3月のもう一言

森利孟
山笑ふ行きては戻るトラクター
ハイタッチ受け受験子の薄き笑み
朧かな行灯の火を掻き立てて
丸窓のステンドグラス麗らかに
千代結びして椀種の細魚かな
会田比呂
末黒野や見えて遥けき貨車の列
極楽とふ寺の極彩山笑ふ
回転ドアーに舞ひ込み来たる春の雷
朧夜や虚構の舞ひの白づくめ
虚構の舞が?
まほろばの藪の初音を聞かまほし
小又美恵子
旅の友はポシェット一つ山笑う
合格の発表待ちや山笑う
ジーンズとシャツで闊歩や山笑う
山笑う手染めのハンカチ襟に巻く
ハンカチを巻くってのもあるでしょうが、違和感が
レジ袋提げて見上げる朧月
石塚信子
おぼろ月石の態して亀二匹
二匹が効いてないでしょうね
八方に登り口ある山笑ふ
山笑ふ未来背負ひてランドセル
朧夜を帰るみちすぢの湯屋灯(ともし)
地図で説明受ければそうなんでしょうが
百の掌の空押し上げて花辛夷
大貫ミヨ
六角堂御明りの果て草おぼろ
山笑ふ五寸土偶の土器色
土器色は、カワラケイロ?
山笑ふ斎く祠の大黒天
斎くのは当たり前だし
医者いらづのアロエ喰い欠く春愁
アロエを医者いらずというのはさほど珍しくないから解説は芙蓉
分葱ぬた下野風土たもとほり
三句切れ?たもとほりとは
堀江良人
安らかな瀬音風音山笑ふ
那須の山笑い始めの滝の音
やわらかに野田を浮かべて朧月
動く雲風音もなし朧月
郡山に遊ぶ人あり山笑ふ
受け狙い?
全身で乳吸う赤子山笑ふ
栃木昭雄
幻の塔立つあたり闇朧
現実にある塔なのか、基壇だけの塔なのか、あたり闇朧のあたりが要らなさそう
山笑ふ揺れの止まらぬやじろべい
山笑ふ一灯で足る露天の湯
朧夜のブランコ足の下に村
どこにあるブランコなのか?、高く漕いだから足の下にというだけ?、ブランコは結構目立つ季語だし
渡邊聖子
残業の終わりとしたり鐘おぼろ
これはなかなかです
アニメ模様のカラフルマスク園児バス
飛行機雲あまりに長し山笑ふ
展望台から見たる街の灯おぼろ
野口英郷
朧げに無欲悟道を思ふらむ
朧なる宵のヘッドライト筋のごと
俳句はごとしを詠むものでして、わざわざごとしを言わず断定します
朧なり新型コロナクラスター
川柳でも朧とはしないでしょう
一株の山茱萸跳ねて山笑ふ
山茱萸も春の季語、山、山となりとてもうるさい上に、跳ねるとなると?
タノームと一人呟く山笑ひ
タノームというのがネットで検索しても分からない、笑ひと連用形にするのも?
泉敬子
大樹ごと囀りとなり雲流れ
言つたとか聞かぬと卆寿山笑ふ
早口の小鳥の声や梅開く
ぐにやぐにやの子猫は細き四肢伸ばす
乾燥の極みの庭に春の雷
笠原木瓜
ゆつたりと静か雲間に朧月
朧夜や皿の和菓子に黒文字の
黒文字のののは苦し紛れだろうが、黒文字の突き立ちてかもしれないしいかん
山笑ふ残る命やいかほどに
春きざす枕元には俳句帳
不断の努力は見上げたものだが、俳句を素材にする俳句は下です
首傾げ思考三昧山根草
ヤマネソウって何?、