三俣蓮華岳(2841m)


  「日本三百名山」完登に向けて残り17座となったが、残っている山の中で難峰の一つが三俣蓮華岳である。長野、富山、岐阜の三県境にまたがるこの山は北アルプスのほぼ真ん中に位置し、黒部方面、鷲羽方面そ

 して双六方面の三方の縦走路が集まっていることからこの名が付いたそうで、別名「アルプスの交差点」とも言われている。山自体の難易度はそれほど高くないが、北アルプスの最深部に至るまでの道のりが厳しい。

 [行程]   2022年8月21日(日)

      自宅5:05→調布IC→松本IC→国道158号線→9:30新穂高温泉10:00→11:20ワサビ平小屋12:10→12:29小池新道入り口12:31→13:50秩父沢14:05→15:15シシウドケ原15:20→16:22鏡平山荘泊

                    22日(月)

      鏡平山荘6:01→7:01弓折乗越7:19→8:38双六小屋8:53→11:30三俣蓮華岳12:00→12:27丸山12:33→14:08双六小屋14:30→15:50弓折乗越16:06→16:47鏡平山荘泊

                    23日(火)

     鏡平山荘7:00→7:45シシウドケ原7:50→8:50秩父沢9:10→10:03小池新道入り口10:05→10:20ワサビ平小屋10:40→笠新道登山口11:01→11:47新穂高温泉12:10→中ノ湯温泉→松本IC→調布IC→

     20:55自宅



[山行日誌]

 登山の1週間前から天気アプリ「登山天気」の情報に一喜一憂であったが、前々日からは21日(日)がD、22日と23日がCとなり、今回は無理かなと思ったが、時間予報を見る

と、昼間はほぼ降水量ゼロ、降っても小
雨程度と判断し、決行することにした。朝5時過ぎに出発、松本ICで高速を下りて上高地方面に向かった。安房トンネルを抜けて新穂高温

泉には9時半に到着、登山者専用の無料駐車場に車を入れ,左俣林道をちょう
ど10時に歩き始めた。天気は青空も見えまずまず、他の登山者も結構歩いている。笠新道への道

を左に見送り、広い林道をおしゃべりをしたり、スマホを見たりして進む。1時間ちょっとでワサビ平小屋に到着。小
腹が空いたのでワサビ平小屋の名物、冷やしソ-メンを食べる。




  
  冷たいソ-メンが喉を通って生き返る。たっぷり休憩した後、小池新道へ向かう。間もなく小池新道入口。鏡平小屋のオーナーが開いた小池新道、
現在もその息子さん

 が整備している。YouTubeで予備知識を得ていたが、本当に歩きやすい。段差や角度などが工夫されている。涸れ沢でも雨天の場合水が流れることを考慮して橋が架かっ

 ている。
この辺りから雨がポツポツ落ちだしてきたが、雨具を付けるほどではない。秩父沢、イタドリ沢と過ぎ、次のシシウドガ原で一休み。新穂高温泉の標高は1000b

 前後、本日の目的地鏡平山荘は2300b、およそ1300
b登るので決して楽ではない。16時半を過ぎそうなので山荘へ連絡を入れる。ようやく木道が始まり鏡池にやっ

 て来た。ガスがかかり何も見えない。池の周囲を回り、鏡平山荘に到着。多くの先着者が山荘から見える槍
ヶ岳や穂高岳にカメラを向けている。前回のアサヨ峰に懲りて個

 室を予約した。1人当たり5千円ほど割高だが6畳ぐらいの部屋を自由に使え、十分にその価値がある。着替え、雑談、睡眠、他の登山者に気を使う必要
が無いので、気

 が楽、疲労回復も早い。癖になりそうだ。宿泊者は定員(110名)の6〜7割入っているようだ。食事は2回制、アクリルで囲んだ席で、コロナに配慮している。野菜が多くとて

 も美味しく食べた。

 




 
 翌朝、5時過ぎに朝食を食べて6時ちょうど出発。北アルプス最深部の三俣蓮華に向かう。天気はほぼ快晴、槍、穂高、西鎌尾根などがくっきり青空に映える。まずは弓折

 分岐。約1時間で到着。登山者が大勢休んで
いる。この天気の恵みに皆満面の笑顔である。次の目標は双六小屋。ハクサンフウロ、ミヤマトリカブト、ミソガワソウなどの

 高山植物が咲き誇っている。花見平を過ぎアップダウンが徐々に厳しくなってくる。やがて双六
小屋の赤い屋根が見えてきてほっと一息。双六小屋で15分ほど休み。ここ

 から三俣蓮華へは双六岳経由、中道経由、巻道と3つの道が有るが、何となく楽そうな巻道を選んだ。だが決して楽ではなく、アップダウンが次
々に現れ、また、沢筋の急

 降下も油断ならない。唯、鷲羽岳、水晶岳が近くなり、その横に白い山肌の三俣蓮華が見えて来て励みになる。徐々に高度を上げようやく三俣蓮華の直下にやって来る。

 






 ザラザラの滑りやすい
道を一歩一歩進み、ようやく山頂へ。この頃、雲が多くなりガスが湧いてきて周囲の眺望を隠す。辛うじて鷲羽岳が見える程度。鏡平山荘で作っても

 らった弁当が有ったが時間の余裕がなく、行動食として持って来たパン
で間に合わせる。下山は中道ルートを選択し、丸山(2854m)へ向かって少し高度を上げる。こちら

 の道はなだらかではるかに歩きやすい。丸山を過ぎて下る一方となる。コバイケイソウの枯れた葉が一面に覆っている。
しばらくして双六岳に向かう道を右に分け、さらに

 下っていく。間もなくして双六小屋に到着。小雨が降り出す。小休憩の後、鏡平山荘へ。眺望は全くなくなり雨は断続的に降っている。雨具を付けるほどではない。アップ


 ウンを繰り返しようやく弓折乗越へ。小休止後最後の下り。山荘には何とか17時前に着くことができた。約11時間に及ぶ行動だった。夕食後、妻と私、二人とも爆睡だっ

 た。
翌朝、6時に出る予定だったが雨で、結局7時に雨具を付けて出発した。鏡池を通り小池新道に入る。シシウドガ原、秩父沢と下っていく。下からは老若男女、大勢の

 登山者が登ってくる。






   夏山シーズンの最後を北アル
プスで迎えたいという人たちだが、皆、一様に暗い。篠突く雨に不安を隠せないようだ。明日、晴れることを願わずにはいられない。小池新

 道入口を過ぎ、ワサビ平小屋に到着。名水のコーヒーを飲む。味はまずまず。


  新穂高温泉までは約1時間。雨に濡れながら飛ぶように下っていく。道が広くなだらかなので加速に任せ、12時前に新穂高温泉に到着。下山届を提出し、駐車場で帰宅

 準備。途中、安房峠沿いの中ノ湯温泉でひと汗
流す。ガラガラでのんびり寛げた。中央道が笹子トンネル付近で工事渋滞、3時間ほど遅れて21時前に帰宅した。

  北アルプスは昨年の蓮華岳以来だが、スケールの大きさ、山の深さ、登山道の歩きやすさを改めて感じ、その魅力を存分に味わうことができた。








 
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