猿ヶ馬場山(1875m)・野伏ヶ岳(1674m)              




晴天時の猿ヶ馬場山
           

      「日本二百名山」には笈ケ岳のように夏道がなかったり、ヤブが濃くて登るのが困難な山が有るが、「三百名山」でも同様な山が幾つかある。岐阜の白川郷の猿ヶ馬場山、郡上白鳥の野伏ヶ岳、

      尾瀬の景鶴山、栃木と福島の県境に有る男鹿岳などである。少しでも体力のあるうちにと思い立ち、今年(2019年)名古屋にあるP社のツアーに申し込んだ。3月は猿ヶ馬場山と野伏ヶ岳、そして5月

      の連休に景鶴山である。P社は以前大無間山の際にお世話になった会社で、今回も無事登れることを期待した。

        猿ヶ馬場山は世界遺産白川郷の合掌集落の背後に聳える難峰で、林道がかなり上部まで通っているが、その先は大変なヤブ漕ぎとなるので、最高点を目指すには残雪期が適期となる。

        一方、野伏ヶ岳は白山連峰南端の山で、ブナとダケカンバが生い茂り、夏道がなく,残雪期に登るしか方法はない。

                    

               [行程]

                 2019年3月21日(木)

               自宅7:00→新横浜8:06→名古屋10:30→高鷲スノーパーク→16:30五箇山「赤尾山莊」泊

                      22日(金)

               「赤尾山莊」5:15→みだしま駐車場6:30→宮谷林道→大シラビソ平→12:45猿ヶ馬場山山頂13:00→帰雲山13:40→宮谷林道→16:30みだしま駐車場→18:30石徹白 カルヴィラ」泊

                      23日(土)

               「カルヴィラ」7:15→白山中居神社駐車場7:30→和田山牧場跡9:00→9:20ダイレクト尾根取り付き9:35→11:20野伏ヶ岳山頂11:45→12:45ダイレクト尾根取り付き13:00→和田山牧場

               跡13:15→14:30
駐車場14:50→日帰り温泉→18:00名古屋18:12→新横浜20:00→20:40自宅



 [山行日誌]

久し振りの新幹線なので乗り遅れないように早めに家を出て、新横浜から新幹線に乗車、あっという間に

名古屋に到着、待ち合わせ場所の時計台前に行ったところ、既に参加者のほとんどが集合
しており、

い女性ガイド2名、参加者は10名(後から宿で合流した方1名)だった。名簿で見ると、宮城、栃木、埼玉、

静岡、大阪などから来ていた。
車に分乗し、最初の目的地大日ヶ岳のある高鷲スノーパークに向かい、昼

過ぎに到着したが生憎の雨で、3名ほどがロープウエイを利用し、大日ヶ岳山頂を目指した。残りは五箇

山にある赤尾
山莊に向かい、途中コンビニで明日のための買い出しをし、16時過ぎに宿舎に到着した。



 同宿の方とゆっくり相撲を見たり野球を見て過ごした。夕食時には参加者の自己紹介などがあった。


   



