デ ビ ュ ー

 子どもは生まれてきたその日から、初体験のことばかりです。親のほうも、嬉しがって「初めて〜」などと、ついついどうでもいいようなことまで育児日記に書いてしまいます。私も、その例外に漏れず、育児日記にシールをはったり、初めてしたことをつける記念日表などに書いたり、アホみたいなことを次から次へとやっています。のぶりんの場合でいうと、まず、お誕生から始まって、出生届・1ヶ月検診・初めてのお正月・初参式(さとりんの時に書きましたが、神式ならお宮参り、キリスト教なら洗礼にあたる仏教行事です)・初めての帰省・初めての爪きり(そんなこと書く必要あるのか?ってなもんですが、まあ記念にね)・3ヶ月検診となるわけです。後、普通なら、12月には初めてのクリスマスがあるわけで、シールもモチロンありましたが、うちは曲がりなりにもお寺なので、これははぶかせていただいて・・・。その初めて行事に今月、新たに2つの出来事が追加されました。

 まず、一つ目は、予防接種デビュー! そんな言い方するのか?とも思いますが、その名の通り、初めての予防接種です。子どもは、これから生きていくのになるべく病気になりませんように、と免疫・抗体を作るために数々の予防接種を受けます。だいたい、接種は3ヶ月以降に始まります。で、1つ受けては、1週間から4週間以上開けて、また違うものを受けていきます。うちの市では、集団接種と個別接種のものがあり、今回は集団接種のポリオを受けに行きました。これは、予防接種の中でも数少ない生ワクチンを飲むタイプのものです。さとりんのときは、いきなりBCGで注射でしたが、2人目の今度は私も慣れたもんで、「最初から注射じゃかわいそうよねー」などとやさしげなことを考えて、同時期に両方とも実施されていたのですが、ポリオのほうに行くことにしたのです。(まあ、これが結果的に良いほうに運ぶのですが・・・。)
 さとりんには、どの予防接種でも検診でも大泣きされ、トホホ状態でしたが、のぶりんは3ヶ月検診でもそうだったようにきっとおとなしくしててくれるだろうという甘い期待をもって、会場に向かいました。会場は予想通り暖房の効きすぎと、人息でやたら暑く、熱をはかるのをわかっているわたしは、早速洋服を脱がしにかかりました。ちょっと離れたベッドに寝かせたのぶりんは、期待通りおとなしく自分の手を見ながら遊んでいます。先に一回来て順番を取っておいたので、受付も超スムーズ。やっぱり、さとりんのときのように、初めてで勝手がつかめなかったのに比べると、全然違うわ〜、とあまりの落差にウキウキの私。ところが、熱を測る段階になって、私の綿密な計画?に狂いが生じました。寝かせてたベッドから、みんながいる椅子まで連れてきて、はかるように指導されたのです。しかたなく、連れて行くと、横も前も子どもがワーワー泣いています。こんな状態のところに置いておけない! と思って、看護婦さんに体温計を所望すると、返ってきた答えが「今、受付終わったところでしょ? 1回しかはかれないから、もっと休憩させて熱を取ってからね」。でも、さっきから洋服をぬがしておいたので、見た感じ大丈夫そうなのよねー。で、「大丈夫だと思いますから・・・」と私が再度言うと、「うーん、でも熱っぽいんじゃなかなー。ほらー」と、いきなりのぶりんの手をあげて、わきの下へ手を入れさわりだしました。その途端、ギャーって叫んで泣き出したのぶりん! そしたら、その看護婦が言うことにゃ、「あらら〜、泣き出しちゃったね。泣くと余計に熱上がるよ。まだまだはかれないね」だって。おーい、嫌がやせかー?! その後も、なかなか泣き止まず、結局もといたベッドのところへ連れて行くはめに・・・。そしたら、落ち着いたのかヒクヒク状態くらいになったので、今度は違う看護婦さんに言ってみました。するとまたもや答えは、「37度5分あると接種できないから、もっと待たれたらいかが? 泣いてるみたいだし・・・」。私、「別に熱があったら連れて帰るので、いいから体温計下さい」。その看護婦さんは、シラケタ顔で「鳴ったら、脇に挟んだまま呼んでください」と、渡してくれました。測ってみれば、なんのことはない36度6分。やっぱり、最初からあのまま測れせてくれたらよかったんじゃないの? という結果でした。なんていうか、1月のさとりんの1歳6ヶ月検診のときも思いましたが、この保健センターの保健婦&看護婦、画一的っていうか、臨機応変じゃないっていうか・・・。その後、接種前の検診は偶然にもかかりつけの先生が来ておられたので、泣きもせず、ワクチン飲むのもすんなりいって、めでたしめでたしでした。しかーし、ここでまた誤算が・・・。ワクチン飲んで30分は吐くと困るので、このまま会場でいるようにとのこと。さとりんのときは、帰ったんだけどなー、と思いつつしかたなく待つことに。そしたら、次に出てきた子が横に来たのですが、やたらめったら大泣きしてます。のぶりんは、いつも静かなところで寝ているので、その声にビックリしたのか、飛び上がって一緒に泣き出しました。あ〜あ、やっぱり言うこと聞かず、帰ればよかった。私って、よくよく、このセンターの人たちと相性悪いのよね〜。
 だいたい、集団接種する意味があるのか、ないのかよくわからん。あんな大勢で(この日も年齢まちまちな子どもが100人近く)、しかもこの暑い部屋で、興奮しない方がおかしいですよー。熱がない子も、絶対熱上がるって。今度、4月のツベルクリンとBCGも同じように集団なので、嫌だなーと思いつつ、やってきた広報誌を見てビックリ。あれれ、ツベルクリンの日程が書いてない。別表を見てみると、なんと4月から個別接種に変更になっているではありませんか! ヤッター、先に順番取りに行ったり、イケテナイ看護婦にイライラさせられる心配なくなったー!! いつもの病院に、電話で時間予約すればOKなのよ〜ん。いやー、今回、ポリオに行っといてよかった、よかった。私たちにとっては、都合のいい日に受けに行けばいいし、病院も患者が増えて一石二鳥じゃーん。などと、一人浮かれるよりりんでした。

