(C)Two-Way/小学校/6年生/社会/8月が来るたびに(ヒロシマ)/昭和/核兵器
松本 俊樹(TOSS兵庫播磨むしあなごの会)
夏休みになると必ずやってくる8月6日、9日、15日。その日の意味を少しでも考えさせるために夏休み前にこの授業を。
*1998年7月15日(水)の社会科授業。
次のような写真を見せました。
(嵐の中の母子像・・・・この名は知らせてはいない。)
発問1 どこの写真でしょう。
指示1 何県何市か予想しなさい。
1、2、3と3つくらい予想しなさい。
いきなり列ごとに発表させる。見当がつかないという児童もある。
一通りの発表後これだという市に挙手させる。
(<>内の人数)
その後、人数の少ない意見から理由を発表。
1 ? <0人>
・?という児童も他の児童の発表を聞いてとりあえずどこかに予想することができた。
2 大阪 <4人>
・理由は特になし。
3 広島 <24人>
・次のような理由。
「原爆から子どもを守っているのである。」
「原爆の中子どもを守るために走っている。」
「原爆でたくさんの人が死んだことを表している。」
一通りの理由発表後、再度どの市にするか聞くと32名が支持。
インパクトの強い理由がいきなり出てきた。
4 京都 <3人>
・理由は次のとおり。
「今学習している時代はちょうど室町時代である。
室町幕府があったのは京都。だから京都市にある物だろう。」
かなり現実的に考えているようす。しかし、「先生はときどき全然違う時代の物を出すからなぁ。」と警戒している児童もある。
5 神戸 <1人> ・兵庫県の県庁所在地だからか。
6 福岡 <0人> ・元こうと関連づけた。
7 長崎 <4人> ・きちんと証拠を示した理由が発表された。
「資料集のP86を見て下さい。平和祈念像が出ています。これはこの写真と似ています。原爆に関係 する像が他にもあるだろうと思って長崎にしました。」
「広島市にあります。」と教える。。
見当もつかないと思っていた「場所」がこれだけ絞りきれたのはなぜなのか。
やはり写真からのイメージ・訴え」が子どもたちに伝わったからか。
もちろん「長崎市」の理由づけも強く強くほめる。
発問2 この像の名前は何というでしょうか。
指示2 「( )の中の( )像」という形で答えて下さい。
ノートに書かせ、黒板にも書かせた。<>内は支持人数。
ア 原爆の中の親子像<25人>
イ 戦争の中の原爆像<1人>
ウ 火の中の親子像<3人>
エ 炎の中の親子像<5人>
オ 親の中の子ども像<1人>
カ 母親の中の幼い子ども像<3人>
*像の名前を教える。「嵐の中の母子(母子)像といいます。」
「親子ではなく母子なのか。」こんなつぶやきも聞こえてくる。
そこで予定になかった問題を入れた。
発問3 どうして親子ではなく母子なのでしょうか。
「男の人はその頃みんな戦争に行っていたからいなかった。」
「父は戦争に行っていなかった。」
「川とノリオ」「一つの花」などの話をイメージして発表している。
「父親はすでに戦死していたのだろう。」
*像の名の意味をたずねる。
発問4 「嵐」とは何を意味しているのでしょうか。
次々と発表。
「大雨」「戦争」「風」「炎」「煙」「B29からの爆弾」「焼夷弾の雨」「原爆」「放射能」
「黒い雨」のこと「爆風」のこと「炎」のことをすこしつけ加えて写真を見せて説明。
固唾をのんで見つめている。
説明1 次のような歌が作られました。
題名 「( )を許すまじ」
楽譜・歌詞を配る。
発問5 何を許すまじ、許さないのでしょうか。
「戦争」(大多数)
「町の破壊」(1人)
「原爆」(2人)
「米英(アメリカ・イギリス)」(1人)
(「原爆を投下したのはどちらですか」「アメリカ合衆国」と確認)
教師が歌う。「原爆を許すまじ」である。
発問6 (原爆ドームの写真を見せて)原爆ドームで訴えていることはなんでしょうか。 世界文化遺産としてのメッセージはなんでしょうか。 指示3 短く書いて下さい。
次のような考えを前に書いてもらった。
1 原爆の恐ろしさ
2 人のおかしたあやまち
3 戦争の恐ろしさ
4 原爆は物をこんなふうにしてしまう
5 昔の人の苦しみを世界の人に教えている
2の考えと同様のメッセージが平和公園にあることを知らせた。
「安らかに眠って下さい。過ちはくりかえしませんから。」
発問7 (8/6広島での式典の写真を示して)8/6、8/9にはこのような式典が今年もあります。 ここにいる人たちはどんな願いなのでしょう。
1 もう絶対戦争はやめてほしい。
2 これからも戦争がなく平和な世界にしていきたい。
3 世界中が今日も平和でありますように。
4 死んだ人を取り返したい。
指示4 今日の勉強の感想を書いて下さい。
・(原爆の実物大の写真を見て)これが広島に落とされた原爆。予想よりはるか に大きかった。こんなのが1個落とされただけで町は全滅・・・・・・・
・(原爆の実物大の写真を見て)松本先生が原爆といっしょにならぶといつもは でっかい先生ですが小さく見えます。
*大きさ一つにしてもそれぞれの感想があった。「意外に大きい。」「意外に小さい」などなど。
・どうしてこんな物を使ったのか。どうしても戦争に勝ちたかったからか。
*「なぜ使用したのか」という問題はとても大きなそして大事な問題。「勝ちたかった」ことは確か。それ以外の理由もあったのだ。
・原爆で約30万人もの人が死んでいる。悪魔の戦い。
・調べたいこと 1 だれが原爆をしかけたのか。
2 だれが原爆を作ったのか。
3 だれが戦争をはじめたのか。
4 どこの国が戦争をやろうといたのか。
・日本の国の人だけじゃなく他の国の人も被害を受けているのが分かった。
原爆の被害を受けた人がこんなにもいるとは知らなかった。
・広島の原爆資料館には人が座っていたあとがのこっているそうです。父に聞いた。私も広島の原爆ドームや資料館に行ってもっと調べてみたいと思いました。 私はもっともっと戦争のことを知りたいです。
・ぼくは1度広島に行ったことがあります。初めて原爆ドームを見たときは戦争でなくなった人の苦しさが頭の中に浮かんできました。
*こうして夏休みを過ごしていても世界各地では戦争が起きている。
12才ぐらいの少年兵もかり出されている。
地雷の被害にあっている人もいる。
国連の平和活動をされていた秋野さんが襲撃されるという事件もあった。
夏休み中親子ヒロシマ平和学習ツアーに参加した児童もあった。