2月のもう一言

利孟
猫柳模型飛行機ゴム巻いて
色兆してよりのふた月紅椿
領収書納付書を積み二月尽
確定申告です
目刺焼く一蓮托生なるままに
小道具を持たせる思案雛飾る
けっこう持たせても落ち着いてくれないのです、まあ孫俳句のうちです
比呂
春疾風総身突つ張る歯科治療
疾風の音と治療音かな
無造作にナース採血冬の蜂
無造作にやられると怖い
漏刻の音に歩を合はす雪女郎
漏刻の水は「ネ」ではなく「オト」でしょう
猫柳転輪蔵の軋み鳴る
かくれ里とふ真空地帯藪椿
平家の落人部落、時間が止まったような
ミヨ
山椿ここだに散りて湾浄土
迫りもちの水影ちりぬ猫柳
アーチ橋に水のきらめきをみたなら猫柳は要らないでしょう
黒潮の海石越えくる椿かな
潮岬辺りだとこんなかな
春蘭や坂の上なる檀家墓地
寺と隣接するのが普通だな
冬の虹クッキーの生地醸すころ
クッキー生地は発酵させないかも
昭雄
手斧撃ち寒の桧の香を起こす
梅の香陽明門につづく闇
陽明門をくぐったら闇ではなかろう
初雪や嬰児姉妹開ける窓
嬰児姉妹てやや無理が
奥白根一崖一寺香る梅
崖ごとに寺がってのはいささかイメージが湧きづらい
猫柳一糸一糸の風変はる
信子
もう二月まだ二月かな窓明かり
犬の目に空の青々猫やなぎ
大いなる夕陽纏ひて猫柳
ハングルの付され大吉初みくじ
外国語のおみくじ、ありがたくないけど
平飼の玉子紅さす寒椿
英郷
柔らかに微笑み迎える猫柳
猫柳野面に充ち満つ生命かな
夕んべ雨つぶらに落とす椿の葉
ほんのりと日差しに揺れる猫柳
分け入るや稜線袂に藪椿
稜線の袂てのはどこ?
木瓜
落椿大和魂静まりて
ウイルスの最中ゆつたり水温む
会津発ち雪割草の地に立ちて
会津からどこへいくのか?ではわからない
春蘭の肩を並べて気を吐いて
春蘭をもう少しみてください
ふわふわといたずらぽいや猫柳
イタズラポイヤって日本語にならない
美恵子
温し手を繋ぐ散歩やねこ柳
地も宙も満開にして散り椿
チモチュウモとの音の響きを
黒土へ乱れて静か椿散る
のんびりとお喋り散歩や猫柳
温しも季語感あり
赤獅子の舞うごと椿咲き乱れ
良人
落椿地に咲く如く上向きに
風もなく雨も降らずに椿落つ
春眠暁を覚えずですか
色あせてなほも落ちずに藪椿
水光る風に押されて猫柳
落椿舗道の端に散らばれり