朝日岳(1945m)




  天候が不安定で予定していた奥三界岳や鉢盛山の登山計画が次々と流れ、8月の終わりに近づいてきた。天候の晴れ間を見つけ、谷川連峰の朝日岳に登ることにした。本来なら「馬蹄形コース」と言われる谷川岳→一

 ノ倉岳→武能岳→朝日岳→笠ヶ岳→白毛門→土合のコースが一般的だが、コロナのこともあり狭い山小屋の宿泊を回避するため、朝日岳ピストンというコースを選択した。朝日岳は谷川連峰の東部にあり、湯檜曾川源

 流の最
奥に聳える名峰で、稜線からは谷川岳東面の一ノ倉沢,幽ノ沢等の大迫力の岩壁を眺めることができる。

  [行程]
 
        2021年8月28日(土)

       自宅9:30→練馬IC→関越道→水上IC→15:00民宿「なかじま」泊

               29日(日)

       「なかじま」4:45→5:00土合駐車場5:10→7:19松ノ木沢の頭7:38→8:19白毛門8:30→9:15笠ヶ岳9:27→9:56大烏帽子10:06→10:34朝日岳山頂11:01→11:31大烏帽子11:41→12:11笠ヶ岳12:40→

       13:20白毛門13:36→14:12松ノ木沢の頭14:32→16:19土合駐車場16:30→水上IC→関越道→練馬IC→20:05自宅   

  [山行日誌]

今回、妻は急登の連続且つコースタイム10時間50分(日本三百名山 山歩きガイド JTB)ということで参加ぜず単独行となった。単独行は二百名山を終えて三百名山に取り

掛かって初めてのことで、南アルプスの笊
ケ岳以来となる。ひどい方向音痴の私にとっては道迷いが最大のリスク要因だが、幸い、今回のコースは明瞭で、他の登山者も大

勢いるので心配していない。


 1日目は民宿に到着するだけなのでゆっくり出発、渋滞の環八をいつもの倍の時間をかけて抜け、チェックインタイムよりかなり早く宿に到着した。土曜日にもかかわらず他

の客はおらず貸切状態である。のんびり過ごし
たが、不思議なことにほとんど眠ることができなかった。





 翌日は11時間の長丁場、しかも運転して帰らなければならないのに、焦れば焦るほど目が冴えてしまった。ようやく短時間眠って目覚ましの音で起き、宿の女将さん
に見送

られて5時前に出発、15分後に土合駐車場に着いた。かなりの数の車が駐車している。すぐに準備をして歩き始めた。昨日、登山口を確認の際にもらっておいた登山届をポ

ストに入れ、樹林帯に入っていく。ジグザグで急な尾根道に出る。これから延々と岩混じり、根っこが絡まった歩きにくい道が続く。天気は薄曇り、空気はまだ冷たいので、絶

好の登山日和である。ひたすら足を前に出し、2時間強の辛抱で松ノ沢の頭に到着。一呼吸入れる。谷川岳の一の倉沢の大岩壁が迫っているが、残念ながら山頂付近は濃

いガスがかかり、全体像がよく分からない。次に白毛門に向かう。露岩が増えてきてクサリ場やロープが何度も現れる。一つ一つを慎重に越えると白毛門。馬蹄形に並んだ

山々が霞んで見える。谷川岳の雪渓がアクセントとなっている。宿で用意してもらったおにぎりを食べる。ペットボトルは6本、万全である。白毛門から笠ヶ岳を目指して北に向

かう。




 行く手には笠ヶ岳、小烏帽子、大烏帽子の稜線が続いている。朝日岳はまだ陰に隠れている。笠ヶ岳の鞍部まで下り、ササや低木に覆われた道を登っていくと笠ヶ岳山頂。

 遠望は利かないが緑に覆われた山々が清々しい。山頂直下の鞍部に丸い屋根の避難小屋がある。4〜5人入れば一杯という小さなものだが、いざというときは頼りになる

 ササの生い茂る草原に所々高山植物が姿を現す。ハクサンフウロ、ミヤマアキノキリンソウ、ハクサンコザクラ、タカネバラなど賑やかである。息を弾ませながら小烏帽子

 大烏帽子を越え、狭い稜線の岩場の登り下りを幾度となく繰り返し、ようやく朝日岳山頂に到着。ガスが流れ、あっという間に峰々を隠すが、また、すぐに晴れる。唯、残念

 なことに谷川岳東面の大岩壁の上部はガスに覆われたままだ。尾瀬の燧ケ岳や至仏山、越後の駒ケ岳や中ノ岳が姿を見せている。記念写真を撮ったのち下山にかかる。







帰りの行程は長いのでのんびりはできない。唯、まだ午前中なので時間に余裕がある。馬蹄形の縦走路上には単独行やグループの登山者が次々とやって来る。大烏帽子、

小烏帽子を越えて笠ヶ岳で大休止。心配していた右膝が多少痛み出す。左膝とダブルストックでかばえば何とかなりそうだ。笠ヶ岳を下り、白毛門の急登を慎重に登る。白毛

門山頂には多くの登山者が休息している。ここでも小休止して屈伸を繰り返し膝をリラックスさせる。さらに松ノ木沢の頭で最後の小休止を取り、土合登山口には16時過ぎに

到着した。岩あり、根っこあり、段差ありの長い長い下りだった。車で着替え、すぐに帰宅開始。関越道の赤城高原SAで夕食を取り、その後、100キロ余り走って帰宅した。

 久しぶりの単独行、標高差1700bという体力勝負の難コースであったが、天候に恵まれ、何とか無事に乗り切れたことに大変満足している。谷川連峰の大岩壁、その壁を

刻む幾筋もの雪渓、ササが覆う緑の草原、足元に咲く高山植物、いずれもが長く記憶に残りそうだ。

  


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