<ゲストティーチャーとの関係はギブアンドテイクが基本>
                             松本 俊樹
■ゲストテーチャーを迎えてのキーワードを平間晃氏は

 一 主導権
 二 時間
 三 お金
 
と設定した。(本誌連載)松本はさらにキーワードを付け加えた。

四 ギブアンドテイク
 
 
■ゲストティチャーをお迎えして一番に利益を得るのは子供である。ふだんの授業では得られない臨場感、生の声を聞くことができるのである。
 次に利益を得るのは授業をする教師自身である。何といっても授業のヤマ場をひとつ設定できるからだ。
 「みんなの話し合いについて今日は特別にゲストをお招きしています」のように紹介するだけでひとつのヤマ場を設定することができる。さらに教材研究する上で教師自身がたくさんの情報を得ることもできる。
 
■では、ゲストテーチャー御自身に何か得ることは何もないのだろうか。ささやかなお礼と子供達からのお礼の手紙や学習のまとめだけでよいのだろうか。それだけで良いという考えもあるだろう。
 しかし、ゲストテイチャーにももう少しの利益を与えることも考えなければならないのではないだろうか。
 たとえば、ゲストティーチャーの専門分野に関して、

@子供はどのように学習しているか。
A子供はどのように考えるか。
 
を知ることが利益になるのではないだろうか。 
 
■四年生に「環境と地域開発」をテーマに「ため池の未来」を授業した。授業の主導権はもちろん教師である。教材研究をする上で市の環境企画課の方にいろいろ情報を教えていただいた。打ち合わせの時にどのような授業でどのようなねらいなのかも充分にお伝えできた。時間は授業時間の終わり五分間を設定した。あらかじめ時間が来た時点で終了とのお約束。「お金」は職務として来ていただいた。学校で子供達に「環境」について話をする機会も職務であるとして。さらに、子供達が身近なため池環境についてどんな意識を持っているのか子供の声で聞くことができたのが一番の収穫だとお礼もいただけた。
 また、ため池を調べる際には地域の農業委員の方にお世話になった。これも子供達に地域で働く人々の思いや開発に携わった地域の人々の願いを子供達に伝える貴重な機会と喜んでいただけた。
 
■四年生に「環境とエネルギー」をテーマに「電気のこれから」を討論する際にもゲストティチャーをお招きした。関西電力の職員の方である。広報関係のお仕事として携わっていただけた。電力会社として消費者にお願いしたい内容と子供達の考える未来のエネルギー像の違いがあらわになった点で貴重な機会としてとらえていただけた。授業の際には電気自動車や発電のしくみ(手回し発電器などの実演)も含めた出張授業もお願いできた。地域の電力会社・環境保護に携わる人々の仕事として授業に生かすことができた。