第２９１回 令和３年４月２５日
兼題：茶摘み 風光る
吉野山金峯山寺蔵王堂 蔵王権現像
青き身の蔵王三尊遅桜
野良猫のちらと横目に翁草
婆一人屋敷畑の茶を摘んで
保育児の垂れつき帽子風光る
行く春の黄色カバーのランドセル
美恵子
★新色の口紅差せば風光る
○茶摘みの手拭ひ昼餉の握り飯
○風光る飛行機雲の交叉して
○ペダル踏む白のスニーカ風光る
・風光る笹漕ぎ登る磐梯山
信子
○バク転を決めた少年風光る
○風光る勝ち馬まとふ緋のケープ
・軒先に来て啼く鳥や花の雨
・花の雨一人昼餉の灯を点し
・茶摘笠行きては戻り畑日和
○天翔る龍の首筋風光る
・下萌や園児歌ひて踊りては
平穏の父と子交はす一番茶
春眠のほどよき甘き匙加減
風光る瞬の閃きその刹那
比呂
・板書にも駲れ新教師風光る
・初つばめ錺精緻な船箪笥
・二の午や髭無き口を開け石狐
・茶刈機の丘の端まで休み無く
春灯し自動ピアノは低く鳴り
英郷
・茶摘み唄聴こえ来るよな一番茶
・垣根の茶摘み取る籠の茶の薫り
・夕風にそよぎ音無き竹の秋
・風光る胸のハモニカ取り出して
杉の穂を小径で拾ひ風光る
・県境の山懐の茶摘み笠
・代重ね褪せし石塀風光る
・公園を走り回る子風光る
遠目では動きの見えぬ茶を摘む手
奥那須の山裾埋める茶の畑
ミヨ
・門前のけふの一言風光る
・仏舎利塔かすむまほらの夕桜
・春耕の撒いた石灰鋤き込んで
五指組めば乾きよしなし新茶摘む
一つ葉や目鼻わかたぬ石仏
昭雄
・ブーメラン音上げ戻り風光る
・風光る老いて漢の夢未だ
茶摘女の赤い襷に菅の笠
風光る楡に檜にこゑかけて
竹林に風の運び来茶摘唄