米山(993m)・青海黒姫山(1221m)





  今年は7月に北海道遠征で難関のオプタテシケに登ったが、あとは比較的楽な山を登ってきた。ここで少し骨のある山として青海黒姫山を選択、ついでに近くの米山も登ることにした。

 米山は「行こうか まいらんしょうか、あの米山薬師」で有名な米山甚句の米山で、上越市と柏崎市の境にある。山頂には日本三大薬師の一つである米山薬師堂が祭られ、参詣登山が盛んである。標高

 は1000bに
たないが船の安全な航行には欠かせない目印だった。米山という山名は,泰澄大師の弟子,沙弥が強欲な船主を戒めるため船荷の米俵を五輪山(米山)に向けて投げ飛ばしたという伝説に

 由来する。

  他方、青海(おうみ)黒姫山は、近くの苅羽黒姫山、長野県の黒姫山と区別するため青海黒姫山と呼ばれ、全山石灰岩でできており、この石灰岩を利用する大きなセメント会社が山麓にある。山頂で

 はフズリナ、サンゴ
、海綿などの化石は登頂記念として採取できるそうだ。およそ2億5千万年前の海底堆積物である。この山は標高は1221bと低いが、海抜85bから登り始め、途中からは急登の連続でロ

 ープが
多数設置されている。ガイドブックでは体力度4にランクされている独立峰である。


 [行程]

  2020年9月22日(火)

  自宅5:30→練馬IC→関越道・北陸道→柿崎IC→10:00水野林道登山口10:23→下牧分岐11:00→11:32米山山頂12:50→下牧分岐13:30→13:54登山口14:05→16:25「丸太坊」 泊


       23日(水)

  「丸太坊」5:15→5:35清水倉登山口5:59→一本杉峠6:53→8:18金木平8:35→10:15青海黒姫山山頂11:07→12:47金木平13:10→一本杉峠14:00→14:34登山口14:40→糸魚川IC→北陸道・上信越道・関越

 道→練馬IC→
自宅20:40

[山行日誌]

 4連休の最終日なので多少渋滞を覚悟して早朝に自宅を出発、関越、北陸道を順調に走り、340キロ先の水野林道登山口に4時間半で到着した。天気は晴れ、

 多少暑いがまずまずの登山日和だった。10台ほどの車が
駐車している。故郷の山」として愛されているようだ。準備をして登山開始。階段状の急登が続いたの
 
 ちブナ林の「やくしの杜」が始まる。20分ほど歩くと下牧からの登山道と合流する。一下りでしらば避難小屋、そこから
20分ほどで一等三角点の有る山頂へ到着

 立派な避難小屋が有り、その奥には米山薬師のお堂が有る。休日とあって家族連れやグループで来ている人たちが大勢いる。山頂からは360度の眺望が拡が

 っており、海の向
こうには佐渡島がかすかに見え、また、頚城山塊の妙高、火打、焼山などがぼんやりと見えている。ここで昼食休憩。いつもは立ったままで食

べる昼食だが、今日はおしゃべりしながらゆっくり座って味わう。





 1時間ほど休憩した後下山にかかる。しらば避難小屋、下牧分岐をあっという間に過ぎ、1時間ほどで登山口に到着。本日の宿、糸魚川の「丸太坊」に向かった。

 2時間余りで「丸太坊」に着いた。本日は団体客がキャンセルしたそうで、宿泊客は我々だけ。刺身、カニ、煮魚、焼き魚など魚料理のフルコースで食べきれなか
 
 った。


 













 翌朝5時過ぎに宿を出てセメント工場の脇を抜けて清水倉の登山口に30分ほどで到着。平日、しかも登りにくいこともあって駐車している車はなし。登山者記録ノ

 ートを見ても昨日の休日も登山者はゼロだった。
準備を整え登山者記録ノートに名前を書いて登り始める。事前にユーチューブで確認したところ、登山道の整備

 が行き届いていて、ピンクリボン、赤テープ、赤ペンキが至る所に有り、道迷いの心配は全くないと
のことだっ

 
聞こえてくる。サワグルミの林を抜け石灰岩の露出した樹林帯が現れる。所々ロープが設置してある。やがて平坦地となり五葉松の巨木が立つ標高800メートル

 の金木平である。水場が10bほどのところにあり、口に含ん
でみると、冷たくておいしい。ここで朝食休憩。15分ほど時間を取っておにぎりなどを食べる。金木平

 の上部からは石灰岩の露出が増え、急斜面が度々現れる。ブナ林の沢筋を詰めていくといきなり人の声が聞こえてきた。






確か誰も前にはいないはずだった。発電機の音も聞こえてくる。やがて登山道を横断するケーブルが見え、人が乗っている。看板には地質調査中と書いてあった

どうもセメント会社が掘削する筋を調査しているようだ。「ど
うぞ横断してください。」と声をかけられ、先を進む。調査の人達は廃道になっている大沢コースを使っ

ているようだ。ここからさらに傾斜は増し、ロープが次々と現れる・油断すると数十メートル落下しそうなので、慎重に足場
を確かめながら登っていく。やがて西稜

のピークに出て視界が一気に開ける。頂上につながる西尾根は石灰岩の露岩が鋭い刃先を見せている。大ケガにつながるので滑らないように踏み外さな
いよう

に進む。10分ほどで
山頂に到着。山頂には一等三角点と黒姫権現を祭る大きな祠がある。天気は晴れ、多少雲が有って遠望は利かないが、眼下には日本海

頚城山塊の山々、雨飾山、高妻山、白馬、雪倉

、朝日そして日本海につながる栂海新道の
犬ケ岳、白鳥山が眼前に並ぶ。妻が頑張りほぼコースタイム通り4時間ちょっとで登ったので、ゆっくり休憩を取ることに

した。昼食を食べながら山座同定を楽しんだ。



 たっぷり休んだのち下山にかかる。凄まじい急降下が待っているので緊張感がみなぎる。急ぐ必要はないので一歩ずつ慎重に下る。
西尾根の石灰岩の上を踏

 み外さないように進む。その後,急降下が始まる。濡れてい
た地面が乾き始めていて、ロープは掴まずストックでプレーキをかけて下る。はるかに楽だ。登りと同

 じ時間をかけて金木平まで下りた。ここで一休み。再び水場で冷たい水を汲んできてのどを潤す。石灰岩の成分が含まれてい
るのだろうか、とてもおいしい。ま

 だ急降下が有るので油断はできない。土はすっかり渇きスリップの心配はなくなった。やがて一本杉峠。ここからは普通の山道で一気に登山口へ。ほぼコースタ

 イムで下りてきた。
帰りは上信越道辺りから雨が降り出し軽井沢では本降り、スピードを落とし、サービスエリアに寄って疲れを取りながら帰宅した。

 今回は地元民に愛され、多くの登山者と出会った米山と、登山中一人しか出会わなかった難峰の青海黒姫山の組み合わせだったが、それぞれの山の特徴を味

 わうことができ満足している。

 


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