五葉山(1351m)・乳頭山(1478m)・太平山(1170m)


 「コロナ禍」は相変わらず猛威を振るっており収まる気配は今のところ見えないが、今年中に何とか半数の50座を越えるべく、今回は東北の3座を選び、2泊3日の予定で登ることにした。

 五葉山は三陸沿岸の最高峰で、岩手県釜石市、大船渡市、気仙郡住田町にまたがる全山花崗岩の山で、「畳石」、「天狗岩」などと呼ばれる巨岩が至る所に横たわっている。また、太平洋の暖流の影響を受け、動植物の

種類が豊かである。

 乳頭山は秋田県と岩手県の県境に位置しており、岩手県側からは烏帽子岳と呼ばれている。秋田県側からは乳房を伏せたような形状で、また、岩手県側からは烏帽子の形をしている。その魅力は登山道のブナ林と山頂

付近の高層湿原、そして山麓の豊かな湧出量を誇る温泉である。四季折々の高山植物もその魅力の一つである。

  太平山は秋田市の東北部に拡がる太平山地の主峰であり、かつては女人禁制の山で、山頂には三好神社奥宮が鎮座し、信仰登山が盛んだった。山麓から中腹にかけては秋田杉の美林が広がり、中腹から上はブナ

の巨木が多く見られ、杉と棲み分けている。


[行程]

  2020年9月29日(水)〜10月1日(木)

    9月29日(火)

    自宅4:50→東京駅6:04→9:55北上→赤坂峠登山口10:51→畳石11:49→石楠花荘12:48→12:56五葉山山頂13:10→畳石14:06→14:45赤坂峠登山口14:47→17:52乳頭温泉・黒湯 泊

      30日(水)

    黒湯駐車場8:00→田代平山荘10:11→10:48乳頭山山頂11:33→黒湯温泉13:12→13:44駐車場→16:50太平山 木こりの宿 泊

   10月1日(木)

    木こりの宿5:15→5:59旭又登山口6:07→8:08御手洗(みたらし)8:10→9:12太平山山頂9:34→10:21御手洗10:24→11:54旭又登山口12:05→秋田駅16:12→20:04東京駅→21:05自宅



 [山行日誌]

 天気予報では3日間東北地方は晴天域で、天気アプリの「登山天気」でもいずれの山もAの登山日和、今年は天気の面では恵まれている。東北の山は2017年の以東岳・エブ

 リ差岳以来で、緑豊かな山容が楽しみである。
本日は五葉山登山の後、乳頭温泉まで行かなければならないので3日間の中で最も忙しい日だ。東北新幹線の盛岡行きの始発

 に乗り、北上駅でレンタカーを借り、釜石道、県道180号線、県道193号線をひた走り、11時
前に五葉山の赤坂峠登山口に到着。他に数台駐車している。早速準備をして大き

 な鳥居をくぐって登山開始。天気は曇りだがこれから晴れるようだ。なだらかな道をしばらく行くと賽の河原に出る。前方には穏やかな山容
の五葉山の稜線が見えている。さら

 に行くと4合目の畳石。長方形の花崗岩の岩である。ここから急登が始まり、汗が噴き出す。ミズナラ、ダケカンバの樹林帯が続く。やがて森林限界を過ぎ、ハクサンシャクナ

 ゲやミヤコザ
サの群落となる。道も緩やかになって石楠花荘に到着。湧水が音を立てて流れている。ここから広大で平らな山頂領域となる。稜線上の日枝神社を過ぎ、少し歩






くと山頂に到着。山頂からは何重にも入り組んだ三陸のリア
ス式海岸が霞んで見える。記念写真を撮ってすぐ下山開始。息つく暇もない。ほとんど登り返しが無いので一気に下

りていく。あっという間に畳石、賽の河原を過ぎて1時間半ほどで登山口。靴を履き替えて乳頭温泉に向か
う。夕食最終時間は18時半なので運転を急ぐ。150キロ以上走り、何と

