正月のもう一言

利孟
寒念仏鬼のまとへる墨衣
大津絵の画材を詠んだのです
石を抱く松の根を撫で寒肥す
息継ぎもせで寒声の般若経
煮凝りや音立て切れる炊飯器
寒雷や各戸に鍵の共同湯
完璧だと思ったのだが見てくれなかったな
美恵子
重箱をしまい陽の香の干菜汁
重箱ってのはいまやお節くらいですから、豪華なイメージ、それと干し菜汁の質素さの対比が秀逸、しかも陽の香が結構
焚き上げにお札投げ入れ春渡る
お札というと、紙幣かと読んでしまう、まさかね
寒晴や富士見峠の富士冴えて
冴えるは冬の季語
煮凝りを肴に内輪話かな
内輪話は内密で深刻でしょ
寒の内トルコランプの華やかに
華やかな装飾が特徴のトルコランプ
信子
吊るされて模造のカラス寒四郎
語呂だけでなく、意味も掴んで使って下さい
煮凝や郷土は海を遠くして
郷土の海を遠くしてが普通だろうが、栃木県の句会ですから
卓袱台を囲むあの頃凝り鮒
今を詠むのが俳句、過去にワープして
煮凝や東雲に止む昨夜の風
ことさらに根つこ賞でけり寒野芹
最近芹根を喰わせるのが流行ってるらしい
昭雄
初音来る社務所は若き巫女集ふ
まあ、巫女さんは大方若いのが今時ですが
煮凝りや七戸の字に七つ橋
特殊もいいところ
寒の瀧木霊は渓を出ることなし
華厳滝だとどうかな?
純白を燃ゆると云うか寒牡丹
煮凝りの揺れ運び来る裾捌き
そんな大きな塊でも無し、裾捌きが必要な衣装で運ぶものでも無いでしょう
ミヨ
木遣歌坂のぼりくる斧始
斧初めの大きな丸太を運びながらなど見える
はだれ雪こけし人形伏し目がち
言い切ることが、発見をいうことになる
煮凝りや徳利二本の酔加減
煮凝りなんてお手塩に乗るくらいなもので2本飲めるてのは相当の酒好きかな
寒晒し堰二つ越ゆ八溝郷
寒ざらし、何をしてるか分かって使ってよ
防潮堤砂州の彼方の波の花
防潮堤と砂州ってのは矛盾しているし、砂州では波の花を見られないのでは
比呂
銅壺の湯ちんちん雪の降り止まず
お湯がちんちん、雪がしんしん、銅壺とはどんな構造のものかみなさん調べて下さい
蹌踉きて誦経うやむや寒行者
寒行で滝に打たれているのだが、よろめくというと市中回りの寒行かと思い、それでいい加減なお経だったりすると偽坊主のことになってしまってつまらない
生涯父の下町言葉凝鮒
江戸っ子を使いながら凝り鮒ってのが粋で無いような
冬晴の富士を遠目にざつこ釣り
木枯や風の電話に母の声
風音に電話の声を感じるってのは?
英郷
凍え手で七草粥を啜り食む
凍え手ってのは?
くつきりと男体の薙や寒の入り
医者が男の体とかいうとやはり山とは思わないしちゃんと山を付けて欲しい
煮凝りに香り立つなり味噌の味
味噌煮の煮凝りってのが珍、味が香り立つのも妙
寒行のテレビに映つる白衣かな
テレビで見たのを眼前にしたかのように詠むのは検証のしようが無いから可、しかしテレビで見てますという句は不可
寒四郎三蜜嗤ふ新コロナ
彼岸太郎、八専次郎、土用三郎、寒四郎はそれぞれ作物の豊凶に関わる日です、そういう意味を踏まえるか否かで作柄が変わります
良人
箸をもてつまむ煮凝り老い二人
箸でつまむは普通すぎでしょ、老い二人のつましい朝食でどうです
寒茜男体山(なんたい)の雲染にけり
山煙り雲一つなし寒日和
遠くが霞んでいる寒晴れって意味不明
池塘吹く風になびけり寒すすき
動かざる寒鯉に人動きなし
聖子
煮凝りや朝食膳に香の甘き
煮凝りや食後五錠の薬飲む
煮凝りや匂ひに猫の膝に乗る
温飯に乗せたりすると匂いがたちますね
並び待つ眼科検診寒の雨
集団検診なら整列とか、寒の雨ってのは豊年の予兆だったり冷たい雨と言うだけでは無いのを踏まえて使うべし
寒風や自転車の長きブレーキ音
木瓜
こんもりと幸せいつぱい蜜柑皿
寒の内ちやらんぽらんば冷え切らず
ちゃらんぽらんも寒さでいくらか影を潜める?、そんな馬鹿なこと誰も共感しない、「ば」という助詞は長崎辺りで使われるが目的格を示す「を」です、いつも指導していますが言葉、文字に勝手な意味を自分で付けて満足しても誰も理解できません
拙守り生きてきたぞよ漱石忌
木瓜咲くや漱石拙を守るべく」という漱石の俳句があるのを踏まえているらしいが、上、中句は作者のこと、そして拙を守るという特殊な言葉遣いが理解されるかと言えばまず無理、
じつくりと抓む煮凝り息ひとつ
息一つってのは溜息?、
日向ぼこ生死の狭間ほのぼのと
夢現ってことはあるでしょうけど、生死の狭間は流石に無理で、しかもそれがほのぼのってどうなってるの