高脂血症講座



   高脂血症とは血液中のコレステロ−ルや中性脂肪などの脂質が増え過ぎ、
   空腹時の総コレステロ−ル値が220mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上
   となった状態をいいます。    


遺伝的な要因や肥満、食べ過ぎ、運動不足、長期の飲酒などが、高脂血症の原因に
なります。

又、コントロ−ルの悪い糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患などが原因になることも
あります。



     大規模臨床試験において、薬物治療による総コレステロ−ル値あるいは悪玉コレステロ−ル値
     の低下は、心血管イベントを抑制することが明らかとなっています。


                    (平山哲氏・武城英明氏の論文から引用)
注  プラセボ;偽薬、プラバスタチン;コレステロ−ルを下げる薬


中性脂肪の場合

  高中性脂肪血症と、動脈硬化性疾患の発症・進展とのかかわりに関しては、
  高コレステロ−ル血症、あるいは高悪玉コレステロ−ル血症と冠動脈疾患
  との間にみられるような明確な関連性が認められず、依然として議論の
  多いところです。
  しかしながら最近の研究から、臨床的に独立した危険因子として中性脂肪値
  を考慮することの意義が次第に認識されつつあります。


善玉(HDL)コレステロ−ルの場合

  このコレステロ−ルは、低い程動脈硬化症の危険因子となります。
  動脈硬化学会では、HDLコレステロ−ルが40mg/dl以下の状態を
  低HDL血症と定めています。
  疫学調査の結果より、HDLコレステロ−ルが1%低下すると、狭心症や
  心筋梗塞の発生頻度が2〜3%増加すると考えられています。
  イスラエル、オ−ストラリアで行われたコホ−ト研究では
  HDLコレステロ−ル低値は明らかな脳梗塞の危険因子になっていました。



 
    悪玉コレステロ−ル総コレステロ−ル善玉コレステロ−ル
中性脂肪×1/5 

    の関係があります。
     例1 総コレステロ−ル235mg/dl、善玉コレステロ−ル80mg/dl、
        中性脂肪140mg/dlの人は
         235-80-140×1/5=127 これは治療の必要はありません。
     例2 総コレステロ−ル225mg/dl、善玉コレステロ−ル45mg/dl、
        中性脂肪140mg/dlの人は
         225-45-140×1/5=152 これは治療が必要です。
   
   即ち総コレステロ−ルよりも、むしろ悪玉コレステロ−ルが問題となります。
            
    


     日本人のデ−タを分析すると、冠疾患の発症率は総コレステロ−ル
    200mg/dl以下では大きな違いはなく、220mg/dlになると1.5倍、
    240mg/dlでは2倍になります。
    この事実に基づいてガイドラインが作成されています。
    
   



・総コレステロ−ルが高い場合

 1、肥満の解消
肥満がある場合には総摂取カロリ−の制限が重要です。
肥満度、年齢、性、生活活動度などを総合的に判断して決定しますが、
一般に標準体重1Kgに対して25〜30KCal/日とします。

〔標準体重=(身長m)²×22〕×25〜30KCal
 
 (例) 身長160cmなら
      1.6×1.6×22=56.3Kg
      56.3×30KCal=1689KCal
 肥満気味の方は「糖尿病講座」を御参照下さい。
 1Kgの減量で総コレステロ−ル値は大体10mg/dl低下すると言われています。
 2、脂肪

   日本人は近年、脂肪をとり過ぎる傾向にあります。
   高脂血症や糖尿病などの生活習慣病が増え続けているのも、脂肪の
   とり過ぎが原因のひとつです。
   動物性脂肪(魚油は除く)はなるべく控えて、植物性脂肪にすると良いでしょう。
   脂肪の中では下表の中で一価不飽和脂肪酸のオリ−ブ油、なたね油、
   多価不飽和脂肪酸ではn-3系の魚油、紫蘇油が良く、n-6系の油はあまり多く
   取らない方が良いという動物実験の結果が出ています。
   又、蛋白質はどうしても脂肪を含んでいますので豆腐、納豆のような大豆製品、魚を
   中心とし、肉なら赤身か鶏のささみを取るのが良いでしょう。





