(1)向山実践追試「一字題一行詩」でレトリック指導  
 原実践は「6年の学級経営 教師の成長は子供とともに」(向山洋一著 明治図書
 p189〜190)である。向山氏は卒業文集に入れる作品のひとつとして指導している。松本も卒業文集や学年文集の指導時に追試した。
 
 @ 一字題一行詩を紹介する
 「今から示す詩を先生の後に続けて読みなさい。」
 向山実践に示された児童の詩を3つ紹介する。(出典 同上)

 秋・かれ葉が一枚私のことを呼びかけた        (瑠美)
 机・人生と愛の重たさを感じている          (月子)
 秋・せっかく大事にしていた恋を逃しちゃった。    (桂子)
 
 1つ紹介した間に次のような説明をひとつずつ入れる。
 「この様な詩を一字題一行詩といいます。」
 「漢字を一文字決めて題名にしています。」
 「一文字決めてその下に一行詩を書いています。」
 
 A 1回目の一字題一行詩に挑戦させる
 「今から一字題一行詩を書いてもらいます。」
 「まず一文字の題名を決めます。」
 「1回目は全員同じ題名で作ります。」
 「『海』と漢字で題名を書きなさい。」
 「題名『海』の下に何か思いつくことを一行詩にします。」
 「ひとつ書けたら持ってきなさい。」
 黒板に書かせ読み上げさせる。
 
 次の2点に触れておく。
 「板書された詩全体がひとつの作品になっている。」
 「題『海』がリフレーンになっている。」
 
 B 個別評定する
 ・1行詩ができた。 3点 (1回目の合格ライン)
 ・題名「海」が一行詩に入っている。 2点
   → ・題を変える
     ・一行詩の「海」を別の一文字に変える。
 ・日本語としておかしい。                     <減点>
 ・当たり前の表現ではない。レトリックが使われている、ユーモアがある<加点>
  
 C 2回目の一字題一行詩に挑戦させる
 「自分で一字題を決めて一字題一行詩を作ってご覧なさい。」
 ひとつ書けたら持て来させて板書させる。発表させ個別評定する。
 ふたつ三つと作品を作らせる。
 
 D 付け加え

1 辞書を使わせる。
  題名一字の意味。自分の書いた一行詩の言葉。
  辞書で調べることで別の言葉に代えることが可能。
  語彙指導にもなる。

2 卒業文集に書かせるときは「自分の名前から一文字選びなさい」と指示した。
  名前の由来を調べるきっかけとなる。
  卒業前に家庭で誕生時のこと、名前由来のことなど話し合う機会が出来る。
  「良い機会をいただいたと」保護者から感謝の手紙をもらうこともあった。

3 一字題を文末に持ってこさせてもよい。
  体言止め(レトリック)である。
  全員同じ一字題で一行詩を書かせ時にも有効。
  
  例 海 コバルトブルーに珊瑚礁がゆれている
    ↓
    コバルトブルーの珊瑚礁がゆれている海