夜 間 診 療

 9ヶ月になったのぶりんは、だんだん動きが激しくなってきました。さとりんのときには、考えられなかったことですが、ハイハイは、すでにマスターし、つかまりだちもマスターし、今は伝い歩きに挑戦中です。そうそう、後追いもしてくれるので、かわいいような問題なような・・・。トイレはいいとしても、玄関にやってくると、落ちないかな? とドキッとします。後、さとりんが、1歳をすんでからそろそろ手の届かないところにPCを置こうと思い、購入したデスクに、もうのぶりんは手が届く状態なのです。さわられないように避難させた雑誌を背伸びしてつかんでは、床に落としてくれます。挙句には、食べられて、端っこはなにがなんだかわからない雑誌へと変貌する今日この頃・・・(涙)。

 そんなのぶりんを、21日夜、不幸が襲いました。夜、いつものようにミルクを飲ませてしばらく抱いていたのですが、一向に寝る気配がなく、キャラキャラ笑って伸び上がるので、抱いている腕も痛くなったし、まだまだ寝そうにないので、のぶりんを下に下ろして、私はPCに夢中になっていました。もぐらどんは、お手洗いへ立っていって、一旦もどってきたのですが、横の台所へ飲み物を飲みに去って行った時のことです。いつものように、床で打った音がしたと思ったら、「ぎゃ〜! うぎゃ〜! ひっくひっく、うんきゃ〜!」けたたましいのぶりんの泣き声が・・・。ところが、最近こんなことばかりなので、泣き声に鈍感になっていた私達。ついでに、私は、そこにもぐらどんがいると思ってたので、まあいっかーと思いつつ、PCを打ち続けていました。なのに、もぐらどんは、戻ってくる気配もないし、のぶりんも泣き止まないし、振り返ると、まだ一人で泣いています。「どうしたん? えらい泣いてるけど・・・」と言うと、「また、いつものようにこけて打っただけやろ・・・」と、もぐらどん。「ふーん、その割りに、よう泣くなー」といいつつ、PCに向き直ったとき、「あっ、血や!!」との声が。あわてて、私も駆け寄ると、絨毯に血が飛び散っているではありませんか!! 抱き起こすと、片方の手の指が真っ赤に血に染まっています。「手、切ったんや!」と、もぐらどんが言うので、そこにあったティッシュをとって手を拭いて押さえたのですが、ちょっと疑問。最初は、血を見て気が動転したのですが、考えてみると、「こんなとこでこけて、手切る?」 もぐらどんは、「どっか、こけた拍子に指をまっすぐついて爪のとこ切れたとかちゃうん?」と言いますが、どうにも納得いかない私。 で、顔をよく見ると、口の端から血が?! 唇も切れてる! 口を開けさせると、口の中が血だらけ!! ちょこっと見えてきた白い上の歯が、赤く染まってるよ〜!! 「切ったん口ん中やん!」泣きながら、げほげほむせてるのは、血を飲んだからの模様。立て抱きにして、背中をたたくと、げほげほ言いつつも、むせるのは落ち着いたよう・・・、でも、血は止まらない。

 そこで、もぐらどんに私に変わって抱いてもらって、夜間診療の電話番号を調べようとしたんだけど、こういうときに限って、どこへいったものか見つからないのよね〜。しかたなく、母子手帳に載ってる市の保健センターの夜間診療に電話をしたら、「怪我されたのどこですか?」「口です」「あー、うちではわかりませんねー、消防局へ聞いてください」とあっさり言われて、今度は消防局へ電話することに・・・。症状を説明すると、「うーん、口腔外科に診てもらった方がいいですねー。この時間診てくれそうなところは、医大だけです」とのこと。仕方なく、今度は医大へ電話したのですが、普通に電話してもとりあってくれないので、消防局で紹介してもらったというと、症状を尋ねられた。もう、これで3回目。言ってるうちに、のぶりんの血も止まってきて、私も落ち着いてきたのか、なんかもういいかなって気分になってきました。でも、一応、口腔外科の先生を呼び出してくれるというので、待つことに・・・。すると、受話器の向こうから、取り次ぐ声が聞こえてきたのですが、「9ヶ月の男の子、ぶつかって歯が折れたそうです」。イヤイヤ、そんなこと言ってないって! よくテレビ番組なんかでもあるけど、伝言ゲーム・・・なかなか最初のまま最後まで伝わらないのよねー。しばらく待つと、電話口に口腔外科の当直の先生が出られたのですが、「あー、下の歯が折れたそうですね」。「いえ、折れてはいないと思います。それに上なんですが・・・」ってなわけで、またしても状況説明が始まった次第です。結局、診てみないとわからないということで、医大に行くことに・・・。事件発生(ちょっとオオゲサ)から、すでに30分は経過しているような感じです。当ののぶりんは、血も止まって、痛いと言う思いも去っていったのか、もう笑っているし、そうなるとなんだか慌てて早まって電話したのが、馬鹿らしく思えてきたり・・・。だけど、唇は3倍くらいに膨れ上がって、かなり痛々しい・・・(涙)。

