通勤で溝ノ口から渋谷へ向かう途中多摩川を渡るが、北の方角に奥多摩、奥秩父の雲取山や三
峰山が見え、更にその北に見えるのが武甲山である。秩父盆地の南側に聳えるほぼ正三角形の
姿のよい山である。日本の近代工業を支えるセメント生産のため石灰岩の山肌が削られ、標高が
約150mほど低くなっている。北面は削られた斜面が白く光り痛々しいが、南面は豊かな森に覆わ
れ、渓流が流れている。今回は妻の教え子3名が同行し、賑やかな山行となった。
「行程」
2008年6月1日(日)
自宅5:20→府中本町6:00→中央道・圏央道・関越道→武甲山登山口8:40→9:20大杉の広場9:50→10:40山頂11:15→登山口12:50→武甲の湯
14:30→道の駅「芦ヶ久保」15:45→関越道・圏央道・中央道→19:10自宅
「山行日誌」
武甲山は学生時代にも来たことがあるが、今回は中央道と圏央道がつながり、また高速を下りてからも道路が
整備され、8時30分には生川集落にある一の鳥居に到着した。ここでもう一人の教え子が加わった。
しばらく渓流沿いのコンクリートの小道を登っていくと、表参道登山口に着く。苔むしているが恐ろしい顔をした狛
犬が4匹ほどいて出迎えてくれる。ここで表参道が始まる。すぐに涼しげな音を立てる不動の滝が左手に現れ、
さらに薄暗い杉林の傾斜の急な道を行くと、ほぼ中間地点の大杉の広場に出る。ここで一休み。
相変わらず杉の下道が続き、山腹を緩くまいて登っていくと、丸太の急な階段が現れる。ゆっくり踏
みしめて10分、御岳神社の社殿に到着。やはり2匹の狛犬が見張りをしている。御岳神社の背後
に第1展望台がある。鉄柵に囲まれた展望台からは、眼下に石灰掘削の現場が見え、眼を上げる
と、秩父盆地が一望である。
晴天に恵まれ、展望台は思ったより人が来ていて、いつまでも狭い展望台には居られない雰囲気
であったので、25分ほどで下山を開始した。帰りはアップダウンの少ない道なので、あっという間に
大杉の広場を過ぎ、1時間半で登山口に戻ってきた。
日帰り温泉「武甲の湯」にはもう一人の妻の教え子夫婦が待っており久し振りの再会を楽しんだ。
今日では環境問題が社会の主要なテーマになっていて、武甲山のような大規模な自然破壊はあり
得ないが、展望台で話を聞いた元秩父セメントに勤めていた方は、当時は秩父はセメントでもって
おり、環境破壊などと言うものは一人もいなかった、と言っていた。生活か自然か、というテーマは
今も昔も、更に世界中どこでも、人類の共通課題である。