天の川
良人
尾根を越え里わ近くに小鳥来る
里わ」というのは里のあたり」のことだから、近く」は付けられないでしょう
山宿の夜は谷音銀河澄む
那須山の彼方へ流る天の川
廃校の桜並木に小鳥来る
天の川草津白根山の空に濃し
聖子
露天湯の裸電球夏の月
川風や寝そべり仰ぐ天の川
寝転ぶ、寝そべるちょっと意味合いが違うようです
山の牧跳ぬる牛の仔小鳥来る
妹と流す母の背天の川
露天湯で母と娘が仲良くですね
昼休み中の電気点検小鳥来る
昭雄
源流は鬼怒山頂や天の川
赤松の薪積む窯場小鳥来る
バロックの流るる窯場小鳥来る
特殊でしょうね、酒やら茸でもやるようですけど
天の川こんな夜更けにベルが鳴る
駐在所か?
老犬に蚊取り線香焚いてやる
それだけ?
信子
祭笛かつてこの地に練兵場
祭り笛はお祭りの神社か、山車の動く遠藤か、練兵場ていう広場ではない
一汗てふ心地良き汗働ひて
一歩一歩夫の回復小鳥来る
断捨離に迷ふ愛着夜の秋
吾に子にここは故郷星今宵
なんか、子連れで実家に逃げ帰ったみたいな風にも読めるけど
巴人
せまき庭仔虫啄ばむ小鳥来る
小夜嵐波のしぶきや天の川
三句切れですね
わらぶきの庇にかかる天の川
小鳥来て小首かしげる小枝かな
努力賞
ねがひ事すくなくなりぬ天の川
こんなこと言って面白い?
美恵子
緑葉に紅い実一つ小鳥来る
鞘剥けば箕一つなり小鳥来る
野草咲く亡父の庭先小鳥来る
紅一点レンズで追いし銀河かな
星女が撮影会に参加してる?、別にそれが意味あるとは思えませんが
木瓜
秋の空飛行機雲の二本線
白桃の爪立てて皮さつと剥く
秋来れ真つ赤な酷暑払いのけ
朱夏と言いますわな
三人で杯交わす所(とこ)小鳥来る
静けさや宙に瞬く天の川
宙以外には無いでしょう
敬子
千日紅卒寿乙女のここにあり
小鳥来る英語教室ひと休み
欠席者少なき会議雲の峰
会議というのと、寄り合いというのでは違いますでしょう、あまり欠席は多くないものです
リハビリの民謡音頭小鳥来る
天の川卒寿の現世夢のごと
青樹
朔の空二つに分ける天の川
朔日は新月ですから理屈も合ってますね
バイト終え銀河に母を想いつつ
メンバーが分かってるから、こういう句はシチュエーションとして現実感が無いでしょう
小鳥鳴く声に一(ひと)日の始まれり
小鳥来るツグミの群れの早々と
ツグミは小鳥来るの中身でしょう
急ぐ帰路共に歩むや天の川
何を急いでいるのかが感じられないです
雅枝
「西郷どん」を読破せし朝小鳥くる
読破というのは、大部、難解の書を読み終えることで、通俗小説などには言わないでしょう
電光につぐ雷鳴は遠慮なく
当たり前を詠んでも写実とは言いません
ダックスフンドばあばとお留守居夏休み
犬とおばあちゃんが留守番なんですね、子供夫婦と孫は旅行?
ふた星は今宵逢ふらし空仰ぐ
星と言えば「空を見ている」のだから、空仰ぐは入らないのです、「ふた星」が逢うから「星合い」とはいかんでしょうね、季語をあまり崩さないことです
夕立や泣いて止むさま嬰のごと
俳句は「ごとし」の発見なんだが、新しい発見で無ければ俳句にはならない
英郷
孫娘(まご)いだき共に探すは天の川
孫娘で「まご」と読ませちゃまるで演歌だね
うだる日の小鳥来る夕(ゆう)いとほしき
うだる日という季節感と、小鳥来るはちと違うようで、愛おしいなどと自分で言ってしまうとそれで完結してしまいます
天の川銀河鉄道スリーナイン
おざなり、せめてメーテルがどうとか無いとね
孫もまた天の川てふ夢みむぞ
これだけ直截に「孫」なんて言われては
汗だくに小鳥来るらむ空郡青(ぐじょう)
小鳥も汗だくだというのでしょうか?グジョウといえば、盆踊りの郡上八幡です、勝手にルビを振ってはいけません