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松本授業日誌「卒業式の1日」


TOSS兵庫播磨むしあなごの会/松本 俊樹


論文子どもたちを送り出すのに感傷に浸ってはおれない。
 私はこれでもプロのはしくれなのだ。どこまでも教師なのだ。
 子どもたちの動き・表情をとことん見取ることこそ仕事なのだ。



1998年3月23日(火) 松本授業日誌(卒業式)である.

1 朝、7:35学校着。

 学級通信「さらに一歩を」印刷。

 最終号である。

 私からのメッセージ(卒業式前に読む)や子どもたちからのメッセージが記されている。

 卒業式後に渡す「別離の唄」印刷。

 向山先生の「別離の唄」の追試である。

 さらに、分析批評の研究会で書いていただいた向山先生からの子どもたちへのメッセージを印刷。

2 教室でしたこと。

 何枚かのスナップ写真を配布。

 そのうち1枚が貼ってある紙に書いた私の子どもへのメッセージも配布。

 黒板にもメッセージを予定を書く。
 黒板に書いたメッセージは1代目からずっと同じである。

 「不死鳥のように・・・」
 「別れがあるから人の世は美しく、出会いがあるからこそ人の世はすばらしい」

 (向山先生の言葉の追試)
 子どもたちは教室にはいるとまずメッセージを読む。

 次の予定を確認する。さらに机上の写真や私からのメッセージを読むこととなる。
 黒板前に手紙袋を用意。

 最後の宿題としていた。

 別れゆく物の礼儀として教えた。
 「誰か、お世話になった先生に手紙を書きなさい。1通でも、2通でも。」

3 8:00過ぎ、子どもたちが次々に登校。

 在校生よりも遅めに登校することとなっていたが待ちきれずに登校してきたようだ。

 明るく、元気よくあいさつで迎える。

 何名か私の手で胸花を付けた。

 この子達は入学の日に私が名札を付けた子らだ。
 感慨ひとしお。

4 別れゆく担任にさっそくプレゼントや手紙を渡してくれる子がある。

 手紙にはすべて私は返事を出す。

 「やまなし」評論文を提出してくれる子もあった。

 ぎりぎりまでがんばったのである。

5 8:40〜職員打ち合わせ。

 体育館へ名簿等の準備確認。

 子どもたちはその間アルバムへのサイン会。

6 9:00〜全員そろう。

 あいさつの後東京での分析批評研究会でのことを話す。
 評論文の評価と向山先生のメッセージと東京土産。

 予定を知らせる。

 特に式後の動き。

 学校便りも配布。

 校長あいさつも出ている。

 要するに読ませなければいいのだ。
 まぁ事前に読んでいてもよいとは思うが。

7 トイレタイム。

 私は礼服に着替え。

 もどって呼びかけ、歌の練習。

 やっていくうちにじーーんとしんみりしてくる。

 再度トイレ確認し廊下に並ばせる。

 その間に子どもたちが4月に書いた卒業していく自分宛の手紙を私が一人ひとりの机上に配布。

 卒業式後の子どもたちが真っ先に手にする物である。

 廊下で男子一番と女子一番の児童の名を呼ぶ。

 「平成10年度卒業証書を授与される者、1組、・・・」と私の言葉。

 そのままミニリハーサルである。

8 9:45〜入場を待つ。

 すわらせて待たせる。

 来賓へ「おはようございます」と言える子どもたち。
 「全員起立。気持ちが高まって涙する人もあるでしょう。

 泣いてしまう人もあるでしょう。

 また、そうでない人もあるでしょう。

 でも、そんな人を指さしするような雰囲気にはしないで下さい。

 すばらしい卒業式にしましょう。」

9 入場・・・。

 何度もこみあげてくるものがあった。

 u君の返事。一番に返事である。
 この緊張感が成長につながるのだろう。

 同時に3人も動く。息もぴったり合っている。


証書をもらった後回れ右をして将来の夢を言い放つ。

 fさんは主語述語の合った言い回し。
 一人ひとりが堂々と将来の夢を言い放つ場面。

 ここまで鍛え上げてきたうれしさがこみあげてくる。
 誉れである。心にジーーンと来る。たくましさがあらわれていてうれしい。
 Iさんの返事。きりっとして力強い。芯の強さを思わせる。

10 呼びかけ。途中で向きが変わって拍手がある。

 「お世話になった先生方へ拍手を送ります」
 これほどこみあげてくることはない。参った。呼びかけ途中には歌もある。

 私も歌い上げた。これが最後だと何度もこみあげてくる。

 保護者席は・・・涙涙だ。

 見ないように、目に入れないようにしないと私にもどっとあふれてしまう。

11 退場。子どもたちの前に立つ。こんなにうれしい至福の瞬間。

 この子らを入学式で迎えた。そして今日、卒業式で成長したこの子らを送り出す。

 これ以上の喜び、教師としての至福感、充実感はないだろう。

 この場に立てることに感謝である。こみあげるものを感じつつ礼をする。

 一人ひとりの名前を心で呼びつつ顔をしっかり見つめる。最高の顔である。

12 11:55ごろ教室へ。私もトイレに行く。記念品配布。

 本当は式前に配っておきたかった。(式後にならないと届けてもらえなかった。)

 別離の唄プリント配布。読む。ぐっと来る感じがひしひしと。

 これを用意していてよかった。新しい言葉も入っている。

 私からのとことん硬派の行き着くラストメッセージである。

 「刻み込め!!」が断然にいい。歌もよかった。

 花を一人ひとりに渡して握手して一言ずつ言ってもらって話して教室を出る。

13 12:10中庭横に来た順に並ぶ。

 3クラスのうちで松本学級のみ真っ先に集合。人垣の中退場。
 次々と写真撮影をせがまれる。ひとときスターの雰囲気。

 数々の親御さんからあいさつをいただく。サイン、メッセージ、手紙いろいろ。

 これまた至福のひととき。

14 13:00〜 子どもたちの手紙をそれぞれの先生へ渡しにいく。

 旧担任や専科担当としても1通でもうれしいものである。

 卒業の日だからこそうれしいものである。

 この「福」は「分」けなくては神様に叱られてしまう。
 喜んでもらえばもらうほど子どもたちも幸せなのだ。

 私ひとり、いや6年生担任だけで育てた子どもではないのだから。

 卒業制作前でも記念撮影多し。

15 この6年間の築き・・・あえて「否定」し「壊し」次の実践をめざす。

 私に、根付いているものはまた芽を出すに違いない。

 うわべだけのものは消え去るだろう。



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