尾瀬ケ原の北に聳える景鶴山は、自然保護の見地から長らく入山禁止の措置が取られているが、残雪の時期に限って密かに登っている人がいるようだ。私も某ツアー会社で実施している
登山ツアーに参加し、景鶴山に登ることにした。
景鶴山という山名は、「へいづる」から来ており、トラバースを意味する。山頂の東西に長い断崖があり、「ニュー岩」と呼ばれていて、登るにはトラバースを余儀なくされることから、この名
が付いたようだ。
尾瀬ヶ原は1960年に特別天然記念物に指定され、ヨッピ川の左岸は1967年から入山禁止となっている。
[行程]
2019年5月3日(金)
自宅7:00→東京駅8:38→高崎→沼田10:30→12:00鳩待峠12:30→山の鼻13:30→15:00竜宮小屋泊
5月4日(土)
竜宮小屋7:00→10:00与作岳10:20→11:00景鶴山山頂11:20→12:00与作岳12:30→ヨッピ橋14:00→14:30竜宮小屋
5月5日(日)
竜宮小屋7:10→山の鼻9:40→10:50鳩待峠11:40→12:20沼田13:31→高崎14:12→東京駅→16:30自宅
[山行日誌]
上越新幹線、両毛線、上越線と普段使い慣れていないJR線なので、間違えの無いように乗り継ぎ、集合
場所の沼田駅に10時20分に到着した。前回の猿ヶ馬場山・野伏ヶ岳で一緒だった人が13人中3名いて、
気分的に楽な山行となった。メーンガイドの仁井田研一さんはヤマケイなどのガイドブックで主に東北を担
当していて、色々お話が聴けるかも知れないという期待も有った。沼田からレンタカーで鳩待峠へ車を走
らせ、、12時過ぎに到着、準備をして今日の宿泊地竜宮小屋に向かった。今はどこも雪解けが早かった
が、4月に「寒の戻り」が有り、まとまった雪が降ったお陰で登山道にはたっぷり雪が残っていた。
1時間ほどで山の鼻に到着、休息後一面真っ白な尾瀬ヶ原へと入って行った。天気はほぼ快晴、
気温も高く、春の山行らしくなった。至仏山は多少ブッシュが出ていたが、ほぼ銀世界、一方燧ヶ
岳は南斜面が見えていて、黒々としていた。
15時頃、竜宮小屋に到着、入浴後、参加者の方達と色々おしゃべりし,9時過ぎに就寝。
翌朝は7時に小屋を出発、アイゼンを着け、まず東電小屋方面に向かった。北側から登る方が雪
の状態が良いとのことだった。橋を渡り、傾斜の緩やかな道を進んでいく。木々の根を見ると雪
の深さが分かるが、覗いてみるとおよそ1〜2b積もっているようだ。昨年の同じツアーでは雪が
途中まで全くなく、ヤブ漕ぎが大変だったそうだ。傾斜がきつくなってきて汗が出始めたので、上
衣を脱いでTシャツになる。尾根を渡ってくる風がひやりとして気持ちがよい。
3時間ほどで与作岳山頂に到着。北の方面の視界が開け、会津駒ヶ岳、平ヶ岳、荒澤岳そして遠くには飯豊連峰が霞
んで見える。一休み後、景鶴山頂に向かう。ここら辺りから見る景鶴山はピラミダブルで尾瀬ヶ原から見るのとは大違
い、とても姿よく、見ていて飽きることはない。なおも詰めて急傾斜になると,ガイドの指示で登山用ポールをピッケルに
持ち替える。直下にやって来る。ここでザックをデポ、ピッケルを右手に持ち、狭い雪壁を登り始める。左側はニュー岩
の断崖絶壁なので慎重に登り、5分ほどで到着。幸い、他の登山者がおらずツアーのグループだけで山頂を占領し、全
体写真や個々の写真を撮って下山開始。
雪がかなり融けてきて登山靴が潜ることはあるが、たっぷりあるお陰で踏み抜くことはなく、快調に下
る。与作岳を過ぎ、行きとは異なり、最短距離で竜宮小屋に向かう。途中、橋桁のないヨッピ橋を渡る
両脇のロープを掴んで細い鉄の板を慎重に歩いて進む。この辺り、雪が融けて小さな池があちこちに
出現、水芭蕉のつぼみが顔を出している。開花まであと一歩というものもある。
水路がΩの形になっている拠水林を見学後、14時半に竜宮小屋に到着。予定通りの行程となった。
帰着後たっぷり時間があったので,ガイドの仁井田研一さんを囲んでおしゃべりタイム。ウイスキーや
ビールを飲みながら最近の山事情、ガイドの仕事、客のあれこれを面白おかしく話してくれた。
翌日は7時過ぎに小屋を出発、山の鼻を通って ,鳩待峠に11時前に到着、沼田まで送ってもらい、13時半沼田発の電
車に乗り、高崎発14時12分の新幹線で帰宅した。
今回の山行は、ガイドの先導があり、天候と豊富な雪に恵まれ、また、3日間で1座という楽な日程で、ゆったりと雪の尾
瀬を楽しむことが出来た。景鶴山の見事な三角錐の姿はとても印象的で、忘れられないものとなりそうだ。
トップページに戻る