梅雨の谷間を狙って鳥取県と兵庫県の県境に位置する扇ノ山(おうぎのせん)を登ることにした。天気予報を見ると九州は大雨だが、中国地方は梅雨前線に隙間が有り、なんとか行けそうであった。扇ノ山は中国山地
の東にあり、鳥取市から眺めると、扇を広げた姿をしており、山名の由来となっている。トロイデ型の死火山で、噴出した安山岩が緩やかな溶岩台地となって平坦部を作り出し、末端では多くの谷や滝を形成している。
[日程]
2023年7月5日(水)
自宅10:30→11:50羽田空港13:15→14:40鳥取空港15:00→16:30鳥取自宅泊
6日(木)
鳥取自宅5:40→6:45河合谷登山口7:00→7:26小ズッコ7:31→7:55大ズッコ8:00→8:23山頂8:58→9:20大ズッコ9:25→9:46小ズッコ9:50→10:10登山口10:20→12:00鳥取自宅14:05→14:30鳥取空港15:15→
16:30羽田空港17:00→18:00自宅
朝、航空会社からは現在天候照会中で、強風で鳥取空港に着陸できない場合、羽田空港へ引き返すか伊丹空港に着陸する、という条件付きで出発する、との案内が来て
いた。祈るような気持ちで羽田空港に行き295便に乗った。70パーセントぐらいの搭乗率だろうか、皆さん、特に心配している様子もない。雲の中の飛行が続き鳥取空港
の上空に差し掛かり、空港周辺を眺めたところ、海は白波がたっておらず風もそれほどではないようなのでほっとした。無事着陸後レンタカーを借りてお墓参りを済ませ、
鳥取の自宅へ向かった。天候はすっかり回復、明日の好天を予感させてくれる。叔母の用意してくれた夕飯に舌鼓を打ち、翌日に備えて早めに就寝した。
翌朝5時に起き、6時前に出発。グーグルマップの案内で河合谷登山口に6時40分に到着。途中の県道はほとんど通る車が無いのか狭く危険な道であった。ガードレール
が無く両側が切れ落ちている箇所が連続、雨上がりでスリップしやすい場所もあり、およそ30分ほど慎重に運転した。準備をしてちょうど7時に出発、天気は晴れ、涼しい
風が吹き渡る。丸太の登山道から歩き始める。すぐ尾根道に入り、よく整備された道標に従って南に向かう。この辺り「ブナの回廊」と呼ばれていて登山道の両脇奥深くブ
ナ林が続く。雪の影響で大きく傾いたもの、隣のブナに寄り掛かったもの、すっくと空に向かっているもの、様々でその様子を見るのが楽しい。また、ブナの木々の間から渡
ってくる風がさわやかで生き返る。存分にブナの恩恵を味わいながら、緩やかな道を歩いていくと小ズッコ。更に歩を進めて30分弱で大ヅッコ。ここから緩やかに下って鞍
部の湿地帯、ここから最後の登りとなり、畑ケ原からのコースと合流しすぐに展望台。
鳥取市街地とその向こうに日本海が広がっている。まだガスがかかりはっきりとは見えない。このすぐ先が山頂。きれいな避難小屋が建っている。中を覗いてみると、建て
られたのは平成6年、白い壁と柱の木肌が美しい。まだ8時半なので写真を撮りゆっくりと昼食。遠くに氷ノ山の山頂避難小屋がはっきりと見える。展望はいまいちだが暑
からず寒からず、良い天候に恵まれた。ゆっくり休憩をして9時に山頂を出発。雰囲気を楽しみながら下っていく。登りとはまた異なるブナの伸びやかさを存分に味わう。あ
っという間に大ヅッコ、小ズッコを通過、1時間強で登山口に到着。帰りの道はどのコースを取るか迷った。朝と同じ道は通りたく無かったが、他の登山者に尋ねたところ、
他の道は更に厳しいとのことで止む得ず同じ道を取ったが、途中で抜ける道が有り何とか無事切り抜けた。正午に自宅に戻り、入浴を済ませ15時15分の便で帰ってきた。
今回の登山は梅雨の最中で色々困難はあったが、とても気持ちの良い印象に残る登山となった。扇ノ山の「ブナの回廊」とそこを通り過ぎる涼やかな風に癒され、また、標高差が300bほどで時間的にも体力的にも余
裕があったこともその一因となった。