翌朝4時に起床、4時半に朝食。天気は小雨、予報では曇り、1日中濃霧が晴れないようだ。1時間ほどで

白川郷にある駐車場に到着、雨具を着て6時半頃出発した。
始めは土が出ていたが直ぐに雪道に変わり

スノーシューを着けた。数年前に高峰山で経験したが、すっかり忘れていて,ガイドに手伝ってもらい、履く

ことが出来た。全員が着け終わるのに30
分ほどかかった。林道を使わず近道で道なき道をぐいぐいと登

っていく。かなり斜度が有り、皆必死になってガイドについて行く。本来は帰雲山(かえりぐもやま)経由が

正規のコースだが、林道横の谷
筋を詰めていく。ガイドの話では昨年より全然雪が少ないとのことで、所

々沢の上の雪が崩れ、大きな穴が空いている。ガイドが慎重にスノーブリッジが渡れるか判断する。







何度もそれを繰り返しながら高度を上げる。
メンバーもかなり足並みが揃っており、落伍することなくつい

てくる。私は多分最年長者で、息がかなりあがってきたが、迷惑はかけられない
ので精一杯ストックを振り

大無間山や笊ヶ岳の厳しさを思い出しながら足を前に出した。気温が高いようで雪が重い。スノーシュー

が無ければ歩けないほどの柔らかい雪だ。
ほぼ直登の道を4時間余り歩いてようやく道の傾斜が緩み、

オオシラビソダイラというところに着いた。標識などは全くないが、山頂の雰囲気だった。だが、ここからが

長かった。小さなアップダウンを
繰り返しながら霧氷の林を進んでいく。気温がぐんと下がり、辺りの樹木

が氷に覆われている。更に1時間ほど歩くと,樹木のない広い平地に達した。山頂表示板はないがここら

辺りが山頂だ、とガイド
から説明があった。参加者の一人がよく探し、山頂表示板が掛けられていた木を

発見したが、表示板自体は無かった。どうやら雪や風で壊されたようだ。ガイドに依頼し記念撮影。マイナ

ス5〜6度だろ
うか。身体が冷え切っている。20分ほど山頂に滞在後出発。帰りは本来の帰雲山経由で行

くとの説明がガイドから有り、だだっ広い山頂に別れを告げ、尾根伝いの道をスノーシューを滑らせる。相

変わらずずっと曇り空で、
一瞬だけ青空が顔を出したが、あとは濃いガスに覆われ,視界はほとんど利か

ない。


 行きほどは傾斜が無いので、喘ぐことなくノートレースの道をどんどん下っていく。帰雲山はわずかな起伏で山とは
思えない低山だった。更に電波塔を越え、ようやく林道との合流点に到着。ここからは行きと

 同じ谷筋の道となる。雪がまた重くなり、スノーシューの滑りが悪くなってきた。転倒に気をつけて、木々
の間を慎重に進む。疲れで足がガクガク、思うように進まないが,あと少し、あと少しと自らに言い聞か

 せながら下る。
山頂から4時間、出発から10時間でようやく駐車場に到着。ガイドとハイタッチ。心身共に疲れ果てた。

 駐車場から国道157号線を1時間ほど岐阜方面に走り、郡上白鳥にある石徹白(いとしろ)のスキーロッジ「カルヴィラ」に19時前に到着、直ぐに夕食そして入浴後、明日に備えて早めに就寝したかったが

 室の3人の方と話が盛り上がり、11時頃布団に入った。

             

























              
  翌朝はゆっくり。朝食は6時半、7時10分に宿舎発。10分ほどで白山中居神社の近くに有る駐車場に到着し、準備を整え、7時半に出発。天気は上々、締まった雪を踏みしめて歩き始める。林道を

  ショートカットしながら登っていく30分ほどしてスノーシューを履くようにガイドから指示が出る。着脱もかなり慣れてきて、参加者が要領よく履いて、斜度の出てきた道を詰めていく。



            
1時間ほどで平坦な広場に到着。和田山牧場跡である。ここから野伏ヶ岳の全容が見えてくる。まるで大

鷲が白い羽を広げているようだ。しばらく平坦な道を行くとダイレクト尾根の下部に達し、ここで
アイゼンに

履き替える。10本歯のアイゼンは堅い雪に鋭く突き刺さり、安定した登攀を可能にしてくれる。ほぼ垂直に

山頂に向かって突き上げていく。ブナやダケカンバの疎林帯は斜度40度ぐらいで,スキーで
滑り降りるの

は怖いくらいだ。転倒すればそのまま転がり落ちるので、慎重に一歩ずつ進む。息が上がってきて、疲労

が重なる頃、ようやく傾斜が緩み、推高谷から上がってきた尾根と合流。山頂は直ぐその先で、
登り始め

から4時間弱で到着。白山の御前峰や大汝峰が直ぐ近く、越美国境の荒島岳も見える。

      




 帰りは締まった雪にアイゼンを利かしてぐんぐんと下って行く。あっという間にダイレクト尾根上部。急坂

 を下って30分ほどでダイレクト尾根下部。ここでデポしたスノーシューに履き替える。青空の下、野伏ヶ

 岳を背にして進む。かなり雪は柔らかくなって来て、時々大穴に落ち込んだりするが、構わず下って、予

 定の14時半に駐車場に戻ってきた。 帰りは途中、日帰り温泉で汗を流し、18時に名古屋着。直ぐに新

 幹線に乗り、21時前に帰宅した。

  猿ヶ馬場山はやはり難峰で、ガイドのリードが無ければ登れなかった山である。野伏ヶ岳はそれ程厳し

 くはなかったが、傾斜のきついダイレクト尾根はやはり油断すると転がり落ちる危険があった。疲労困憊

 ながらも何とか遅れずにパーティーについて行けたことは今後の自信となるだろう。


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