12月のもう一言

利孟
おつもりとおでんの汁をひと啜り
蝋梅の一輪一樹を薫らせて
初霜や軍鶏は脚上げ身じろがず
山眠る湯釜の蒼を抱き残し
落書きの金のスプレークリスマス
ミヨ
観音堂寒灯一つ消さでをく
峠口鎖二重に山眠る
板戸絵の志功旧居やすがれ虫
二次会や路地の奥なるおでんの灯
大津絵や木彫の鬼の冬ざるる
大津絵では鬼の寒念仏という題材があるから、木彫りの鬼が?
聖子
舎に並ぶ牛のあくびや山眠る
牛舎とか、舎ではあるが単独ではどうかな、
長雨に崩れし岩場山眠る
夕飯に昨夜のおでんと決めし帰路
昨夜は「よべ」と振ることが多いが、「きぞ」ってのもあるんですね
おでん屋に入るや眼鏡のすぐくもる
だね
山裾の落ち葉褥のごと積もる
信子
山眠る風の行く手にけもの道
おでん鍋隣り合はせの意気合ふて
合うの旧かなは、合ふながら、合ふてとはならないのは、連用形だからで、合ひてが正しく、音便で読ませるには合うてと表記するのが正しい
踏み台の程良き高さ十二月
柿日和長寿地蔵のおちょぼ口
神の鈴鳴らす太縄今朝の冬
美恵子
葉と塩で封じし漬け樽山眠る
おでん種掬う店主のえびす顔
えびす顔てのも商売繁盛で良いが一節というときはちょっとひねって、しかめ面とか
整然と農具納めり山眠る
喪服着る我に星降る山眠る
待たせたと詫びの土産のおでんかな
お詫びにおでんですか?
木瓜
山眠るケルト民族子守歌
おでん食ふなぜか三つめは大根と
なにはとも句詠みし余韻年暮るる
なにはとも」では浪速友?と意味をなさない、きちんと使うことが大切
おでん鍋白エプロンのおばさんの
エプロンも新しくていいけど
涸滝のゼロか無限か裏表
比呂
寒雷や砂洲に俯せ捨て小舟
捨て小舟がわざわざうつぶせてあるてのがちと引っかかるが
白装束が打つ鉄の環鍛治祭
おでん鍋波戸に重なる波ごろし
ちょっと遠いかも、バーベキューおでんではないだろうし
この星の我も生物雪女
牛生る湯気の敷藁霜の声
巴塵
煮こんにやく皿におかれて山眠る
おたりやのおでん分け合ふ爺と婆々
栃木県ではおたりやは季語でしょう
のれん揺れおでんの湯気の曲りくる
古峰や墨絵ぼかしの山眠る
提灯におでんの三つ字一字づつ
お、で、んと一字ずつ書いた提灯なんだろうがそれはおでんの季語として甘いでしょう
良人
空青し前日光の山眠る
奥会津只見川(ただみ)を挟み山眠る
ひっそりと名刹覆ひ山眠る
コンビニにおでんの湯気の流れ居り
先ず大根入れ歯に優しおでんの具
昭雄
懐に神を祀りて山眠る
漢等に旧きえにしやおでん鍋
漢と使うほどの英雄たちとも思えないが
消えかかる軍馬の碑文山眠る
目礼に返す一礼落ち葉炊き
放牛の四角に伏して山眠る
冬だからな、牛が雪の中に寝てるみたいなのはどうかな?
雅枝
山眠るスタッドレスタイヤは駆け抜けて
去年君と登りし山よ眠りしや
煮るほどに味深みゆくおでんかな
煮込みとおでんは違いますけどね
父偲び味噌田楽に灘の酒
個人的事情でしかなくて、それが受ける句会もあるけどすぎなみきではだめです
常盤木の裾模様渋く山眠る
冠雪くらいでは山も眠らないかも、裾模様が渋いなど言うに事欠いて
青樹
屋台引き昭和の声やおでん売り
爆弾も加薬も有りのおでん売り
バクダンは焼酎、カヤクは混ぜご飯か、いずれにせよ爆弾と火薬という物騒さを読み込んだのは努力賞
富士山も眠りにつくや薄化粧
薄化粧の時期では山眠るとはならないような気がするのだが
山眠る雪崩惨事の那須の山
那須山の雪崩惨事の山眠る
英郷
山眠る峠越え行く一人旅
山眠り探しに出かけむシリウスを
シリウスは北天では一番明るい星だから探すほどのこともなく見つけられます
階下から香るは煮込むおでんかな
木枯らしの麓でそよぐ竹林
木枯らしの麓?、木枯らしにそよぐ?、タケバヤシもいうけど
清々し御田で温もる友受賞
叙勲でしたか、
敬子
足腰を鍛えん卆寿冬薔薇
ゆるやかな雲の寝姿冬の空
山眠る里の地蔵は胸抱いて
道祖神だと分かるけどこういうお地蔵さんもいるのかな
三軒の藁屋根造りおでん鍋
そういうおでん屋さんがあるそうだが、どう評価すべきか
銀杏の梢に沈む蔵の街