5 向山型学習システム「わくわくやる気チェック」

                                松本 俊樹
 
 「関心・意欲・態度」を評価する正進社テスト「わくわくやる気チェック」には身につけさせたい学習技能が示されている。いわば「向山型学習技能」が示されている。「いつもする(よくがんばる)◎」が増えるかどうかは日常の授業の反映である。どのような授業をすればよいのか。          
「わくわくやる気チェック」(6年2学期1回目 )は以下の項目である。
 ■資料(4)参照
 

1 教科書・資料集・ノートを忘れずに持ってくる。
2 ノートに文字をていねいに書くことができる。
3 分からなかったことを教科書や資料集を使って調べることがで  きる。
4 自分の考えを発表することができる。
5 友達の意見をよく聞くことができる。
6 好きな歴史人物の名前を一人言うことができる。
7 社会科の教科書にのっているさし絵についてかんたんに説明で  きる。
8 平安時代と鎌倉時代のちがいを説明できる。
9 歴史のマンガや本をよく読む。
10 ニュースを見たり新聞を読んだりしている。

 
 
■「1 教科書・資料集・ノートを忘れずに持ってくる。」ようにさせるには授業中に教科書や資料集・ノートを使わざるを得ないようにするのである。
 たとえ教科書から離れた教材を持ち込んでいても「にている方法はどれですか?」など教科書や資料集にも目を向けるようにさせるのである。資料選択力を鍛えることになるし教科書などに出ている調べ方・学習のモデルを学ばせることになる。またノートに書かせればよいことを「プリントに書き込みなさい」などと指示しない。毎時間毎時間ノートを使わせればよいのだ。
      
■「2 ノートに文字をていねいに書くことができる。」には個別評定が有効である。 見開き2ページのノートまとめの場面。まとめを2ページ終わって評定では遅すぎる。 もっと早い段階で個別評定を入れていく。
 「ていねいさを見ます。とってもていねい合格はA、普通はB、ていねいさが見えな いはC。」「Cの人は書き直しです。」「3行書けたら持ってきなさい」。
            
■「3 分からなかったことを教科書や資料集を使って調べることができる。」ためにはすぐに教師が答えを示さないことである。また、すぐに答えが発表される場面でも「教科書のどこに出ていますか?」「資料集のどこに出ていますか?」と発表者以外にもきちんと聞き返すのである。
 「知らなかったことはこのように教科書や資料集で調べればいい。今見つけたところに線を引きなさい。(○を付けなさい。)」と説明も加える。
  
■「4 自分の考えを発表することができる。」ためには自分の考えをもたざるを得ない発問をすると良い。しかも深刻さなどみじんも感じさせないように発問する。
 「今から、一人一人の考えを聞きたいと思います。とりあえず今の考えを聞かせてく ださい。いわゆる知的ゲームと思って考えてください。平安時代の貴族の館と鎌倉時 代の武士の館、どちらにすみたいですか?要するに平安時代と鎌倉時代どちらに住み たいですかという問題です。」
 とりあえずどちらかに決めさせればよいのだ。さらに理由を書かせる。「きれいな着物を着たいから」という意見が出たなら強く「なるほど!!もっともだね。」と共感するのだ。教師に認められるからこんな意見でもいいかなと子どもは安心して発言できるようになる。
 同様に1枚の資料(写真・絵)からの読み取りの学習場面でも「自分の考え」を引き出すことができる。
 
→資料(5)
 @ 「討論」場面:学級通信
 A 1枚の写真の読み取り    
           
■「5 友達の意見をよく聞くことができる。」かどうかは自己評価させればよい。自己評価場面をつくるのである。次々と指名なし発表が続く授業。発表したかどうかや発表内容についての評定をした後次のように言う。「友達の意見をしっかり聞いてメモできた人?」「たくさんの発表の中で自分がもっともすばらしいなぁと思った意見は誰のどんな意見でしたか?」と。
                
■「6 好きな歴史人物の名前を一人言うことができる。」ためには次のような課題を示せばよい。資料集などの人物の顔一覧(説明)を示して「誰か一人決めて詳しく調べるには誰を調べますか?一人決めなさい。」
           
■「7 社会科の教科書にのっているさし絵についてかんたんに説明できる。」ことは重要である。「教科書を使って学び方を教える」谷和樹氏の実践が参考になる。「システム」を教えるのである。

1)単元を概観していく。
  「見出し」「課題文」だけを次々とめくってみていく。
2)教科書見開き2ページ単位で読む。(見出し、課題、写真の見出し、コラムの
  タイトルなど)
 「声に出して読みなさい」
3)キーワードを赤で囲みなさい。(3つ)
  @板書させる。
  Aノートに写させる。
4)キーワードについて1〜2行で説明しなさい。(個別評定)
5)1番大切な絵・図を一つ選び写しなさい。(直写)
 
 
■「8 平安時代と鎌倉時代のちがいを説明できる。」は上にすでに示した。