 3、食物からとるコレステロ−ルは1日300mg以下にしてみましょう。
   但し、コレステロ−ルを多く含む食品は良質蛋白質やビタミン、ミネラル等の
   供給源でもあるので、神経質になり過ぎて極端にさけると、栄養の
   バランスをくずすことにもなりかねません。適量を心掛けましょう。




  
 4、食物繊維を多く含む食品を十分にとる。

   食物繊維は便の排泄を速め、コレステロ−ルの吸収を抑制します。
   食物繊維を多く含む食品の中には、歯ごたえのあるものも多く、ゆっくり
   噛むことで早食いが防げます。
   また、水分を吸収してふくらむので満腹感が得られやすく、食べ過ぎ防止
   にもなります。
   具体的には野菜、海藻、コンニャク等を積極的に食べると良いでしょう。
   但し海藻の中でも昆布には多量のヨ−ドが含まれており、大量に食べた場合は、
   潜在的に橋本病(慢性甲状腺炎)を持っている人は、甲状腺機能低下症に
   陥ることがありますので食べ過ぎないようにしましょう。
   

 5、抗酸化食品の摂取
   
   酸化された悪玉コレステロ−ルが動脈硬化を引き起こすといわれています。
   ビタミンC、ビタミンEやβ-カロテン等には悪玉コレステロ−ルの酸化を
   おさえる働きがあります。
   これらを含む食品には緑黄色野菜、果物、いも類、豆類、種実類等が
   あります。

   但し、果物、いも類、豆類、種実類は肥満傾向の人には要注意です。

 6、アルコ−ル

   少量ないし適量の飲酒は、善玉コレステロ−ルの増加作用と
   悪玉コレステロ−ル低下作用を介して、抗動脈硬化作用を示すと
   考えられています。
   適量とは一日ビ−ルなら中瓶一本、日本酒なら一合、ウイスキ−なら
   ダブル一杯以下です。
   但し、アルコ−ルに弱い人はアセトアルデヒドが血中に増えてきて
   癌発生等の危険が考えられるため禁酒すべきです。


 7、禁煙

   喫煙が動脈硬化を促進する機序としては善玉コレステロ−ルの低下、
   悪玉コレステロ−ルの酸化、血液凝固能の亢進、血管内皮損傷などが
   あげられます。

 8、運動

   運動の種類としては、なるべく全身の筋肉を使うもの即ち速歩、軽い
   ジョギング、軽い水泳、サイクリングなどが適しているとされていますが、
   決して無理をしてはいけません。
   一日総量で30分以上、週総量で180分以上が良いとされています。
   運動療法の開始に際しては、負荷心電図を含めたメデイカルチェックが
   必要です。
   厚生労働省の「健康日本21」では男性1日9000歩、女性1日8000歩の
   歩行が推奨されています。
   歩くことをお勧めします。


    ・中性脂肪が高い場合

     1、肥満の解消、同上      

     2、脂肪制限
 
      高中性脂肪血症の人は脂肪摂取過多傾向にあり、特に注意が必要です。

     3、糖質制限

      糖質の過剰摂取は血清中性脂肪を上昇させます。
      主食を制限し、砂糖を多く含む菓子やジュ−ス、果糖を多く含む果物の摂取は
      更に制限しましょう。

     4、アルコ−ル制限

      アルコ−ルは中性脂肪値を高める大きな原因になります。従って禁酒か確実な
      節酒が必要となります。

     5、食物繊維の摂取、同上
      
      
     6、禁煙

     7、運動、同上


   ・善玉コレステロ−ルが低い場合

     1、肥満の解消、同上

     2、運動、同上

     3、禁煙

    これらを実行すると善玉コレステロ−ルは増加してきます。    
    
 


診療科目


〒433-8112 村越内科 静岡県浜松市初生町1373-6 Tel.(053)437-0510