計算指導・練習問題をさせるときのポイント3+α
■子供に力をつけさせる練習問題のさせ方を自己診断しましょう。
(当てはまる記号に○をつけてください。)
問題1 教科書の練習問題はいつさせていますか?
ア 必ず授業中にさせている
イ 授業中にさせたいが時間が足りないときは宿題
ウ ほとんど宿題
問題2 うっとりするようなきれいなノートを書ける子は算数の力がつい
ているといえます。
うっとりするようなノートを実現させるにために重要なことは
何でしょう。
ア TOSSノートを使わせる
イ ミニ定規を使わせる
ウ ゆったりと使わせる
(隣との式は指2本分空ける・次の問題に行くときは1行あける)
エ 教師が個別評定する
オ うっとりするようなノートの見本を紹介する
カ 教師自身が子供になったつもりでノートに書いてみる
問題3 練習問題をさせました。子供がノートを持ってきました。
習った通りしていません。途中の式を飛ばしています。
でも、答えは合っています。どう指導しますか?
ア 答えは合っているので○をつける
イ そういうやり方もあるねと○をつける
ウ 今度は習った通りにしようねと言って○をつける
エ やり直しをさせる
■問題1の答え
↓
1 必ず授業時間内に練習問題をさせます。
宿題にしません。
宿題にしなければならないということは授業に無理・ムラ・ムダがある証拠です。
教師は余分な言葉を言っていないか、導入で余分なことをしていないかチェックしましょう。
「教科書の基本型」→「例題・練習問題」→「計算スキル」の流れが出来ていればOKです。
■問題2の答え【全部当てはまります!!】
↓
2 ノートはもちろんTOSSノートを使わせます。
教師は事前の教材研究の時に子供用のノートに実際に書いてみます。
「ここで何行使うか」「たてをどうそろえさせるか」など実際に書いてみることで見えてなかった
ことが見えてきます。
■問題3の答え
↓
3 「習った通りにしなさい」と指示します。
「先生、途中の式も書くんですか」「途中の式を飛ばしてもいいですか」「筆算でするんですか」
などアドバルーンを上げる子もいます。「習った通りにしなさい」と毅然と指示します。「ミニ定規
を使う」「約分の斜線を引く」など指導したこともきちんとさせます。
4 「出来ていること」だけではなく「やろうとしていること」を具体的にほめま
す。「ちゃんとミニ定規を使えているね」「=のたてがそろっていますね」「隣
の式とは指2本あけていますね」
「次の式とは1行あけていますね」など先取りしてほめる材料にしてしまうのです。
忘れている子も他の子がきちんとしているということで出来るようになります。
5 習った通りでなければやり直しをさせる。
つまり・・・4月の第1時が勝負となります。
もちろんいっぱい書かせて全部やり直しでは当人もたまったモノではありませ ん。
1行なり1問なりさせた時点でしかも「習った通りしてなかったらやり直しで すよ」「縦の位は
そろっていますね」など事前にチェック項目を子供たちに知 らせておかねばならないのです。
問題4 練習問題を8問させるとします。
何と指示すればいいのでしょうか。(例 p27 F)
ア 1問目が出来たら持ってきなさい。
イ 全部出来たら持ってきなさい。
ウ 8問しなさい。
エ 2問目(3問目)が出来たら持ってきなさい。
問題5 「3問目まで出来たら持ってきなさい」と指示しました。
子供たちはノートを持ってきます。
そのときの留意点をお書きください。
【例】1 イスをきちんとしまわせる
2 通る方向を決める
3 「お願いします」「ありがとうございます」と言わせる
4 教師に見やすい方向にノートを向けさせる
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問題6 速くできた子も出来ない子も満足させるにはどんな手だてを打ち
ますか?
■問題4、5,6の答え【+解説】
↓
6 通常「3問目(または2問目)まで出来たら持ってきなさい」と指示します。
教師のところへ持ってこさせるのです。机間巡視のチェックとは全く違う様相になります。
なぜ1問目ではなく3問目なのでしょうか。なぜ全部出来たらではないのでしょうか。
重要なポイントです。
1問目で持ってこさせたら・・・一気に子供たちが殺到します。列が出来ます。
話し声、ちょっかいがする子が出てきます。教師は当然叱らなければならなくなります。
個別指導もしなければならない上に態度の指導もしなければなりません。やがて教室は騒乱 状態になります。「列の後ろには学級崩壊の亡霊が立っている」【向山先生の言葉】というの です。
「全部出来たら持ってきなさい」ではそのあと何をするか空白の時間が出来てしまいます。「先 生何するの・・・」と。授業では一瞬たりとも何をすればよいか分からない空白の時間を作 ってはいけないのです。空白禁止の原則(向山洋一氏)です。空白から騒乱状態が待ってい ます。
全部出来たら・・・では速い子と遅い子の差が大きくなりすぎます。
速い子が全部出来た時点でも遅い子は1問目の途中と言うことがあります。
(1問目から時間差が出来る場合・・・補助計算などが入ってややこしい問題は「1問目が出 来たら持ってきなさい」と指示。)
7 持ってきたら3問目だけに○をつけます。1,2番には○をつけません。これも列を作らな いという思想からです。また、3問目が出来ていたら1,2番は出来ているだろうと予想し ていいわけです。さらに○がついてない問題があるので子供は自分で見直しをするようにな ります。
