(C)Two-Way/小学校/4年生/教科国語/単元名一つの花/向山型国語
松本 俊樹(TOSS兵庫播磨むしあなごの会)
2000年10月の向山型国語教え方教室での伴一孝氏の模擬授業の追試である。 追試し得た実感「授業はシンプルな形にあこがれる。」
伴氏は「一つの花」を1時間で授業するという主張で模擬授業された。
追試する松本学級ではすでに「一つの花」を終えていた。
6時間の授業後の実践である。
1 音読(15分間)
「1時間でどれだけ出来るか挑戦して下さい。」
「みなさんの力を試してみましょう。」
(1)教師の読みのあとに「追い読み」させる。
指示1 全員起立。先生のあとに続いて読みなさい。
題名作者から追い読み。
(2)話の区切り(10数行)で止める。
指示2 ここまで立って読みなさい。 読み終わった人から座りなさい。
・子どもが読み終わる寸前に読む(重ね読み)
追い読みをしつつ10行くらいで再度指示2。
最後まで読み終える。子どもはここまでで2回読んだことになる。
発問1 『一つの花』は何がどうした話なのですか(板書もする) 指示3 問題をノートに書けた人からもう一度立って読みなさい。
「読むんですか」と質問の児童あり。
「もう一度声に出して読むのです。」と確認
「この1問だけです。みなさんの力が試されているのです。」とあおる。
数分後、読み終える子が出てくる。
y子s紀・・・・とすわっていく。
これで3回読ませたことになる。
指示4 ノートに自分の考えを書きなさい。
「何が・・・誰がなら分かりやすいけど・・・」とのつぶやき。
「何がをだれがと考えてもかまいません。」と補助指示。
「書けた人から持ってらしゃい。」 「一文で書くのです。」
「20字を目安にしなさい。」
書けた子のノートを見る。
書いてあればすべて赤鉛筆で○。
文末の句点、漢字使用はチェック。
指示5 黒板に書きなさい。
書いた児童の名前もかかせる。
「書けない人は前を見て言いなぁと思ったものを写していいです」
全員書かせる。写した児童や同じ文になった児童は名前だけ黒板に書く。
1 ゆみ子がお母さんになった話。(30)
2 ゆみ子が一つだけの人生を作った話。(30)
3 お父さんが戦争へ行ってしまう話。(60)
4 ゆみ子が一つだけちょうだいという話。(30)
5 この話はゆみ子の小さいころにおきた話。(30)
6 ゆみ子のお父さんが戦争に行ってしまう話。(90)
7 ゆみ子が二つの人生を歩む話。(30)
8 ゆみ子がコスモスを好きになる話。(30)
( )内は4での採点。
1回書いたあと2回目も持ってくる児童がある。
シンプルな発問は子どもを燃え上がらせる。
挑戦意欲をかき立てるのだろう。
3 ラストの児童が書き終わる前に読ませる。
指示6 順に書いた意見を読みなさい。
4 教師が採点していく。(1回目)
重要な語を黙って○で囲み点数をつけていく。
重要な語が一つあれば30点。
二つあれば60点。
3つあれば90点。
「ゆみ子」「父」「戦争」までは出てきた。
「父を亡くした」まであれば100点だろう。
「黙って」採点する。
くどくど理由を言わない。
○で囲んだ言葉を見れば何が大事なのか理解できるのだろう。
5 2回目に挑戦させる。
指示7 書き直してご覧なさい。
これも前で書かせる。(2回目)
「ノートに書くと力がつくけれど、前に出て書くと2倍3倍力がつきます。」
最後の人が書き終わる前に「右の人から大きな声で発表して下さい」
ア ゆみ子のお父さんが戦争に行かなければいけない話。(90)
イ ゆみ子のお父さんが戦争に行っていなくなる話。(95)
ウ お父さんがゆみ子に戦争に行くときに一輪のコスモスをあげた話。(90)
エ ゆみ子のお父さんが戦争に行ってお母さんが悲しむ話。(90)
オ ゆみ子とお母さんで戦争に行くお父さんを見送りに行く話。(90)
カ お父さんが戦争に行ってしまいさびしくなるゆみ子の話。(90)
キ ゆみ子のお父さんが戦争に行って帰ってこない話。(95)
ク ゆみ子のお父さんが戦争に行ってコスモスが好きになる話。(90)
ケ 戦争に行ったお父さんにゆみ子がコスモスをもらった話。(90)
コ ゆみ子のお父さんにコスモスの花をもらってさかせる話。(60)
サ ゆみ子のお父さんが戦争に行ってゆみ子がその後大きくなる話。(90)
シ ゆみ子のお父さんが戦争に行って別々になってしまう話。(90)
ス ゆみ子のお父さんがコスモスの花を見つめながら戦争に行く話。(90)
セ ゆみ子のあまりじょうぶではないお父さんが戦争に行ってしまう話。(90)
ソ ゆみ子のお父さんが戦争に行ってお母さんとゆみ子でくらしている話。(90)
発問2 もうひとつの大事な言葉は何でしょう。
次の2人が近かった。
・ゆみ子のお父さんが戦争に行っていなくなる話。(95)
・ゆみ子のお父さんが戦争に行って帰ってこない話。(95)
指示8 「いなくなった、帰ってこない」を別に言い方をするとすっきりします。 別の言い方にしてご覧なさい。
「死んでしまった。なくなった。」
「『お父さんが死んでしまった』ということなのです。」
6 再挑戦。
指示9 最後に書き直してご覧なさい。
・ゆみ子が戦争でお父さんを亡くした話。(100)
*この授業の追試にはいくつかの条件がある。
1 音読の力
ア 追い読みと重ね読みの経験があること。
イ 速読みができること。
のっぺりした教室音読のクラスでは音読だけで時間がとられる。
ウ 一人音読のスピードに差がないこと。
2 要約の力
ア 20字要約の経験があること。
イ 「・・・・・の話」というまとめ方を経験していること。
ウ 語句の意味をとらえる力があること(語彙力)。
エ 戦争の背景等を情報として知っていること。
(夏休み中等に戦争について学習済みか)
3 4つのキィワードの役割をはっきりさせておく。
「ゆみ子」中心人物
「お父さん」対役
「戦争」設定(最も重要な設定)
「父をなくした」中心人物と対役と設定の関係
*次は「佐久間艇長の話」に挑戦する。