12月のもう一言

利孟
夜神楽の手送りに受けコップ酒
大根焚き皿の温さを素手が愛で
沖待ちの汽笛のまぢり除夜の鐘
猫板に御手塩の肴燗の酒
藁束を納屋から運び年用意
比呂
燗酒や眠り上手の酔ひ上手
島の灯のか細く揺るる夜の雪
一年の計は有耶無耶十二月
姥捨のごと廃車積む小米雪
ものを捨てるように、放り出してきた分けでは無いでしょう、例えが極端すぎますね
こだはりの太き注連選る年の市
信子
女子会てふ二人熱燗の「美少年」
銘柄の酒を熱燗にするのはお勧めしない
熱燗やゆつたり羽織る宿衣
年用意手元止まる古手紙
春支度奏でるやうに物置ひて
オクのどこにハ行の活用が入るのか分かりませぬ
休診に備ふくすりも年用意
聖子
地の物を山ほど漬けて年用意
熱燗に女の愚痴をぶちまける
厚きカタログの中より母のセーター選る
故郷は今宵も雪か燗熱く
代々のテーブル洗ひ年用意
毎年洗う古いテーブルってのがイメージ湧かないね
良人
燗酒の熱さほどほど一人酒
年用意野路の地蔵の衣装替え
野路とか使いすぎ
熱燗や酒場混み合う街外れ
裏窓のカーテン取替え年用意
茶箪笥の茶器を置換え年用意
ミヨ
逆しまのドライフラワー冬うらら
とくとくと竹筒燗酒木曽の宿
産土や未だ冬至のはかりごと
未だのかかる先が分からない、冬至と言えばどん詰まり
箸袋かく祝言や年用意
星降りてぺちやくちや和む氷柱かな
ツララのペチャクチャってなんでしょう
英郷
燗酒や夜勤終わりて救急医
餅搗きや餡かけよばれ穏やかに
新幹線保線作業後の熱燗や
澄みし空手は凍えつつ年用意
澄むは秋にまつわり、凍え、年用意は冬、季語づくし
煤払い今年は早めに取りかかる
雅枝
チゲ鍋や猪口で乾杯お疲れさま
チゲ鍋するなら飲むのは韓国もの、それも下卑たどぶろくが良いですね
この道を迷いつつ行く冬夕焼け
徘徊老人じゃ無いんだから
バスの席譲られうれし冬はじめ
嬉し、悲しなんぞ言わんでも読み手が感じてくれます、私はムッとするって言う人もいるし
長き夜の友はお湯割り古いジャズ
ジャズを一人聴くには無頼のジンが似合います
「切るはここ」外科医は示す師走尽
最近のインフォームドコンセントてのはこうですから
昭雄
熱燗に男の愚痴を混ぜ啜る
いやだね、男の愚痴なんて口にするのは
巫女草履鼻緒朱にする年用意
巫女草履なんて特殊なものは無いでしょう、草履の鼻緒の季節でのすげ替えってのも?
牧の木々かさりこそりと年用意
牧の木々が年用意をしているのが感じられたのか?
親爺似の兄貴今宵も燗熱く
兄貴は貧がなさ過ぎでしょう
宝くじジャンボに変える年用意
木瓜
喉通す君の一言牡蠣ととも
しんみりと子規の画に入る漱石忌
あれこれ研究して詠んでいるのだろうが分かるように表現しなければ伝わらない
掃除機の届かぬところ年用意
なにやある妻の熱燗煮沸前
意味不明、煮沸と沸騰は違うし
熱燗ぞ言ひ難き言言ふ間際