この4月に南会津の男鹿岳に友人と登ったが、今回はその近くの荒海山を目指すことにした。その時と同様、アクセスの手段として車を使わず電車とレンタカーを利用した。高齢者の長距離運転の危険性を考えてのこ
とだが、どちらを選ぶかの判断はなかなか難しい。荒海山は福島県と栃木県の県境にあり、分水嶺の山である。ここに降った雨は、北に流れれば荒海川、阿賀野川を経て日本海にそそぐ。南に流れれば、男鹿川、鬼怒
川、利根川を経て太平洋にl注ぐ。2015年の台風で林道が崩壊、今年の6月にようやく再整備されたとのことだ。
[行程]
2021年7月18日(日)
自宅9:15→浅草11:00→リバティ号117号→14:08会津田島→16:30湯ノ花温泉「末廣」
19日(月)
「末廣」4:55→5:15八総鉱山跡駐車場5:40→登山口5:50→尾根鞍部7:16→9:49山頂10:38→尾根鞍部13:40→登山口14:58→15:05駐車場15:10→16:00会津田島17:18→18:14下今市18:15→浅草→21:10自宅
[山行日誌]
2匹のネコ(ナツとモモ太)を留守番に残し、9時過ぎに家を出て、うだるような暑さの中、浅草から会津田島直通のリバティ号に乗車、3時間、車窓の景色を楽しんだり、
ガイドブックを見てコース状況を頭に入れたり,昼食を食べたりした。電車は1両に2〜3人で貸切のようだった。会津田島でレンタカーを借り、早速,滝原林道にある八総鉱
山跡の登山口の確認に行った。ヤマップで荒海山の地図を呼び出し、地図上のPマークをタッチするとグーグルマップに接続、ナビとして現地まで案内してくれる。お陰で迷
うことなく登山口を見つけることができた。その後、宿泊予定の南会津の湯ノ花温泉「末廣」に向かった。途中、雷雨に見舞われ、嫌な予感したが、雨に遭ったのはこの時
だけ、あとは好天に恵まれた。
湯ノ花温泉「末廣」は「日本秘湯の会」の会員旅館で、落ち着いた雰囲気に包まれていた。ヒノキの湯船は心地よく、料理もミニトマト、アスパラガスなどの野菜、イワナのチ
リソースなどどれも工夫が感じられ、とても美味しかった。最後に出された裁ちそばが少し堅めで、歯ごたえが有り中々の味だった。
翌朝、5時前に宿を出発、6時前に登山届を提出して歩き始めた。荒海川に沿って林道が作られているが、6年前の台風で激しくえぐられていて、ガードレールは折れ曲が
り、コンクリートの道床がめくれあがっている。「荒海山登山道」という標識や赤ペンキ、ピンクリボンの目印がふんだんにあり、コースを見誤ることはない。右岸、左岸を行っ
たり来たりしながら上流に登っていく。1時間ほど歩いてようやく沢から外れ、設置されたローを利用して急登を上がったところが尾根鞍部、番屋コースとの合流点である。
ここからブナ林の中、気持ちの良い尾根歩きと思っていたらとんでもない、次から次とアップダウン、入り組んだ木の根、えぐれて幅30センチくらいしかない道、そして頂上
近くのほぼ垂直のような急登。濡れた岩は滑りやすいのでゆっくり慎重に登る。幸いロープが設置してあるので何とか先に進める。登り始めて4時間、ようやく山頂に到着。
霞んでいて遠望ははっきりしないが、東に那須連峰、南に日光連山、その中でぴょこんと飛び出した日光白根山、西に会津駒ケ岳、北に七ケ岳、ほぼ360度の展望である
宿のおにぎり弁当がとても美味しく、二人とも全部食べて下山開始。好天のお陰で登山道上の岩や土が乾いてきて、往きほどは滑らない。唯、一度滑れば命取りになるの
で、登り以上に時間をかけて一歩一歩慎重に下山。尾根鞍部を通過、沢筋を抜けて、やっと登山口に戻ってきた.その後、レンタカーを返却、会津田島から野岩鉄道で下今
市まで行き、そこでスペーシアに乗り換え、21時過ぎに帰宅した。
今回の登山はコースタイム6時間30分のところ、実に9時間かかったが、決して楽ではない登山道を無事上り下りでき、改めて体力に自信を持つことができた。また、南会
津の緑豊かな自然、工夫の行き届いた料理、身体に染み入る温泉などを味わって、印象に残る山旅となった。