遺伝的な要因や肥満、食べ過ぎ、運動不足、長期の飲酒などが、高脂血症の原因に
なります。
又、コントロ−ルの悪い糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患などが原因になることも
あります。
・総コレステロ−ルあるいは悪玉(LDL)コレステロ−ルの場合
増え過ぎた総コレステロ−ルあるいは悪玉コレステロ−ルは血管の壁にたまって、
血管を傷つけたり、粥腫を形成したりし、動脈硬化を進行させます。
特に心臓をとりまく冠状動脈の血流が悪くなって、狭心症や心筋梗塞などを
起こす確率が高くなってきます。
又、脳梗塞を起こしてくる可能性もあります。


・中性脂肪の場合
高中性脂肪血症と、動脈硬化性疾患の発症・進展とのかかわりに関しては、
高コレステロ−ル血症、あるいは高悪玉コレステロ−ル血症と冠動脈疾患
との間にみられるような明確な関連性が認められず、依然として議論の
多いところです。
しかしながら最近の研究から、臨床的に独立した危険因子として中性脂肪値
を考慮することの意義が次第に認識されつつあります。
・善玉(HDL)コレステロ−ルの場合
このコレステロ−ルは、低い程動脈硬化症の危険因子となります。
動脈硬化学会では、HDLコレステロ−ルが40mg/dl以下の状態を
低HDL血症と定めています。
疫学調査の結果より、HDLコレステロ−ルが1%低下すると、狭心症や
心筋梗塞の発生頻度が2〜3%増加すると考えられています。
イスラエル、オ−ストラリアで行われたコホ−ト研究では
HDLコレステロ−ル低値は明らかな脳梗塞の危険因子になっていました。
悪玉コレステロ−ル=総コレステロ−ル−善玉コレステロ−ル−中性脂肪×1/5
の関係があります。
例1 総コレステロ−ル235mg/dl、善玉コレステロ−ル80mg/dl、
中性脂肪140mg/dlの人は
235-80-140×1/5=127 これは治療の必要はありません。
例2 総コレステロ−ル225mg/dl、善玉コレステロ−ル45mg/dl、
中性脂肪140mg/dlの人は
225-45-140×1/5=152 これは治療が必要です。
即ち総コレステロ−ルよりも、むしろ悪玉コレステロ−ルが問題となります。

日本人のデ−タを分析すると、冠疾患の発症率は総コレステロ−ル
200mg/dl以下では大きな違いはなく、220mg/dlになると1.5倍、
240mg/dlでは2倍になります。
この事実に基づいてガイドラインが作成されています。
・総コレステロ−ルが高い場合
1、肥満の解消
肥満がある場合には総摂取カロリ−の制限が重要です。2、脂肪
肥満度、年齢、性、生活活動度などを総合的に判断して決定しますが、
一般に標準体重1Kgに対して25〜30KCal/日とします。
〔標準体重=(身長m)²×22〕×25〜30KCal
(例) 身長160cmなら
1.6×1.6×22=56.3Kg
56.3×30KCal=1689KCal
肥満気味の方は「糖尿病講座」を御参照下さい。
1Kgの減量で総コレステロ−ル値は大体10mg/dl低下すると言われています。
日本人は近年、脂肪をとり過ぎる傾向にあります。
高脂血症や糖尿病などの生活習慣病が増え続けているのも、脂肪の
とり過ぎが原因のひとつです。
動物性脂肪(魚油は除く)はなるべく控えて、植物性脂肪にすると良いでしょう。
脂肪の中では下表の中で一価不飽和脂肪酸のオリ−ブ油、なたね油、
多価不飽和脂肪酸ではn-3系の魚油、紫蘇油が良く、n-6系の油はあまり多く
取らない方が良いという動物実験の結果が出ています。
又、蛋白質はどうしても脂肪を含んでいますので豆腐、納豆のような大豆製品、魚を
中心とし、肉なら赤身か鶏のささみを取るのが良いでしょう。
3、食物からとるコレステロ−ルは1日300mg以下にしてみましょう。
但し、コレステロ−ルを多く含む食品は良質蛋白質やビタミン、ミネラル等の
供給源でもあるので、神経質になり過ぎて極端にさけると、栄養の
バランスをくずすことにもなりかねません。適量を心掛けましょう。
4、食物繊維を多く含む食品を十分にとる。
食物繊維は便の排泄を速め、コレステロ−ルの吸収を抑制します。
食物繊維を多く含む食品の中には、歯ごたえのあるものも多く、ゆっくり
噛むことで早食いが防げます。
また、水分を吸収してふくらむので満腹感が得られやすく、食べ過ぎ防止
にもなります。
具体的には野菜、海藻、コンニャク等を積極的に食べると良いでしょう。
但し海藻の中でも昆布には多量のヨ−ドが含まれており、大量に食べた場合は、
潜在的に橋本病(慢性甲状腺炎)を持っている人は、甲状腺機能低下症に
陥ることがありますので食べ過ぎないようにしましょう。

5、抗酸化食品の摂取
酸化された悪玉コレステロ−ルが動脈硬化を引き起こすといわれています。
ビタミンC、ビタミンEやβ-カロテン等には悪玉コレステロ−ルの酸化を
おさえる働きがあります。
これらを含む食品には緑黄色野菜、果物、いも類、豆類、種実類等が
あります。
但し、果物、いも類、豆類、種実類は肥満傾向の人には要注意です。
6、アルコ−ル
少量ないし適量の飲酒は、善玉コレステロ−ルの増加作用と
悪玉コレステロ−ル低下作用を介して、抗動脈硬化作用を示すと
考えられています。
適量とは一日ビ−ルなら中瓶一本、日本酒なら一合、ウイスキ−なら
ダブル一杯以下です。
但し、アルコ−ルに弱い人はアセトアルデヒドが血中に増えてきて
癌発生等の危険が考えられるため禁酒すべきです。
7、禁煙
喫煙が動脈硬化を促進する機序としては善玉コレステロ−ルの低下、
悪玉コレステロ−ルの酸化、血液凝固能の亢進、血管内皮損傷などが
あげられます。
8、運動
運動の種類としては、なるべく全身の筋肉を使うもの即ち速歩、軽い
ジョギング、軽い水泳、サイクリングなどが適しているとされていますが、
決して無理をしてはいけません。
一日総量で30分以上、週総量で180分以上が良いとされています。
運動療法の開始に際しては、負荷心電図を含めたメデイカルチェックが
必要です。
厚生労働省の「健康日本21」では男性1日9000歩、女性1日8000歩の
歩行が推奨されています。
歩くことをお勧めします。
・中性脂肪が高い場合
1、肥満の解消、同上
2、脂肪制限
高中性脂肪血症の人は脂肪摂取過多傾向にあり、特に注意が必要です。
3、糖質制限
糖質の過剰摂取は血清中性脂肪を上昇させます。
主食を制限し、砂糖を多く含む菓子やジュ−ス、果糖を多く含む果物の摂取は
更に制限しましょう。
4、アルコ−ル制限
アルコ−ルは中性脂肪値を高める大きな原因になります。従って禁酒か確実な
節酒が必要となります。
5、食物繊維の摂取、同上
6、禁煙
7、運動、同上
・善玉コレステロ−ルが低い場合
1、肥満の解消、同上
2、運動、同上
3、禁煙
これらを実行すると善玉コレステロ−ルは増加してきます。
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