黒法師岳(2067m)




  今年は三百名山の難峰を狙って登ってきたが、その最後として南アルプス深南部の黒法師岳を選んだ。長い林道歩き、連続する急登、となかなか厳しい登山となるので、今回も名古屋のP社のツアー

 を利用することに
した。黒法師岳は、南アルプス深南部の池口岳、光岳と並び山また山の奥深い原生の魅力を残している山である。黒法師岳以南には2000b以上の山は無く、動植物の種類が豊かで

 ある。


[行程]

     2020年11月6日(水)

     自宅7:40→新横浜8:45→10:20浜松10:40→竜頭山→15:00 水窪(みさくぼ) 中村旅館泊

           7日(木)

    中村旅館4:00→4:50戸中川林道ゲート5:05→6:50黒法師岳登山口7:05→8:05ヤレヤレ平8:15→9:25丸盆岳分岐9:30→10:00山頂10:20→10:25丸盆岳分岐10:30→11:50ヤレヤレ平12:00→12:55登

    山口
13:05→14:25戸中川林道ゲート14:35→17:30浜松駅17:55→19:28新横浜→20:30自宅





[山行日誌]

浜松駅に集合し、当日は近くの竜頭山(1357b)で足慣らし、水窪の旅館には15時過ぎに到着、ゆっくり体を休め、翌朝に備えた。ツアーの人数は4名、ガ

イドも今年4回目の方でよく知っており、緊張感はな
かった。翌朝4時に出発、途中、シカが2度も車の前に飛び出した。水窪から先は道がデコボコで、5名乗

車の車は何度か底をこすりながら、5時前に戸中川林道ゲートに到着した。ヘッドランプを点け、登山口まで
6,5キロの林道を歩き始めた。天気は昨日に続

きほぼ快晴のようで、星空が満天に広がっていた。林道歩きが半分を過ぎるころ、夜が白み始め、登山口では明るい陽射しが山腹を照らしていた
。7時過

ぎ,等高尾根を登り始めた。いきなりの急登で慣れず汗が噴き出す。ダブルストックによる上半身の力と足の力を合わせて急勾配を登っていく。前回の焼山

ではストックを忘れ、止む得ず木の枝や岩をつか
んでバランスを取ったが、疲労がいつになく蓄積した。




  辺りは紅葉真っ盛りで、青空にブナの黄葉やカエデの紅葉が映える。ザレて滑りやすい登山道を、ひたすら忍の一字で歩いていくと、、はるか上方に見

 えていた周囲の山々と肩を並べるようになる。ヤレヤレ平に到着。
一休み。約1時間で500b標高を稼いだ。登山口の標高が約千メートル、山頂が2067b

 なので、この1時間で標高差の半分を登ったことになる。ただ、この後も急登は続く。深南部の奥深さを肌で感じながら進んでいくと、
やがて等高尾根下降

 点の表示が出て丸盆岳との分岐点に到着。視界が一気に開け、黒法師岳の丸い山頂が眼前に展開する。丸盆岳も名前のように穏やかな山容を見せて

 いる。隣の鎌薙は山腹が崩れ、地肌が
見えている。小休止後、山頂へ向かう。ここら辺りからササが密集し行く手を阻む。手で払い、ストックで足先を確認

 しながら進む。30分ほどでササに覆われた山頂に到着。ほっと一息。有名な×印三角点を撮影した。
小休止後、下山にかかる。ほとんど登り返しが無い

 ので推進力は不要だが、ザレた登山道なので油断すると落石やスリップの危険がある。

  



ダブルストックで慎重に身体を確保しながら下っていく。
行きに比べて紅葉が進んでいるようで、差し込んでくる陽射しの下、紅葉や黄葉が一段と鮮やかにな

っている。この真っ盛りの紅葉の中に身を置いている幸せをつくづくと感じた。


 ほぼコースタイム通りの時間で登山口に戻ってきた。参加者の足並みが揃っていたこと、そしてガイドの適切な指示によるもので、自身の山行にも色々役

に立ちそうだ。
1時間20分ほどの林道歩きの後、車に戻り、そこから浜松駅まで3時間のロングドライブ。車中で情報交換をしたり居眠りをした。最初の案

内より1時間早く駅へ到着、新幹線に乗って8時半に帰宅した。
前回の山行で他の参加者と比べて道具の古さを感じ、ストックはザックに収納できるものに

替え、雨具、スパッツも新しく購入した。雨具やスパッツはまだ使用していないが、ストックは期待していた通りの性能で、急
登・急降下で非常に役に立った。

 


 黒法師岳は、グレートトラバースの田中陽希さんが南アルプスの深南部の魅力の詰まった山と紹介していたが、確かに辺りを見回しても人工物が一切見

 えず、広葉樹林とササが山を覆いつくしている。北アルプスの岩
場とはまた異なる趣を感じた山行となった。

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