三百名山完登まであと朝日岳(富山県)と爺ケ岳を残すのみとなったが、ここからがなかなか進まなかった。肺の腫瘍手術(5月)を受け、6月と7月は静養及び回復に努め、8月の下旬に完登を目指したが、天候の不
順さに災いされて爺ケ岳は登れず、また、友人と設定した8月26日から28日の朝日岳登山は台風10号に阻まれた。1週間延期して8月31日〜9月2日にも設定したが、足の遅い台風でまたも日程がぶつかってしま
った。それでも友人と相談して朝日岳登山を10月初旬に設定、その前に爺ケ岳に登れば、今年の完登が可能となるということで、この登山を決めた。爺ケ岳は後立山連峰の一角にあり、この山域の盟主鹿島槍ヶ岳の
南に位置し、鹿島槍のついでに登る山という評判だが、山頂からは劒・立山、水晶、鷲羽、槍など北アルプスの展望台となっている。南峰、中央峰、北峰の三つの峰が有り、中央峰が最高峰であり、北峰への道はない。
[行程]
2024年9月25日(水)
自宅6:00→国立・府中IC→安曇野IC→10:45扇沢10:55→柏原新道11:07→16:34種池山荘泊
26日(木)
種池山荘5:34→6:47爺ケ岳南峰7:23→7:43中央峰8:04→8:20南峰8:27→9:04種池山荘9:36→14:22柏原新道登山口→安曇野IC→諏訪湖ISA18:05→調布IC→21:35自宅
[山行日誌]
北アルプスは一昨年の三俣蓮華以来3年ぶり、しかも手術から初めての本格的登山なのでとても緊張する。既に爺ケ岳は登っている妻を何とか拝み倒して同行しても
らった。国立・府中から中央高速に入り、平日で空いている道を順調に走り、安曇野ICで下りて、そこから扇沢まで1時間強。幸運にも柏原新道の近くの駐車場が空い
ていたので停めた。何とか11時までに着いて柏原新道を登り始めたいと思っていたのでギリギリ予定の範囲内。早速準備をしてクマ注意の標識が目立つ登山道に入
っていった。この道は爺ケ岳南峰に発する尾根に付けられている。本日の宿泊場所種池山荘までコースタイムは4時間だが、多分かなり遅れることを見込んでいる。
天気は前日の火曜日から木曜日までは天気アプリでAが付いていて特に本日は快晴に近い青空である。下に目をやると扇沢の駐車場の車の屋根が光っている。
上方に目をやると、対岸の山の谷筋に幾本も雪渓が見えている。9月の終わりなので雪渓は途中で途切れている。少し太目は針ノ木雪渓のようだ。その向こうに
は蓮華岳が見える。道は徐々に傾斜が増し細くなる。ガレ場を過ぎ石のゴロゴロした個所を過ぎたころバテバテ。今回初めて持参した酸素のスプレーを鼻で吸う。多
少息苦しさが楽になるが気休めのようだ。「石ベンチ」に着いたところで種池山荘に電話を入れる。16時までに宿舎に入ってくださいとの注意書きに30分ほど遅れそ
うだからだ。肺の吐く息の量が80%しか回復していない、との医者の話で、そのせいかゼイゼイする。最後の「鉄砲坂」を休み休みで乗り越えてようやく種池山荘の赤
い屋根にたどり着く。早速受付に行ったところとても親切で、個室を割り当ててくれ、しかもザックも持ってくれた。有難い。旅館並みである。個室のお陰で足を延ばし
ゴロゴロできる。平日のせいか登山客は40人ぐらいで定員の半分以下。夕食も朝食も落ち着いて食べられる。
夜中、久しぶりにオリオン座を見た。月明かりに邪魔されたがそれでも十分明るい。翌朝、朝5時の朝食を食べ出発の準備をして、6時に爺ケ岳に向かう。シラタマノキや
ハイマツの中を通って50分ほどで南峰に到着。北アルプスのスター勢揃いの眺望である。鹿島槍、劒、立山、針ノ木、蓮華、槍、穂高。快晴の空にくっきり鋭鋒を突き出し
ている。しばらく山座同定を楽しみ、その後30分ほどの中央峰に向かう。中央峰でも山座同定に時間をかけた。この景色はもう見納めだね、と妻と会話を交わしお別れ
種池山荘に戻り気合を入れ直して柏原新道へ。下りは長い。転倒に気を付けて一歩一歩下り、14時半過ぎにやっと登山口。約5時間かかったが、無事下りられて満足
帰りは中央高速の工事渋滞に巻き込まれ思ったより時間がかかったが、まずまずのドライブだった。
今回は三百山目の山となったが、手術後にしてはほぼ順調に登山ができ、また、久しぶりに北アルプスの重鎮の山々と会うことができ、大満足の登山となった。
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