4月のもう一言

利孟
夏近し解きて丸める仕付け糸
春の雲車を店に弁当屋
幻燈と甘茶と駄菓子花祭り
花の雨乾いた雨戸濡らしては
付属病院裏に大学花吹雪
比呂
初燕むかし建場の道の駅
囀りやペンキ塗り立て貸しボート
芽柳のさはさは風の重次かな
爪の泥洗ふ小流れ田芹籠
眠りつつ笑まふ赤子や春の雲
信子
満目の原の地平や春の雲
月天心灯り仄かに甘茶寺
明日へと落ちる山の日仏生会
山間の瀬音寺領に花祭
音爆しつつ機影消ゆ春の雲
ミヨ
春の雲留まる銅山(やま)や離村の碑
間歇泉光る天路や鳥帰る
仏生会格天井の書の下に
鶴首の空の鉄瓶牡丹据ゑ
鶴首の鉄瓶てどうしたものか?、まあお華俳句ならありでしょうが
階の奥明らむ墓地や雉ほろろ
聖子
待ち合わせに何時もの場所に春の雲
ビル修理の足場じぐざぐ春の雲
年の差の会話絡まず春の雲
雨上がり葉の水滴に春の雲
見上げれば高層光る春の空
上見たら高い建物があって、その上が空でと視線が上しか見てないね
良人
吹く風の和らぐ土手や春の雲
柔らかに光る筑波嶺春の雲
野の花に造花の混じる花御堂
遠山の色より淡き春の雲
青空を程よく残し春の雲
程良くなど言っちゃお終い
雅枝
甘茶浴び御身艶やかお釈迦さま
春の空暮れて夕べの鐘低く
春ショール古きシネマのワンカット
花祭りセピア写真の稚児のわれ
春風に誘われ疼く旅ごころ
新しいものがない、誰もが持つ当たり前は句にならない
昭雄
青鷺と同じ速さの手漕ぎ舟
牛の眼のもの言いたげや春の雲
提灯の点り夜の部灌仏会
ひとり去りふたり去りして春の雲
記憶から消えし人の名灌仏会
木瓜
すつと立ち天地貫く甘茶仏
蹴とばして崩してくられ春の雲
馬鈴薯を説得するが如く植う
畑鋤くやイチロー国民栄誉賞
足長蜂なかなかやるな睨めつこ
何をやったんだい?
巴塵
春の雲スーラの点描空までも
あつまりし我も善男灌仏会
花会や三方捧ぐ緋の袴
緋の袴だから巫女のことですって、巫女でいい話でしょう
真青なる空にぽつかり春の雲
春の雲御詠歌流る古河の町
なのだろうが、読んでるひとには分からない
俊一
甘露降る中に立ちたる誕生仏
いろは坂登りて近し春の雲
おさな子と共に手合わす灌仏会
春の雲ゆるさと癒しに浸る吾
風やさし心うきうき春の雲
心うきうきなどと言わずにうきうき気分を出してください
英郷
灌仏会乳呑児もまた目を凝らす
花祭り乳離れ孫に灌がせる
孫などと直截に言わぬ工夫を
震え立つ仔牛にどよめく灌仏日
節目かな春雲仰ぎひしひしと
自分では節目と思ってるだろうが、なんの節目か他人には分からない
春雲や薄日の空に鳥を待つ
鳥雲にという季語もあったりしまして
敬子
山笑ふ幼児も笑ふ手を上げて
久闊の友は絵仲間黄水仙
梅の花赤の頭巾の六地蔵
床の間に聖観音図春の雲
内外離れすぎ
米寿より卆寿の友へ花便り
なにか、山羊さんのお手紙みたいな