9月のもう一言
利孟
帯締めの固き結び目秋暑し
庭巡るたびに現はれ揚羽蝶
夕されば酔ひ衰へて酔芙蓉
雨戸繰り入れる朝の日小鳥来る
灯に揺らぐ銀の冷たき胡桃割り
雅枝
ならぬものはならぬと会津桐実る
らしいね
晩酌のワインに添えて胡桃の実
胡桃二個こりこり鳴らせし祖父ありき
今時珍しくなったが、過去形が二つ重なる必要は無かろう
空(から)の巣と地の糞残し燕去り
雨止みて草の数ほど虫の声
敬子
山道を七度越えて小鳥来る
添削で良くなりすぎましたが
夕暮れて軒の滴の釣忍
?釣り忍夏だし
堅実に夫は生きたり千日草
人生を神に委ねむ雲の峰
半生の似たる親友夏の原
信子
銃声の遠音寺領に小鳥来る
銃声は遠音というかな?
じやん拳のぽんで勝ち負け爽やかに
小鳥来る空へ挑戦逆上がり
とりどりの声天に地に小鳥来る
胡桃割る二人に二人の無言の音
比呂
だしぬけの稲妻嘘を見逃さぬ
泡のやうなる珊瑚の卵星月夜
瞬きて島に十戸や秋灯
イメージ面白いけど言葉が寝れてない
青胡桃泣く児の浅き土踏まず
土踏まずが浅いというのが正しいのか?
命名や色鳥はこゑ高め合ひ
美恵子
貝漁や碇星見て待つ船出
季のしごと平大笊に胡桃干す
季のこと詠むのが俳句だし
すくと立つ刈田の白鷺肢長し
賢治のごと落ち穂拾いの鴉かな
小鳥来る残りひとりの子供会
ミヨ
山胡桃リスが来てをり熟す頃
三段切れです
どぶろくや合掌棟の飛騨に泊つ
参道の栗石操れば小鳥来る
秋茄子や昔の里を引き寄せり
水切りのとつぱづれかな胡桃落つ
昭雄
小鳥来る壁の書道の二重丸
書道てのはちとちがうでしょう
村一の滝を梢に鬼胡桃
村一という俗な言い方も気に入らない
小鳥来る明日の始発となる電車
鬼胡桃拾ひて旅情あらたなり
旅情とか言っちゃうの好きじゃないのです
鬼胡桃食らひつつ読む罪と罰
良人
静かさや沢の細道胡桃落つ
山の宿湯殿に届く胡桃割り
いくら静かで小さい宿でも餅つきではないのだから
胡桃割る村の蕎麦屋の一軒家
鬼怒堤覆う木立の胡桃落つ
廃校の校庭跡に小鳥来る
廃校俳句が続きますな、校庭跡と二重にいうこともないでしょう
木瓜
秋立つや一曲線の鉋屑
一直線はあっても、一曲線は?
梨を食む死(しに)に備へは要るものか
死に、シニとルビ振って音数を整えようなんて無理
まだあるさまだまだなにか小鳥来る
強固なる胡桃ガツンと真二つ
小鳥来る垣根をさつと乗り越へて
乗り越えるって、駝鳥じゃあるまいし
英郷
胡桃割り吾を忘れて手が痛む
窓開けしツクツクホーシに秋きざす
法師蝉が秋の季語、それに秋兆すというのは季語の説明なのですが
歳ゆえかひときわ甘い胡桃餅
胡桃の実しわしわと成りて待つは誰そ
鳴き騒ぐ鷺ノ谷からも小鳥来る