夫婦で目指している「日本三百名山完登」の目標も残すは長野県朝日村にある北アルプスの前衛峰の鉢盛山、北アルプスの爺ケ岳、、そして最後はこれも北アルプスの朝日岳の三座となった。
鉢盛山は分水嶺の山で、南に流下して木曽川となり太平洋にそそぐ川と、犀川、千曲川、信濃川と名前を変えながら日本海にそそぐ川の水源となっている。地域の人々は古くからこの山を雨乞いの山として尊崇し、山頂
には朝日村、波田町(現松本市),木祖村、山形村のそれぞれの祠が祀られている。この山の登山には林道の利用は欠かせない。なぜならこの林道は12キロあり標高1737メートルの登山口まで連れて行ってくれる。林道
の利用方法は、事前に朝日村観光課に連絡を取り、林道ゲートの鍵の借用を予約し、当日図書館で受領する。実は昨年、カギを借用するところまで行ったが、ゲートへの道を間違えてしまい、登ることができなかったので
今年再挑戦することになった。
[行程]
2023年8月18日(金)
自宅5:00→調布IC→塩尻IC→8:00朝日村図書館8:15→8:20林道ゲート8:25→9:10登山口駐車場9:28→10:40村界尾根10:45→11:47鉢盛山荘11:50→12:00山頂12:10→12:15反射板12:45→山頂13:00
→鉢盛山荘13:10→村界尾根14:00→14:46登山口14:50→林道ゲート15:40→16:00朝日村図書館16:05→16:15朝日村役場17:00→塩尻IC→調布IC→21:30自宅
[山行日誌]
8月6日(日)に第5回鉢盛山トレラン大会が開催されるので林道の整備が行き届くはずとの読みで8月8日に鍵の予約をしたが、台風7号の影響で天気が悪そうなので、
結局8月18日(火)に延期した。当日は朝5時に自宅を出発、中央道を走り、塩尻インターで下りて国道19号に入った。少し走って朝日村に入り、予定通り8時に図書館に
到着、カギを借りて林道ゲートに向かい、5分ほどでゲートへ。カギを開け、ここからは林道を走る。整備はされているがかなりのガタガタ道でパンクの恐怖が湧いてくる。時
速10キロぐらいでゆっくり走り、45分ほどで登山口駐車場に到着。本日は我々の他に3団体登るそうだがまだ来ていない。天気は晴れ、まずまずの登山日和。いきなりカ
ラマツ林の中の急登から始まる。両側のササはきれいに刈られている。
トレランの大会の後らしくあと何分、あと何キロの表示が細かい。気温はかなり高く日の当たる登山道は汗が噴き出てくる。このコースの踏ん張りどころ、全力投球。この
道は2014年につけられた道で、新道らしく直線的でかつ急である。喘ぎながら1時間強頑張ると村界尾根に到着。朝日村と波田町(現松本市)の境界だろうか。小休止後
今度はなだらかな道が続く。森の中の気持ちの良い道だ。旧登山道分岐を過ぎ緩やかな登りを一頑張りすると権現の庭と呼ばれる湿地帯にやって来る。この辺り針葉樹林
が青空に映えて美しい。やがて前方にプレハブ作りの鉢盛山荘が見えてくる。山荘の周囲はカニコウモリの花が満開だ。ここから5分ほどで鉢盛山山頂。
山頂は樹木に覆われ展望は無いが北、中央、南のアルプスの山々を示す山名表示板が置かれている。前述のごとく4つの村の祠が各村の方向へ向けて祀られている。
人々の雨乞いの願いが込められている。一休み後5分ほど離れた電波塔で大休止。ここから見える槍、穂高、白馬、乗鞍、などは他の角度から見るのとは違っていて新
鮮だ、とのネットの情報が有り楽しみにしていたが、、残念ながら上部は白い雲に覆われている。それでも奥穂や北穂の中腹以下は何となくわかり、前衛の霞沢岳や焼岳
は全貌が分かる。乗鞍、御岳も半分見える。しばらく待ったが状況は変わらず諦めた。1時間近く休んだのち下山開始。山頂に戻ると単独行の登山者がやって来たので写
真を撮り合う。少し会話をした後、鉢盛山荘、権現の庭と下りて行く。歩きやすい。旧道分岐近くで3人グループと行き交う。もう1つのグループはキャンセルしたようだ。村
界尾根まで休まず一気に下りる。小休止後、ここからは急降下、慎重に歩を進める。35分ほどで登山口、5時間ちょっとで登山を終えた。帰りもノロノロ運転、5分ほど下っ
たところでクマの子供が林道に飛び出してきた。我々を見て慌ててガードレールを乗り越えて逃げて行った。愛らしい。林道中間ぐらいのところで今度はサルの一群が林道
に現れ、ゆうゆうと歩いている。単調な運転を和ませてくれる。下りも登りと同じぐらいかかったがタイヤは無事でほっと一息。
図書館でカギを返却、担当者に挨拶をしようとしたところ、役場で臨時の市場が開かれていてその手伝いに行っているとのことで、役場に尋ねて行った。昨年のこともあり我
々のことを覚えていてくれた。売り出していた三河のウナギを使った鰻丼を注文し、また、たくさんの野菜を購入して朝日村を後にした。帰りは小仏トンネルで2時間ほど渋
滞したが、妻にも約1時間運転してもらい、何とか眠気を克服して21時過ぎに帰宅した。
今回の登山は山自体は単調な登り下りであったが、山頂からの北アルプスの眺望、林道に現れた子グマやサルの1群、そして何より松本平の盆地に位置する朝日村の
整然とした野菜畑や出会った人たちとのふれ合いが印象深く残っている。