「日本三百名山」完登に向けて残り7座となった。今回、南アルプス深南部の外縁に位置する高塚山に登ることにした。この山はシロヤシオ(別名五葉ツツジ)で有名だ。交通の便が悪く「遠い」山であったが、1976
年に南赤石林道が山犬段まで開通し、登りやすい山となった。唯、その後道路状況が悪化し、川根本町のおろくぼから先はゲートが閉じられ、通行禁止となっている。ヤマップやヤマレコのレポートを読んでみると、ゲート
前に車を停めて歩いている人、山犬段までゲートを開けて入っている人、ゲートを開けて入り、舗装されている大札山の肩登山口近くまで入っている人、様々である。考慮を重ねて、結局ツアーに参加して行けるところま
で行ってもらうことにした。早速探したところ、以前に何度か利用したP社が高塚山のツアーを実施していたので、早速妻と共に申し込んだ。
このツアーは初日東海道線の島田駅に集合、蕎麦粒山隣の大札山に登り、ウッドハウス「おろくぼ」に宿泊、翌日高塚山をピストンするという行程である。
[行程]
2023年5月20日(土)
自宅8:15分→新横浜9:21→10:02静岡10:09→10:37島田11:00→13:20大札山14:30→14:40「おろくぼ」泊
21日(日)
「おろくぼ」3:40→4:22大札山肩登山口4:28→5:01蕎麦粒山登山口5:11→6:44蕎麦粒山7:03→8:25三合山(みつあいやま)8:30→9:09高塚山9:32→10:08三合山10:14→五樽沢分岐10:53→12:24山犬段
12:29→大札山肩登山口14:03→16:30島田駅16:34→16:47静岡17:56→18:02新横浜→19:00自宅
[山行日誌]
少人数のツアーと思っていたが集合場所の島田駅で数えたところ、11名の参加者と2名のガイド、計13名の大パーティだった。高塚山のようなマイナーな山だから、参加
者はほぼ恐らく全員三百名山完登を目指していると思われる。車2台に分乗して最初の目的地である大札山肩登山口を目指す。天気は曇り、今にも降り出しそう。市街地
を通り抜け大井川に沿って走り、南赤石林道に入っていく。狭い急カーブの連続する道を登り、途中ゲートを開けてしばらく走り、大札山肩登山口に到着。昼食後大札山山
頂を目指す。40分ほどで山頂。視界はほぼゼロ。シロヤシオツツジの白い花がちらほら咲いている。今日は足慣らしなのですぐに下山、本日の宿のウッドハウス「おろくぼ
」へ向かう。「おろくぼ」では我々夫婦のために一部屋取ってくれ、食事も豪華で大満足の宿泊となった。朝も3時過ぎに食事を用意してくれた。
4時前に出発、昨日と同じ大札山肩登山口から蕎麦粒山登山口に向けて林道を歩き30分ほどで到着、今度は蕎麦粒山山頂に向かった。最初から急登の連続、まだ眠
っている体にはこたえる。奮闘1時間半ほどで山頂に到着。まだまだ先は長い。ふと目を凝らすとシロヤシオが満開、霧の立ち込めた朝のぼんやりとした空気の中ではっき
りと自己主張をしている。5枚の葉を枝先に付け、遠目では派手さはないが、近づくと漏斗状の大きな白い花が葉の緑に映えている。後で聞いた話では数年に1度当たり年
が有り例年よりたくさん花をつけるとのこと、どうやら今年が当たり年のようだ。
蕎麦粒山山頂で一休み後五樽沢のコルまで130mほど急降下、さらに登り返して三合山。この辺りからアカヤシオが時々登場する。
えんじ色に近い赤色でシロヤシオとは正反対の派手さ、緑の木々の間に目立つ。アカヤシオとシロヤシオの競演は自然からの贈り物、眺めたり写真に撮ったり忙しい。
ブナやツガの巨木の林立する美しい自然林が続く。下生えはササに変わっている。広々した台地上の尾根道をしばらく行くと高塚山山頂に到着。
樹林帯の中の山頂で展望はゼロ、バイケイソウの緑が歓迎してくれる。参加者の人達と雑談を交わしながらゆっくりと昼食を摂る。天気は晴れ、青空が樹幹から覗く。
下山開始。まだ9時過ぎなので余裕がある。早い出発のお陰だ。相変わらずシロヤシオが咲き誇っている道を進んでいく。時々シカのピーツという鳴き声が聞こえてくる。
巨木の生い茂る南アルプス深南部の風景だ。五樽沢分岐から林道に下り山犬段に向かう。中々厳しい道で落石が林道から溢れて道を塞いでいる所が3ヶ所もあり、妻はス
リングを身体に巻いてロープで確保されながら渡った。一歩間違えば滑落の危険があった。何とか無事に山犬段に到着。ここは以前は木材集積場だったそうで、広い駐車
場があり、丸太作りの大きくて頑丈な休憩舎が建っている。ザックを下ろして一休み。その後1時間半ほど林道を下って大札山肩の駐車場に14時過ぎに着いた。
歩行距離約24キロ、10時間半の奮闘だった。
今回の登山はシロヤシオが真っ盛り、新緑も美しく、大いに自然の豊かさ、奥深さを味わうことができた。それと共にガイドや他の参加者の方々に援助してもらったり、色
々な新しい情報を聞いたりしてとても印象に残る山行となった。
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