 まあ、せっかく普段なら断られる医大が診てくれるって言うんだし、もぐらどんと2人、連れて行くことにしました。さとりんは、すでに寝ていて、これだけうるさく泣き叫んで、私も電話したりしていたのに、1回薄目を開けただけで、また寝てしまっていたので、一応お寺に留守にすることを電話して出かけました。病院に着いて、しばらく待つと、結構若い気の弱そうな先生が現れて診て下さいました。でも、電話で話した先生のようなのですが、またしても状況説明から始まって、いったいこの数十分の間に、何回同じことを言っただろう? なーんて説明しながら考えていた私。その間中、機嫌よくしていたのぶりんですが、先生に口を開けさせられて、傷口を確かめられると、流石に再び大泣きに。その後、消毒してもらうことになったのですが、気の弱そうな先生は、看護婦さんに頼めないのよ、これが! 「あのー、すいません」って言うのんですが、看護婦さんは次ぎの患者さんのところへ行っちゃって無視されてんの。先生は、しかたなく、自分で消毒液を取りに行って、脱脂綿に浸して私達のところへ戻ってこられました。よく、若いお医者さんより、年配の看護婦さんのほうが、強くてしっかりしてるって聞きますけど、あれってホントみたいね〜(笑)。帰ってきた先生は「消毒いやがるかなー」と言いながら、恐る恐る脱脂綿を近づけると、のぶりんたら、何を勘違いしたのか食べ物だと思ったようで、ウレシそうに口を開けて笑ってました(恥ずかしい〜!)。
 先生の言うには、こけて顔を打った拍子に生えてる下の歯で、上の歯のない歯茎と唇と歯茎をつないでいる襞みたいなのを切ったようだとのことでした。唇は、多分、私の想像では、段になってるところのちょっとした裂け目で傷つけたのだと思うのですが、こっちは擦過傷で、大したことはないらしい。赤ちゃんが口を怪我したときは、その傷もモチロンですが、それ以上に流れた血を飲み込んで、喉が詰まって窒息死というケースが多いらしいです。だから、安静に、と思って寝かすのはダメなんですよねー。今回、立て抱きにして、背中をたたいたのは正解だったようです。薬を出してもいいけど、まだ小さくて、塗るのも飲ませるのも大変だろうから、とにかく清潔にしていれば大丈夫でしょうということで、消毒だけで帰ってきました。
 帰りの車の中で、すでにご機嫌ののぶりんが、にこ〜って笑ってくれるのですが、上唇がはれ上がっててすっげー面白いの! それで、つい、「帰ったら、面白いからこの顔、写真とろうかなー」と言ってしまった私に、「不謹慎や、そんなんやめとき」と、もぐらどんの叱責が・・・(悲)。だってー、面白い顔なのに・・・ちぇっ〜。帰り着くと、おじい&おばあが待ち構えてて、「いやー、僕ちゃん、エライ目におうたな〜。大丈夫か? かわいそうにな〜」。私は、そんなことより、怪我させて小言を言われないかとやきもき・・・。幸い、時間も11時を回っているので、無事なことを確かめて、おじい&おばあは退場となりました。あー、よかった! のぶりんはといえば、家に帰ってすっかり元気。寝る気配もなく、笑って遊んでいました。そして、清潔に、といわれているのに、早速そこらじゅうかぶりついて、喜ぶ始末。あ〜ぁ、早く寝てよ〜。

 翌日には、はれもほとんどひいて、唇の切ったところが赤いくらいになってたので、一安心。離乳食食べるの痛がるかなー? という私の不安をよそに、まったくいつもと変わらぬ食欲でした。いや〜、よかった、よかった! それにしても、今回のおはなしはこんな内容を書くはずじゃなかったんだけどな〜。のぶりんたら、ネタがマンネリ化している私のために、ネタ作りしてくれたのかしら・・・?! 
 残る問題は、血の飛び散った絨毯の始末。テレフォンショッピングで、よく宣伝してるドイツ製クリーナーとか買おうかな? でも、あれって、ホントにきれいになるのかなー?! 誰か使った人いません?
(2002.8.24)