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佐久間艇長のエピソードを授業する(伴実践追試)


松本 俊樹(TOSS兵庫播磨むしあなごの会)

 2000年10月の向山型国語教え方教室での伴一孝氏の模擬授業の追試。 「一つの花」の授業のあとに実践するとよい。佐久間艇長のエピソードは「日本人の気概」に触れることができる。


 「一つの花」の追試実践の2日後の授業記録である。
 教材は「尋常小学 修身 巻六」(大正)の「第八課 沈勇」。
 プリントして配布する。

 教師が読み聞かせする。

 ふりがなを書きながら聞かせる。

 地名については地図を開く子、潜水艇などの言葉を辞書で調べはじめる子もある。

 いくつか補助説明もした。

発問1 この話は何がどうした話なのですか。

指示1 「ノートに書きなさい。」
指示2 「書けたら見せに来なさい。」(すべて○をつける。)
指示3 「黒板に書きなさい。」
 第1回目に書かれた文は次の12個である。


1 潜水艦のエンジンが止まって沈んでしまって部下が死んでしまった話。
2 潜水艦が沈み部下を死なせてしまった話。
3 潜水艦が沈み部下を死なせてしまいこれからも人々が作るように願っている話。
4 潜水艦に海水が侵入して佐久間艇長が遺書を残して死んだ話。
5 佐久間艇長が潜水艦の中で遺書を書いた話。
6 佐久間艇長はこれまでだと思って部下十四人を殺してしまった話。                7 潜水艦が沈んだ話。
8 潜水艦が沈むときに佐久間艇長が遺言を書いた話。
9 佐久間艇長達が乗った潜水艦が海底に沈み亡くなった話。
10佐久間艇長が潜水艦が沈んだ後も騒がずに遺書を残した話。
11潜水艦が沈んで十四人が亡くなった話。
12艇長佐久間が潜水艦でメモを残した話。


 それぞれ評定する。

 「佐久間艇長」「潜水艦」の二つだけが出てきた。

 キィワードひとつにつき30点。

 2回目に挑戦させる。


ア 佐久間艇長達が死んでも冷静だった話。
イ 艇長佐久間をその他と潜水艦とともに沈み冷静に立ち向かった話。
ウ 佐久間達が乗った潜水艦が沈んでいっても自分のすることをちゃんとしてそのことを遺書に  書いた話。
エ 佐久間達が乗った潜水艦が故障して沈んでも騒がずに力を尽くした話。
オ 佐久間艇長が潜水艦で死ぬと分かっていても自分の力でできることをやり尽くした話。
カ 佐久間艇長と部下が潜水艇で死ぬと分かっていたけれど最後までやり尽くした話。
キ 佐久間艇長と部下の乗っていた潜水艦が故障して沈んでいっても職務をちゃんとして遺  言状を残して亡くなっていった話。
ク 佐久間達が乗った潜水艦が沈んでいっても自分たちのしなければならないことをしてその ことを遺言に残した話。


 まずアが80点をとったのが秀逸。

 3つ目のキィワードは2回目でもさすがに難しくなかなか出てこない。

 そこでアだけを80点と評定。

 これで一気に道が開かれたという感じである。

 それにしても子どもたちは知的だ。

指示1 学んだことをアウトラインシステム作文にまとめなさい。
      書けた人は発表しなさい。


*追試して次のように実感した。
1 とにかく難しい話でも挑戦してくる子どもたち。
2 知的に鍛えられていく。
3 シーンとしてアウトラインシステムにも取り組む。
4 その内容も前回よりもぐーーんとよい。
5 佐久間艇長の話がいいからだ。力のある教材なのだ。
6 とにかく授業がシンプルだから知的になるんだろう。
7 アの80点が次々に100点を読んだ。子どもたちの挑戦意欲に火をつけた。
8 その上いくつも何回も書いて100点に挑戦してくる子どもたち。
9 アウトライン作文もみんなの前でしっかり読めつつある。
10 前に出た文で一人が100点をとっても同じ文を書かずに次々と自分の文を書いてくる。


*アウトライン作文を紹介する。


 佐久間勉は冷静な人である。
 たとえば潜水艇が沈んだとき冷静になっている。
 また、遺言状を書いた。
 しかし、なぜ佐久間勉はあせらなかったのか。
 このように佐久間勉は死んでしまっておしい人である。
 あらためて佐久間勉は冷静な人である。


 佐久間勉は冷静な人である。
 たとえば死ぬと分かっていたらこわいはずである。
 また、そんな死ぬ前でも騒がずに部下に命じて応急の手段をとらせ力を尽くさせたが助からなかった。
 このように死ぬ前にこんなに冷静に入れる人はそんなにいない。
 あらためて冷静な人と思った。                                        


 佐久間勉はすごい人である。
 たとえば遺言状を残したり冷静で立ち向かう。
 また、その部下達も冷静で立ち向かった。
 しかし、亡くなってしまった。
 このように全力を尽くしても無理なことはある。
 あらためて佐久間勉とその部下はすごい人である。                          


 佐久間勉は冷静である。
 たとえば死ぬ前だと騒ぐはずである。
 また、みんなに応急の手段をとらすのはすごいのである。
 しかし、私がこの場面ならたぶん騒ぐであろう。
 このように佐久間勉は冷静である。
 あらためて佐久間艇長はすごいと思う。                                  

(2000年11月実践)


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