社会保険労務士 森 芳樹
 
【社会保険労務士のインターネット電子申請等について】
 
平成16年5月
 社会保険労務士が届出データを所轄の官所(署)へ電子で申請する方法には色々ある。
代表的なものは、労働基準監督署へ提出する就業規則を一太郎・ワードなどで作成し、拡張子をHTMLに変換し、3.5インチのフロッピーデイスクに格納し届出する方法、社会保険事務所へ届出する健康保険被保険者取得届・喪失届、算定基礎届・月額変更届等を3.5インチのフロッピーで 提出する方法である。
 最近の給与計算ソフトの価格は、昔のことを思えば著しく低下しており、性能はといえば想像を絶するくらい高度化した。利用者が増加する過程で、ソフトハウスの操作に関するサポート体制は充実してきた。なかなか電話がつながらない困難に対して、安い料金の電話サポートもできた。このあたりの費用負担は、専門業務を遂行する上では絶対的なものとなっている。
 社会保険事務所へのFD申請には、社会保険庁の提供するソフトでデータを作成し届出する方法と民間のソフトハウスの作成した給与計算ソフトに付随のオプション機能を利用して、フロッピーデイスクへ取り込み、社会保険庁の提供するFDチェックソフトで検査したのち、検査済となったものを提出する方法の二種類がある。以上の電子申請は、役所が業務をしている日に直接窓口へFDを持参しなければならないということで、時間に制約を受けることになる。
 ここで、やっとと言っていいくらい遅延したのですが、労働厚生省は平成16年4月から、24時間365日いつでも、社労士事務所から通信手段により官所(署)へ持参しないでも提出できる方法を採用した。これをインターネット電子申請という。役所まで距離のある社労士には朗報といえる。
 インターネット電子申請用の専門用語には難解なものが多い。簡単に理解する方法として、認証局とは、はんこ屋さんのこと。電子証明書とは印鑑のこと。電子署名とは押印のことと説明される。インターネット電子申請の場合、基本情報については通信手段により情報を届出・提出できるのですが、申請に必要な情報通信できない添付書類は郵送することになり、申請内容などに問題点が生じた場合は電話・FAXで問題点の解決を図ることになります。
 インターネット電子申請をするためには、装備が必要です。必要な設備は、20万円程度のウンドウズXP(OSは現在のところ2000・MEも可)が搭載されたパソコン、3万円前後のルーター機器とFAX付き電話、ISDN・ADSL等の通信回線、社会保険労務士電子証明書(職印のことで全国社会保険労務士会連合会へ申し込む)、個人の電子証明書(個人の実印相当。住基ネットカードに市町村役場で電子証明書を組み込んでもらう。費用は1000円以内。身分証明書にも利用できる。パソコンに接続するためには、カードリーダーという機器が必要。※個人の電子証明書は、社労士のインターネット申請には必要ないが、今後利用価値がでてくるので取得するのが望ましい。社会保険労務士電子証明書を取得する前に、電子証明書とは何かを知る意味で、費用も安く、簡単に取得できる個人電子証明書を所轄の市町村で手に入れること)、インターネット電子申請に必要なアプリケーションソフトとマニュアルは、厚生労働省のホームページからダウンロードするかソフトの入ったCDを郵送で送ってもらう。以上が揃ったら事務所のパソコンに取り込む。
 パソコンへのインストールには、順序があるのでマニュアルに従う。労働新聞社からも社会保険労務士のための電子申請マニュアルが2000円で発売されている。厚生労働省のシステムサポート・社保ヘルプ・労働ヘルプ電話番号はあるが、現在のところまずつながらない。パソコンへ取り込む順序は、@厚生労働省のホームページから厚生労働省電子申請・届出システムのページを立ち上げ、厚生労働省認証局証明書をダウンロードし、パソコンに指示通り組み込む。Aフロッピーディスク内に格納された社労士の電子証明書を指示通り、パソコンにインポートする。BJRE1.3.1_10 のインストーラをダウンロードし、インストーラの指示に従いパソコンに組み込む。C 申請用アプリケーションソフト一式をパソコンのデイスクトップにダウンロードし、解凍することによりインストールするか郵送されたCD内にあるソフトをパソコンにインストールする。
 なお、労働保険適用徴収関係手続については、労働保険適用徴収電子システムを上記同様ダウンロードし、パソコンへインストールすることにより、インターネット電子申請(労働基準監督署に提出する書類)が可能となります。以上でインターネット電子申請をする環境は整備できたことになる。ここで注意すべき点は、電子申請の方式には、ブラウザ方式、申請用プログラム方式、アップロード方式の3つあり、社労士の場合申請用プログラム方式で処理することとしている。アップロード方式(民間業者の開発した社会保険事務も処理可能な給与計算ソフトで情報を作成し、申請用プログラム方式で検査したものを送信する。FD申請と同じ要領による)がやがて本命にならなければ二度手間の感はぬぐえず普及には限界がある。
 次にウイルスチェツク体制を装備する必要がある。ウイルスの感染源は電子メールで90%。プラウザで10%といわれる。ウイルス(誤作動を誘発するプログラム)は電子メールの添付書類にくっついて侵入するので契約しているプロバイダーにウイルスチェックを申し込む。添付メールは受信しないこと。電子メールの使用は、ウイルスチェックのついたメールのみ使用する。プラウザまたはメールチェックのついていない電子メールからの感染対策として、ウイルスバスターなどのウイルス防除ソフトを購入し、パソコンにインストールする。
 申請書類の作成方法は、マニュアルを見ながら、簡単なものからやってみよう。平成16年5月現在、社会保険事務所へ提出する書類は、様式記入による方法でインターネット電子申請をした場合に限り、事業主の電子証明書がなくても社会保険労務士の電子証明書のみで処理できている。社労士の場合、算定基礎届等を一括受領する際、所轄の社会保険事務所に関与先一覧表を提出している。これが社労士と事業主の事務代理の委任関係を証する事前登録と認定されていることによると判断していたが、そうでもないようです。
 ハローワークの場合は、社労士の電子署名に加えて事業主の電子署名がなければ受理できない、紙申請と同じであると職業安定局雇用保険課のK氏から返事が来た。社労士は事業主の電子証明書(実印相当)を手に入れることが困難である以上K氏の返事には驚いている。社労士会の組織的な交渉が必要であろう。また、労働保険事務組合用の電子証明書を発行する認証局は現在のところない。事業協同組合に付随した労働保険事務組合の電子証明書は法務局認証局が発行するとしている。まだまだ、労働厚生省へのインターネット電子申請は始まったばかりで課題は多いといえよう。