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社会科学習を糸口に「福祉」学習へ


松本 俊樹(TOSS兵庫播磨むしあなごの会)

社会科学習の内容(資料)には多くの福祉学習への糸口がある。


1 社会科学習が糸口になる
 6年社会下の単元「私たちの生活と政治」の導入に「有田式社会科はてな資料集6年」(「社会科教育 別冊H」明治図書)p68の絵を使用する。
p68の資料のうち「1 人々は、自分たちのくらしについて、どんな願いをもっているだろう?」の絵のみを印刷して配布する。

(問いや説明は印刷のプリントに入れない。)
 まずは、資料集の指示通り。

指示1 きれいに色をぬりましょう。

色ぬりで絵をじっくり読みとらせて次の指示。

指示2 この絵から気づいたこと、ほんのちょっとでもいいから思ったこと、分かる     こと、考えられることをノートに書きなさい。

指示3 5分間で200個以上になるよう箇条書きにしなさい。

 この絵とこの指示で総合学習「福祉」への糸口になる意見を導くことができる。

 「福祉」に関する次のような意見を子どもたちは出す。

1 「ゆう導ブロック」とは何か。
2 目の不自由な人のために「誘導ブロック」を作っている。
3 みんなのために役立つ施設がある。

 もちろん税金・政治といった単元の学習内容に関わる意見も出てくる。
 1〜3の意見については次のように発展させることができる。

2 「ゆう導ブロック」とは何か。
 「誘導ブロックを知っている人、見たことのある人」に説明を求める。
 「黄色い」「ブツブツのある」「目の不自由な人のため」といった内容が出てくる。

 6年生であるからこの時点でほぼ

「3 目の不自由な人のために「誘導ブロック」を作っている」ということを知っている。
 「念のために」といって二つの誘導ブロックの絵を見せて問う。

発問1  ブロックの模様にはちゃんと意味があります。どちらが進めでどちら
      が止まれですか。

 予想できた(または知っている)児童一人を指名する。
 「Aは止まれ。Bは進め。」
 「この答えに賛成なら○。反対なら×を書きなさい。」と指示。児童を傍観者にさせないという野口芳宏氏流の全員参加のための指示である。
 誘導ブロックの写真を示すと模様の意味がはっきりする。歩道の端など止まるべきところにはA、進めるところにはBのブロックである。

発問2 誘導ブロックは身の回りのどこにありますか。

 学校付近の誘導ブロックを実際に見学させることもできる。
 この時に「アイマスク」をつけて体験活動もさせる。

1 目の不自由な人への介助法の学習
2 一人がアイマスクをして二人一組で誘導ブロックを歩く体験

 「アイマスク」は社会福祉協議会に事前に申し込んで借用させていただいた。

発問3 他に目の不自由な人のための物はあるでしょうか。

 児童の今までの経験からたくさんの例が出てくる。
 「シャンプーとリンスの区別」

 「お札の端についている◎」

 「テレカの入れる向きを知らせるへっこみ」

 「電話などの番号の上のポツ」

 「駅などには点字がある」

 「ジュースかお酒か区別できるように印がある」など。

 いくつかの例を知らせることが自分で見つける学習につながる。
 「駅などの点字」や「缶ビール等についている点字」の例から「点字の意味・読み方」についての学習へと展開することができる。この学習で威力を発揮するのが次の教材である。

ア 学習点字ペン
イ あかねこ点字スキル

 アの「学習点字ペン」には次のような特徴がある。

1 初めての人がすぐ授業できる説明書つき
2 点字の五十音表つき
3 練習シートつき
4 シールプレートで自分の名前など点字で書いて持ち物に貼れる。
5 チューブタイプで、鉛筆で文字を書くように点字が打てる。

 申込先は東京教育技術研究所である。

(連絡先 〒142ー0064品川区旗の台2ー4ー12 

TOSビル рO3(3787)6564 FAX03(5702)2384 定価280円)  

 イの「学習点字ペンワーク」は「ジュニアボランティア教育」誌(28号 東京教育技術研究所)で甲本卓司氏によって紹介されている。
 このワークを体験すると点字の仕組みがすっと身に付く。
 「ジュニアボランティア教育」を提唱する向山洋一氏はいう。

 教師ですから点字の「あいうえお」くらいは書けるでしょうね。

 向山氏の講座でたびたび耳にしてきた。教師自身も学習点字ペンやワークを体験してみるとよい。

3 みんなのために役立つ施設がある
 「点字」「目の不自由な人への介助」を学習したなら必ず次のような感想・気づきが出てくる。
「このように体の不自由な人のために他にどんな施設があるのだろう。」
 スロープ等の身の回りの福祉施設に目が向く。
「目の不自由な人とコミュニケーションするには点字を使う。耳の不自由な人とコミュニケーションするには手話を使う。」
 これは「手話」の学習への糸口になる。
 「手話の学習」実践例は先に紹介した「ジュニアボランティア教育」誌にたくさんの実践事例が紹介されている。
 「車いす」体験や介助法の学習にもつながる。この実践事例についても「ジュニアボランティア教育」誌の実践事例が参考になる。
 最後に「点字カルタ」を取り入れることをお勧めする。これも東京教育技術研究所で扱っている。一セット1500円。
 次の三つの特徴がある。

1、ボランティアカルタ
 点字だけでなくボランティアに関する情報を学べる。
2、点字カルタ
 カルタ遊びしながら点字に親しめる。
3、五色に分かれている。
 五十音を十音ずつ五色に分けてある。点字を覚えたりゲームにかける時間の負担 が少ない。
4 この点字カルタを実践すると教室がしっとりとやさしい雰囲気に満ちてくる。


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