10月のもう一言
| 利孟 |
| 寝化粧の薄く引く眉雁渡る |
| 陽の欠片香りの粒の金木犀 |
| 限界集落の三戸の秋灯し |
| 雨漏りの萩のぐい呑み温め酒 |
| 椿の実熟るや莟の味寝刻(うまいどき) |
| 比呂 |
| 綿吹くや真岡木綿の地機織り |
| 綿吹くは珍しい季語をつかったが、綿、真岡木綿、織機とつきすぎてるかな |
| 子規に賢治に聡き妹雁のこゑ |
| 聡きでよいのかもしれない |
| 秋灯まどゐの部屋のみかん色 |
| 灯でみかん色になるって分からないわけではないけれど |
| 昨夜の炉端に残る魚串雁渡し |
| 夕べの宴会のあとがそのままになってるみたいなとっちらかり?、炉端、囲炉裏では季重なりで引っかかるし |
| 残照の沖の遠波渡り鳥 |
| 良人 |
| 颪吹く鬼怒の長堤雁渡る |
| 同じ素材だけどうまくできました |
| 雲低き空に一線雁渡る |
| 雲と雁の棹の上下関係が分からないというのは的確な干渉 |
| 秋燈や遠き里わにまたたきぬ |
| やで切るよりも |
| 音も無く吹く風はやし秋燈 |
| はやし、が速度なのか賑やかしなのか |
| 小畦吹く野風を起こし雁渡る |
| 小畦ってどんな畦かな? |
| 美恵子 |
| 秋の灯や盾もち埴輪の美人顔 |
| 盾を持っているのは武人でしょうから、美人ではちと・ |
| 解けし藁束ねて丸き雁渡る |
| 農作業しながら見上げると雁がって面白い |
| 城山のどこもかしこも彼岸花 |
| どこもかしこもは漠然としてしまうね |
| 通院の丸き母の背雁渡る |
| 蕎麦の香にふと父想ふ雁渡る |
| ミヨ |
| 藤蔓の空引き下す雁渡し |
| 藤蔓と空、結構難しいつなげようですね |
| 秋灯し夜店すぐ尽く門前町 |
| 祭りのときやらは沢山の店がでるだろうが、すぐ尽きるというのは夜店ってのは賑やかなものと決まっているかのようだがそうでもないし |
| 地ぶくれの首塚守り神無月 |
| 地ぶくれが難しかった |
| がちやがちやの煽ぎたてたる晩げの灯 |
| 秋耕や漁る鴉の横つとび |
| 漁るって? |
| 昭雄 |
| 雁渡る千恵子の空を高くして |
| 安達太良山ですか、千のチエコでは何のことか分かりません |
| テレワーク続けて暮れぬ秋灯下 |
| くれる、灯とかさねてはいけません、時間の経過を詠むのは難しいのです |
| 目を細め横笛を吹く秋灯下 |
| 秋灯下って照明が漠然とある感じ、秋灯しっていうとその明かりに焦点が当たるって違いがあるように思いますが |
| 雁渡る筑波山男体山今日越えて |
| 今日越えてだと、両方の山を経由している感じでそれは違うのでは |
| 雁帰るかへらぬ鳥は浮き寝して |
| 渡るは秋、浮き寝は冬、帰る、残るは春 |
| 英郷 |
| 立ち待つや甍の端に赤み月 |
| アカミで一旦息をついで溜を作ってツキ!というと原句でも佳いが分かり易くしておきます |
| さわさわと嗚呼雁渡りき鉤飛来 |
| さわさわは、鳴き声では無さそうだから、羽音くらいか、嗚呼など詠嘆の間投詞は俳句ではまず見ることが無い |
| 沢向かひ秋の灯ともる夕まぐれ |
| 秋灯しを灯すまでいわない、夕間暮れも当然 |
| 秋燈に聴こえ来るなり寺の鐘 |
| ものに掛かる五感表現は不要、秋鯖は食う、虫の音は聞く、紅葉は見るにきまっているのです |
| 夕暮れの颱風余波に足も冷ゆ |
| も×、冷え:秋、台風余波は野分後とかあります |
| 木瓜 |
| 蟷螂の遣り損なひの歌舞伎芸 |
| 歌舞伎の見栄にみなして、し損じたというより、そのまま見栄を切らせた方が分かり易い |
| 二つ三つ八つ九つと秋灯 |
| 九つまで増えると秋灯しのわびしさがなくなるかも |
| 空は晴れ身を翻す雁渡し |
| 雁渡しは雁が渡りに利用すると言われる風、雁渡るは雁が飛んでくることで意味合いが違い、風が身を翻すことになって具合悪い |
| 長き夜や昼間は何をしてきたか |
| 一日を反省すると夜も眠れないってそんなもんですか? |
| 秋鯖や言いたがらぬて喉詰まる |
| 秋鯖を嫁に食わすなか? |
| 信子 |
| 僧正のつまぐる数珠や秋灯 |
| 僧正が偉すぎかもとは思うが評判よろしかったですね |
| 青北風や八溝嶺のはや夕暮色 |
| はや、はどうかな |
| 魚影追ふ船の舵音雁渡し |
| 魚影を追うとなるとある程度の速度はある、舵音ってあんまり耳にしないのではと |
| 秋灯に選る大凡は要らぬもの |
| 断捨離なんでしょうね、ちと弱い |
| 推敲の開(あ)く辞書に点く秋灯 |
| 秋深し、林檎、七五三 |