8 間違えていても長々と個別指導しません。これも列を作らないためです。「惜しい」と言って ×をつければいいのです。子供はどうしてかなと思って再挑戦してきます。いちいち教師が 1回目の×で間違いのわけなど指導する必要はないのです。×がついて2回目で○をもらうこ とで子供は一つの壁を打ち破ったのです。余計な個別指導で子供の達成感を奪ってはいけませ ん。まさに小さな親切大きなお世話です。
9 ×をつけたら消しゴムで消させません。自分の間違いを残すよう指導します。「×がいっぱい ノートに残る人はお勉強がよくできるようになっている証拠です」と逆に×をほめます。見栄 を気にする子は何度言っても消しゴムで消してしまいますが根気強く指導します。
10 全部出来た子には黒板に答え(式も)を書かせます。速い子への配慮です。また、出来ない 子への配慮です。「『難しいなぁ』『合っているかな』という人は前の友達の答えを参考にして いいんですよ。」というのです。「先生写してもいいんですか」とたずねる子もいます。「そう、 写していいんです」「写すのも大事なお勉強です」と力強く言ってやります。ところで出来な い子ほど写したがりません。「分からない子は写しなさい」と強制することもありました。
問題7 ノートを持ってこない子がありました。
「書くのが遅い」「よく分かっていない」などの事情のようです。
どんな手だてを打てばいいのですか。
■問題7の答え
↓
10 中にはノートを持ってこない子もいます。次のように言っておかねばなりませ ん。「まだ持ってきてない人は途中でも持ってきなさい」持ってくる子の中に は終わっている子がいます。「ちゃんと出来たね」とほめればこの時点でもっ て来ている子もちゃんと出来ているんだと周りの子は思います。だから遠慮な く持ってこれるのです。さらに「まだ全然書いてない人も持ってきなさい」と いうときがあります。「偉い!!」といって赤鉛筆で薄く答えを書いてやれば いいのです。最後の部分だけを残しておけば再度持ってきたときに「自分で出 来たね」と強くほめることが出来ます。
11 「3問目が出来たら」でしーーんと取り組む時間が確保できます。その間に出 来ない子への個別指導が可能です。この時点では全員が問題に取り組んでいま す。だれが出来てないのかなど眼中には入りません。だからこそ遠慮なく個別 指導できます。みんなが問題を解き終わっているときに延々と隣に座り込んで 個別指導するようでは周りの子に「この子は出来ない子です」と知らしめてい るようなものなのです。
問題8 黒板に子供に書かせるときの留意点は何ですか。
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■問題8の答え
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12 出来た子には黒板に問題をかかせます。書ける人数が多いほど子供たちにとっ ては学習量が増えます。だから黒板には何も書かないのが一番いいのです。通 常8等分(6等分)縦に区切ります。ノートに書いた通りに書かせます。( ) 名前も書かせます。
13 「前で書くのですからみんなの見本です」という意識も持たせます。いい加減 に書いていたら教師が消してしまう(向山先生談)こともあるのです。また出 来るだけ黒板消しは使わせません。通常白チョークで書かせます。
14 突拍子も速くできる子もいます。「もう一度よく見直しをしなさい」と言います。 言われた子は思わず大丈夫かなと見直しをします。時には「ここ計算間違いだ った!」と言ってくれる子がいます。「見直しをしててよかったねぇ」とこれ もほめます。」
15 黒板に8人が書いていますが全員書き終わるまでに発表させます。教室に緊張 感が出てきます。リズムとテンポがよくなります。前で書いている子はほぼ出 来る子なのですから黒板に書かせながら友達の発表を聞かせてもいいのです。
このように間を詰めるからわざとゆっくり・・・と言う子は皆無になります。
16 発表は通常書いた通りに発表させます。わざわざわけなど言わせません。
途中の式で操作を言わせるときもあります。
「分母と分子を入れ替えて・・・」「分母同士をかけて・・・」などどの問題にも共通する言い方を習った通りに言わせるのです。
問題9 なぜ3問目だけにしか○をつけないのですか。
教師に余裕があれば3問とも○をつけてもいいのではないですか。
ア 余裕があればよい
イ 余裕があってもよくない
ウ 臨機応変
■問題9の答え
↓
17 教師が3問目にしか○をつけていないから子供たちは真剣に黒板を見ます。自 分の答えと合っているかどうか確かめようとします。友達の発表もしっかり聞 けます。時には「隣の人発表しなさい」などと別の子を指名することもありま す。全部出来たと安心させないようにするのです。「全部終わって自信のある 人もあるようですが念のために発表の練習をしておきなさい」と指示します。
18 発表の間、教師は口を挟みません。合っていれば○をつけます。子供たちには ノートに赤鉛筆で○をつけさせます。中には自分で○をつける習慣のない子も いますからきちんときれいな閉じた○をつけさせます。「自分が出来たという 証拠に○をつけるんです。○をつけるから自信がついてどんどん賢くなって行 くんです。」などの趣意説明を入れることもあります。
19 補助線が書き込まれていたり補助計算がきちんと出来ていたら2重○をつける ことがあります。個別評定も重要です。
発表が全部終わったあとまだ写せていない子のために時間かぜぎをします。
「ちゃんと定規を使えていた人?花丸を書きなさい」など。
問題10 練習問題の指導の詰めの場面で重要なことは何ですか。
■問題10の答え
↓
20 さらに「教科書に出来た印を入れなさい」と指示します。自分が出来たかどう
かをチェックする技能を身につけさせるのです。