5月のもう一言

利孟
夫婦位牌の裏に享年弥生尽
白神の不入の森や聖五月
桜蘂降るや青玉婚の日に
サファイア婚なのですよ
風に揺れ形の整ふ花菖蒲
筑波山遠く新樹の屋敷林
信子
珈琲に渦巻くミルク風五月
百咲いて百の直立花菖蒲
噛めば鳴く子犬の玩具聖五月
花種蒔く食す種まく畑の端に
粛粛と令和に五月大日本
聖子
牛の仔のまなこ球形聖五月
風光るご飯出来たと母の声
山の水落ちくる川に花菖蒲
頬杖をつき見あぐる空や桜の実
田を二枚占めて咲かすや花菖蒲
美恵子
聖五月白き小槌の蔵飾り
街照らすヤコブの梯子聖五月
日矢といいます
道端に大輪咲くや花菖蒲
放課後の図書席埋まる聖五月
髪香る女子高生や聖五月
巴塵
本棚のほこりの多きらいてふ忌
風のやみ紋黄蝶いる菖蒲園
季重なり
教会にタンポポ坊子聖五月
タンポポ坊主?ていうか?
立ち屈みよりそう婦夫花菖蒲
天中に老残の月菖蒲園
良人
野に畑に風と光の五月来ぬ
村里に棚田広がる五月来ぬ
村里と棚田てちと取り合わせが悪いかも
菖蒲田に紫の波風起こす
逆もまた真なりとはいかぬかも
水漬く根に立身を落とす花菖蒲
花茎の背丈に相応ふ花菖蒲
背丈にフサウ?
昭雄
手をつなぎ恋のはじまり聖五月
花菖蒲朝は袱紗の色に覚め
お茶の袱紗なら男が紫、女が朱が通例で、今時お茶と言えば女の・・となるので?
時刻む明治の音や五月闇
すめろぎの訪ひきしコート花菖蒲
転寝の妻に微笑み花菖蒲
に、だと寝顔を見てる作者が笑っている、そんなの句にもならない
比呂
鮎の稚魚少し触って放ちけり
春惜しむ降りて来さうな天女像
鹿の子鳴く時空の果ての数へ唄
時空の果ての?
子を生して長き微睡み聖五月
ムツクリの音のいきさつ花豌豆
いきさつ?
敬子
檜風呂に四肢伸ばし入る春夕べ
リハビリのゆらゆら体操若葉風
再会の五人揃ふや長春花
プライベートを言われても分からん
リハビリの帰りの坂や春の雨
緑色の春のブラウス長寿なり
ミヨ
開け放つ北向観音聖五月
開け放つてなによ?
万緑や放る土器呑まれけり
カワラケ投げをやったのね
西日さす開かぬポストのどこぞふれ
野花菖蒲耕地整理の区区の風
梅雨空や硫気に耐へし千体仏
木瓜
令和来る腎の石取る藻刈舟
ちょっと離れすぎでしょう、石を取るのと藻を刈るのをかけたのでしょうが
香たちぬ出逢ひ嬉しき古茶新茶
古茶新茶、一緒に味わったりしないだろうけどね
夏館思つたようになる人生
なにより
頬を打つ若返す風五月来る
大胆に開け隠さず花菖蒲
ヒラキでしょう、ヒラケではどういう状態かわからない
雅枝
風邪ひきの吾に新緑ガラス越し
俳句の主語は基本一人称「私、吾」です
猫が仔を咥へていそぐ物置小屋
聖五月ノートルダムの消防士
せむし男は分かっても、時事的な火事の話はどうかな
罪のなき様に立ちいる花菖蒲
はてどんな罪?
菖蒲湯や首まで浸かり母思ふ