か18時前に到着、黒湯別棟に入った。今回は「Go To Travel」 という政府の施策で30パーセント割引なので、藁ぶき屋根の別館に宿泊した。


 彩り豊かな夕食を味わい、乳白色の乳頭温泉の湯に入って疲れを癒した。翌朝はのんびり朝食を食べて8時過ぎに乳頭山に向けて出発した。コースは行きは孫六温泉から田

代平山荘を通り山頂へ、帰りは黒湯温泉コー
スを選んだ。晴天に恵まれ多くの登山者が駐車場に来ている。何人かの登山者とコースの出発点を探しながら出発。橋を渡り、孫

六温泉の中を抜け、乳頭山登山口の標識を確認して、いきなりの急登を進む。登山道は多
少荒れているところもあるが広々としており、ブナ林が気持ちよい。度を徐々に上

げていくとやがて稜線に出て田代平山荘にやって来る。木道が所々現れ、視界の先には乳頭山の特徴のある山頂が見える。






 紅葉はまだ
かと思っていたが、ツツジやナナカマドは赤くなっている。山頂直下には広大な湿原が横たわっている。黒湯温泉への下山道を右に分けて山頂へ向かう。すぐに岩

 に覆われた山頂に到着。多くの登山者が昼食休憩中。
青空の下、秋田駒、その横にうっすらと鳥海山、森吉山、岩手山と東北を代表する山々が勢ぞろい.. 下に目をやると、

 黄色の湿原の中に赤のアクセントのツツジそして池塘。のんびりと1時間近く山座同定
や他の登山者とのおしゃべりを楽しむ。その後下山開始。黒湯コースは足元はきちんと

 整備されているが、残念ながら刈り払いがされていないため、足の置き場を確認できない。ストックでササなどを払いのけながら下る。
中腹から道が広がり、歩きやすくなる。

 一本松温泉跡からは刈り払いもされていて一層歩きやすくなり、やがて黒湯温泉の裏手に到着。駐車場まで戻り、温泉に入れて頂けるということで準備をして入浴、汗を流して

 次の
目的地、秋田市の大平山の「木こりの宿」に向かった。













本日の宿は食堂が休みと言われていたので、夕食、明日の朝食、昼食をコンビニで購入。太平山の登山口、旭又への道を確認して宿舎に入った。「木こりの宿」は太平山の麓

に拡がる秋田市が運営するリゾートの宿で、当日は他の客が居らず、静かに翌日に備えることができた。天気予報を見ていたら、Aの予報であった太平山の天気がいつの間に

か午後から雨、しかも雷雨の可能性
が有る、に変わっていた。そこで宝蔵岳からの周回コースを断念、より容易な旭又コースをピストンし、何とか午前中に下山することを考えた

翌朝5時前に起き、5時15分に出発、長い林道を走って6時前に旭又の登山口に到着、準備をして出発。天気はまだ高曇りで雨の心配はない。まず橋を渡り平坦な道を20分ほど

歩き、宝蔵岳への道を右に見送り、軌道跡
の道を進む。スギの林が見事だ。








  やが
て滝の有る御滝神社、さらに急登のアヤメ坂を越え、ブナ林の中をしばらく行くと御手洗(みたらし)に到着。清水が湧き赤い帽子を被ったお地蔵さんが2体祭られている

  それまでも歩きやす
道だったがここからも歩きやすい道が続き、七曲りを過ぎて稜線に出る。山頂の三好神社が視界に入ってくる。ここから15分ほどで銀色に輝く大鳥居、

  社殿、参篭所そして一等三角点の有る山頂に到着。天気は曇りだが
まだ雨は落ちて来ない。男鹿半島、秋田駒、八幡平、秋田市がぼんやりと見える。下山開始。登りやす

  い道は下りやすい道、あっという間に御手洗。その後御滝神社に近づいた頃、ポツリと雨が落ちてきた。最後はトレラン
の要領で走っていく。あっという間に登山口で、何とか

  午前中に下りることができた。





 新幹線の秋田発は16時12分なのでまずは再度「木こりの宿」で汗を流し、秋田駅でレンタカーを返却、駅ビルでお寿司を食べ、新幹線に乗り込んだ。東京駅には20時過ぎに

 到着、自宅には21時過ぎに戻ってきた。


 今回の東北遠征はまずまずの天候に恵まれ、いずれも穏やかな山容の3座に登り、温泉、ブナ林そして紅葉をたっぷり楽しむことができた。

  
 
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