12月のもう一言

利孟
熊を追ふ犬振り返りまた急ぎ
おんぼりと会津の椀の葛湯かな
枯れ葎ふたつに分けてけもの径
霜柱重ねた空の植木鉢
狐火や絶えてうたはぬ子守唄
信子
狐火や星の神話の人けもの
オリオンだ、獅子だ、大犬だと
壁叩き叩き打つ釘十二月
釘の効きそうな下地を音で探すのね
バトン受けバトン手渡す白い息
バケツリレーみたいな渡し方
風花や消毒液へ幼き掌
琺瑯の白い洗面器のクレゾール液で消毒しているみたい
何の鳥発つや中洲の枯葎
赤い鳥小鳥とか、何か言い様があるでしょう、なんだか知らぬがでは芸が無い
美恵子
赤べこの張り子の里や枯れ葎
首振ってる赤べこがずらりと干されてる様子が見えます
跳ね踊り迫る落ち葉や嵐吹く
狐火の峠を越へて家灯り
越エる、越ヘ×る
網目だけ残り鳥無き枯れ葎
住んでた鳥がいなくなったという時間経過は?
枯れ葎男体颪に肩すぼむ
颪はきせつのかぜだね
比呂
朽ち杙が志士の墓とや枯葎
狐火や遠き山家の薄灯り
邪気払ふ太鼓の連打寒詣
狐火とまごふぬばたま夜の野末
ぬばたまの」と使って枕詞になる
小春日や高々と打つ願ひ鐘
各地の名所に愛の鐘だのありますな
ミヨ
小春凪ぎ風かき戻るブーメラン
凪ぎで風は無いのだから風を作る必要がある
きつね火や古井戸残る元屋敷
元屋敷って地名か何かみたいですね
枯葎廃れし銅山(やま)の弾薬庫
秘密の軍事基地じゃないから弾薬庫は無いでしょう
板戸絵の鯉に日の差す宿小春
板戸絵がそろそろ鼻につきだした
ケトル磨くサンドペーパー去年今年
焦げでも作らなきゃサンドペーパーはどうですか?、銅磨き、銀磨きでしょう
聖子
狐火や磐梯山の暗さ増す
夕枯野さびし藍色果てしなく
さびしまでいうと俳句でなくなる
この坂を大きく曲がれば枯野原
坂を大きく曲がるそこに枯れ野が拡がる、設定がおかしいでしょう
アンティク燈ぽつぽつとつく枯野かな
裸電球か何かをアンティックというのはLEDの時代とは言えいかが?
狐火を見たやう暗き道すがら
気持ちだけでは俳句にならない
英郷
ボンネツト猫の跳び降り風花に
雪が舞ったので猫が慌てて飛び降りたんですかね?
狐火か戸室山麓点々と
戸室山、古賀志山ローカルなものは全国区になり得ないし理解されない
首もなく枯葎に舞ふコウノトリ
枯れ葎にコウノトリが舞うわけが無い
一直線はやぶさ2号狐火よう
飛んで行く様を狐火ようと言ったのだろうが日本語になってない
古賀志山往時の径に枯葎
良人
狐火のさまよう山の寺の墓地
狐火ってどちらかというと遠い、火の玉、人魂とは区別した方がよいでしょう
狐火や杉並木奥闇の中
山寺の墓碑に絡まる枯葎
枯れ葎って嵩がありそう、墓碑と墓石意味は同じでも様子が違うかも
過疎の村廃屋覆う枯葎
陰々滅々というのは掬いが無い
霊園の灯のなき所狐火か
木瓜
枯葎機関車の音の突き渡る
牛鍋の崩れ落ちそな葱突く
狐火や治虫火の鳥回る中
治虫火の鳥で別れというのは無理ね
狼の仰のきゑん冬の月
狼も季語ですけど
ふところに暖を取りゐる冬の日々
昭雄
父と子のトランプ狐の火の夜に
つれづれの旅にもありぬ枯葎
旅先で枯れ葎があったというだけ
枯葎空に明日あり帰り待つ
何の帰り?
無住寺を尋ね三和土の狐の火
無住寺の三和土の土間は面白い、使えそうだ
戸を開けに立てば思わぬ初音かな