(C)Talk Line/○学校/教科名/教材名/学年/キーワード(midasi)



戦前戦後を授業する(プラン)

TOSS兵庫播磨むしあなごの会 松本 俊樹


15年戦争をどう取り上げるのか、日本国憲法をどう授業するのか。
授業プランを示しました。



1 「だれが・・・いつ・・・」


向山洋一氏の「平和教育」に対する問い(「社会科教育」明治図書95年8月)を授業で取り上げる。

そのためには十五年戦争の年表が必要である。

授業の導入には戦後の廃墟の写真(絵)を示す。


発問1 どのようにして日本はこのような戦争への道をたどったのだろうか。

調べる方法として「年表に表しなさい」と指示する。

さらに向山氏の問いを追究させる。

「十五年戦争と呼ぶが毎年ひとつの大事件があったとして、十五の重大事件があった。」

(引用同上)


 指示1 重要な事件・出来事を毎年、ひとつずつ選んで年表にしなさい。
 指示2 その理由を短く書きなさい


たとえば次のような年表を示す。

1930 ロンドン軍縮会議
1931 満州事変
1932 五・一五事件
1933 国際連盟脱退
1934 満州国帝政
1935 天皇機関説(美濃部達吉)
1936 二・二六事件
1937 日中戦争(南京占領)
1938 国家総動員法公布
1939 ノモンハン事件
1940 日独伊三国同盟
1941 真珠湾攻撃(英米と戦争)
1942 ミッドウェー海戦
1943 大東亜会議開催
1944 神風特別攻撃隊編成
1945 原爆投下・ポツダム宣言


「その中から(授業すべき)三つ選ぶとすれば何か。」(引用同上)


 発問2 それぞれの事件から3つ選ぶとしたらどれを選びますか。
 指示3 それぞれ詳しく調べてノートにまとめなさい。


選んだ3つの事件をノート見開き2ページにまとめさせる。

それらを印刷し資料集にする。

その上で次の検討を行う。
「なぜ戦争は止められなかったのか。(中略松本)

『どこの場面』で『どのような位置にある人』なら『戦争を止められたのか』という検証である。」

(引用同上)
十五年戦争についての向山氏の問いに答えた実践がTOSSランドにある。
(http://www.tos-land.net/ 1143101勇眞)


2 日本国憲法はだれが作ったのか

次のように問う。


 発問1 日本国憲法はだれが作ったのか。


前文を読んだ児童は言う。「日本国民」「国民の代表者」「国会」果たしてそれは事実か。
少し調べた児童は言う。
「GHQ(連合国軍総司令部)民政局メンバー約20人)」
なんだそれはとなる。
「約10日間で作り上げられたマッカーサー草案」
次のように降伏文書に示されている。


  天皇及び日本國政府が國を治める権限は、連合國最高司令官の制限のもとに
  おかれるとする。


(「社会科理科 学習図鑑年鑑」社会科教育研究編 保育社 s24年発行 p184)
 

手続き上は大日本帝国憲法改正ではあるが実際では占領下でのGHQによる

改正指令であったことを知らせる。


3 憲法前文に親しもう

向山洋一氏は言う。

「憲法前文がすらすら読めること」
(「現代教育科学」97,5)

これは日本国憲法について学習する前提となる。

向山氏は「出だし数行」の暗唱も行っている。

前文の文章は難解である。


次の文章にも出会わせてみる。
(「騙し絵日本国憲法」清水義範集英社文庫)



 <2>わたくしたちの日本の国民は、わたくしたちやわたくしたちの子孫のた
     めに、世界中の国の人々と、仲よくしていこうと考えました。(以下略 松本)


前文を平易に書き直してある。児童に読み上げて聞かせる。

次の文章も読み上げる。
「だれが言ったのでしょう」と問うてもおもしろい。



<3>日本国民といういわゆるジャパニーズ・ピープルはですね、まずセオリー
    的に正当で・・・(以下略 松本)



この本には異なる21バージョンによって前文が書かれているのである。

(パロディ本である)

書き出しをいくつか読み聞かせた後、



  指示1 日本国憲法をまねて6年○組憲法を作ろう。(原実践 向山氏)


という実践をする。

プロの書いたパロディ本を知った上での憲法づくり。

ユニークな憲法ができあがることだろう。

作成された条文の検討も行う。

作成された条文例を示す。

第1章 学校
第1条 学校で必要のない物は持ってこない。
  @持って来てばれたらその場で没収。
  A没収された物は放課後謝り「もう2度と持ってきません」と誓う。
  B持ってきているのが友達にばれても脅したりいじめたりしない。(以下略)
  

前のページにもどる TOSS-LAND メール