 さて、2つ目は、お風呂デビューです。えっ、今までお風呂入れてなかったの? キタナーイ! というわけじゃなくて、うちは、典型的な昔風の作りの家で、お風呂場と脱衣場がすっごく寒い! だから、部屋で暖房して、ベビーバスでお湯をつかわせてたのです。でも、ここ最近、めっきり暖かくなってきたのと、買った沐浴剤のボトルが底をついたので、4ヶ月目にしてお風呂に踏み切ったわけです。ところが、これが結構頭の痛い問題でして、どういう順番で入るか、なかなか上手い案が浮かびません。今、さとりんはもぐらどんに入れてもらってるのですが、彼も2人入れるとなるとのぼせそうだし、かといって、私が入れるなら上げてくれるのもぐらどんなの? などと考えあぐねた結果、「僕が入れるよ。普段交流ないから、お風呂くらい僕ちゃん(のぶりんのこと)とスキンシップはかろうかなーって」と言ってくれたので、結局もぐらどんが2人とも入れることに決定。ありがたや、ありがたや・・・。まあ、なんとなく、その他はわかんないけど、お風呂はお父さんが入れるっていうイメージがありますよね? なんでかな〜?
 で、初めてお風呂に入れてもらったのぶりんはというと、浴槽で浮いてたらしいです。ラッコみたいに・・・。シャワーかけても、別段なんということもなく、フツーだったみたい。さとりんのときは、お風呂デビューはおばあとだったのですが、嫌がって泣き叫んで、「お風呂に入って、こんな嫌がる子、初めて見たわ」と、おばあに言わしめました。それだけに、のぶりんのフツーさが、なんともおかしく思えました。わたしが、上げてきたときも、ニコニコして気持ちよさそうにしていました。あー、やっぱり、姉と弟でも違ってるんだなーと改めて思ったことです。
 そうやって考えてみると、何をとっても、さとりんはうるさくてにぎやかでしたが、のぶりんはおとなしくてはかなげです。どっちがいいわけじゃないけど、ちょっと面白みにかけるかも・・・なーんて不届きなことを思う母親。さあ、次はどんな「初めて〜」が、待っているんでしょうね。ワクワク・・・
(2002.3.25)