12月のもう一言

利孟
返り花花咲爺はポチ連れて
古老の手見ては真似ては注連を綯ふ
数へ日のATMの列の黙
漏刻の音ひそやかに小夜時雨
煤払ひ三猿揃ひて目を塞ぎ
比呂
畳裏のいろは東西煤払
すごいなと:美
底冷えの口開けてゐる古鎧
鎧と兜違わない?:石/
風花や採血の針腕探る
ビーナスとふ出土の俑や返り花
寒禽の鋭声たて合ふ藪の中
寒禽というのは鶏に限らず、冬の鳥様々のようです
聖子
待合室の椅子xの字冬ざるる
面白い句:木/
菊花展の作品運ぶ乳母車
寒夕焼無人で通る路線バス
スポーツ選手の表敬訪問秋日和
夕暮れや前籠の高値大根ゆれ
大根が高いって、生活感丸出しですね
ミヨ
聖樹の灯点せば闇を深くせり
せりは他動詞、点せばなら闇が深くなると自動詞で受ける必要あり、ともして闇を、点せば闇の深くなりだろう/
藁匂ふ俵三段の宝船
音数の問題
梨棚の吊縄ほつれ返り花
自分の句と比べなるほど:良/近所の梨畑の感じが出ている:美
煤払ひ鼻三尺の天狗の面
下五はくずさないほうが
長屋門干大根のしだる影
美恵子
豊満な山肌浮かばせ冬朝陽
冬の闇浮かぶ電飾の一軒家
赤札の越乃寒梅戻り花
極上の越乃寒梅があるらしいね
コロナ禍や病室に置くミニツリー
ツリーは季語には不十分、スカイツリーだってあるんだから
酒樽の積まれて暮の松前漬ける
酒樽に松前漬けを漬けるのか?
雅枝
太陽に恋してひらく返り花
太陽にというとギラギラと耀く
焼き芋の匂ひ気になる日暮時
気になるは無いでしょう
神仏の塵を払ってよいお年を
なんか、悪しきを払ってみたいだな
オオタニの話題沸騰忘年会
そうですか、別に関心無いですが
二人だけ君とケーキのクリスマス
昭雄
帰り花よき寺によき仏ゐて
サラッと詠んで良いな:石/
花の名のわからぬままに帰り花
何の花か分からないと返り花か、季節の花かは実はわからんのよ
思い出を訪ぬる路傍帰り花
人それぞれに思い出はあるが、どんなものかが見えないのでは花に思いが写らない
煤掃きて明るくなりし四畳半
そんなに汚れてた、障子の張り替えなら分かるけど
煤払い逃げ出す一歩下駄の音
逃げるといってもすべきをしないという意味は持たせないでしょう
英郷
灯を背にし煤湯に浸り顧みぬ
暗い電球の下で煤湯に浸かっている、その情景から沈思黙考を思うのは読み手で作者は黙っているのです
地震後の落石傍に帰り花
なんで地震の落石なんて分かるの?
空澄みてぽつんと見えし返り花
空澄むは秋だな
幼な児も母の真似して煤払ひ
真似するのは当たり前、そこに新たな発見が無ければ
手凍え一陣の風煤払ふ
季語は一つの原則を守ることから、風が煤を飛ばしてもそれは煤払いでは無い
信子
手足伸し少し長めの煤湯かな
少し長めとかわからんでしょう、長湯、烏の行水
枝の先つぶやく如く返り花
煤掃終ふ犬一匹の広い部屋
咲く容散る容ふと帰り花
(かたち)
煤逃げと一人は犬を連れ出して
良人
帰り咲く梨の白花果実園
煤払う身の立場は煤籠り
払ふ
掃除済み床の間更に煤払う
山路端続く躑躅の帰り花
山路端?、躑躅の返り花は普通
帰り花遠くに望む那須連山
木瓜
スケーター右に左に空を切る
スケートの刃が鋭いから?、空を切るというと空振りみたいですがね、そんなつもりで詠んでいないというのは傲慢です
鯛焼きの合わせ目の齟齬食み消して
あはせ
名句発つ締切日待ち狂ひ咲き
湯豆腐の熱く茹でられ掬ひ待つ
釜ゆでかい!、茹だったら美味しくないでしょ、大体熱湯風呂で遊んでるんでは無いのだから掬いと救いの掛詞なんて遊びをしないでくれ
そんなもの煤逃げのうへ碁で負けて