焼石岳(1,548m)


                        昨年、登山口まで行きながら雷雨のため断念した秋田県の神室山と、秋田、宮城、岩手の3県の県境にある焼石岳に今年も挑戦することにした。

                      神室山はみちのくの小アルプスと呼ばれる神室連峰の主峰で、沢筋は浸食が激しく刀刃峰と称されるほど切れ落ちている。

                      焼石岳はその名で分かるように火山の山だが、歴史時代には噴火の記録のない死火山だ。花の山として有名で、その種類の多さと群落の大きさでは東北随一と言われている。


[行程]    2013年7月30日(火)

自宅8:20→9:30羽田空港10:50→12:00秋田空港12:30→18:00秋の宮温泉「鷹ノ湯」泊


               7月31日(水)

 「鷹ノ湯」5:30→342号線・397号線→8:30中沼登山口8:50→中沼9:14→10:33銀明水10:55→姥石平12:11→

12:35山頂12:40→銀明水14:22→15:59登山口16:15→
16:40ホテル「ブラン」

               8月1日(木)

 ホテル「ブラン」 9:30→象潟→秋田空港16:20→17:30羽田空港18:40→19:45自宅

                                         [登山日誌 ]

                  秋田空港でレンタカーを借り、竿燈祭りの準備で賑わう秋田駅周辺を見学後、本日の宿泊地である「日本秘湯を守

                 る会」会員の秋の宮温泉「鷹ノ湯」を目指した。
宿の近くに「雄勝こまち」というインターができ、秋田駅から1時間半で

                 宿に到着した。宿は昨年も宿泊した旅館で、野趣溢れる露天風呂が魅力である。役内川の水音を聴きながら
の入浴

                 は思い出深いものだ。
 
食事のメーンはイワナの刺身、脂がのっていてとても美味しかった。 登山の宿泊地は辺境

                 にあることが多く、食事には山菜や川魚が出され、イワナもよく食べるが、ここのイワナ
が今まで食べた中では最も美

                 味しかった。

         
週間予報では神室山登山日は曇り、焼石岳登山日は曇りのち晴れで、昨年のリベンジを果たせるかと期待したが、

急速に天候は悪化、梅雨明けは未だ先との予報に変わった。
今年も断念かと妻と話し合ったが、諦めきれず徒渉

がありコースも厳しい神室山を止め、比較的容易な焼石岳の登山口まで行って様子を見ることにした。 
登山口は

秋田県側の東成瀬村の登山口と岩手県側の中沼登山口のどちらにするか迷ったが、よりポピュラーな中沼登山口

を選んだ。
397号線から標識に導かれて尿前林道から中沼登山口に着いた。途中すれ違った2台の車の運転者に

尋ねたところ、どちらも雨がひどく木道が水没しているので引き返してきたと
のことだった。

                    
                
                駐車場は50台くらい入る大きなものだったが駐車しているのは6台。いずれも岩手ナンバー。 相変わらず雨はかなり

               降っていたが先行者がいるということで気持ちにゆとりが出て
きて、行けるところまで行くことにした。 

                  レインウエアー、スパッツ、ザックカバーと雨のための万全の準備をして9時前に出発した。登山届けに記入をしてまず
                
               目指すのは中沼だ。登山口にある木道は既に水没していて、飛び石伝いに歩く。30分弱で中沼に着いた。思ったよりずっ

               と大きな池で、ガスが湖面を多
い神秘的な雰囲気を醸し出している。シロバナシモツケソウ、ヒオオギアヤメ、トウゲブキ、
               
               等が出迎えてくれる。盛りを過ぎたヒメカイウ(水芭蕉)の大きな葉が不気味だ。池畔を4分
の1周くらい回り、更に上沼を

               目指す。
上沼は小さな池で、一面ミツガシラの小さな白い花が池面を埋め尽くしている。雨は間断なく降り続く。



上から下りてきた登山者と会話を交わす。銀明水から引き返してきたとのことだ。更に行くと20名くらいの団体が

下りてきた。銀明水小屋に宿泊したようだ。昨日の夕方は雨が止んでとても
良い天気だったそうだ。 また一人登

山者が下りてきた。もうこの山にいるのはあなた方とあと一人の登山者だけだから充分気をつけてくださいと言わ

れた。あと一人はどこで出会う
のか気になる。雪渓が出てきてその周囲にコバイケソウの白い花が揺れている。

大群落だ。 銀明水に到着。登山口から約1時間半。少し上がったところに銀明水小屋がある。朝食を取るため


に中へ入ってみるととてもきれいに整頓されれていて、登山者のマナーの良さが伺えた。宿で作ってもらった味噌

を塗ったおにぎりをお茶で流し込む。 

                  
                 ここから姥石平までが1.9キロできつく長い。登山道は岩がゴロゴロ、その間を水が勢いよく流れ、まるで沢のようだ。

                 靴はびしょ濡れだがさすがアルカの製品、靴の中は全く濡れ
ていない。雨は強くなったり弱くなったりだが止むことは

                ない。もうすぐ姥石平というところで中年の女性が下りてきて話しかけてきた。姥石平の近くに高山植物の大群落があり

               とてもきれい
だったとのことだった。この雨の中、全く動じることなく花を愛でている様子を見て、この山を知り尽くしている

               なと感じた。
ようやく姥石平に到着。残りは0.9キロ。遮るものがなくなったからだろうか、風雨が強まりまた視界もほとんど

               利かない。道を間違えないように分岐点には注意を払いながら一歩
一歩前進。ハクサンキンバイ、ハクサンチドリ、ハク

               サンフウロ、タチギボウシ、ヒメカイウ、イワイチョウなどが切れ間なく登場する。

                
                 登山口から4時間後に山頂に到着。もちろん誰もいない。セルフタイマーで写真を撮り、すぐに下山にかかる。

                      

登山道は一段と水が勢いを増しザアザアと音を立てて流れている。 姥石平近くの泉水沼で一休み。コンビニで

購入したパンとスポーツドリンクで昼食を取る。
銀明水小屋まで下りてきて一息。 薄暗くなり熊との遭遇を恐れ、

熊除けのスズを精一杯鳴らしながら歩く。 木道は降り続く雨でほぼ水没状態で、深みに嵌らないように浅いとこ


を探しながら下りていく。16時前に中沼登山口に到着。靴を脱ぎ、レインウエアー、スパッツを外すと中は全く濡れ

ていない。備えあれば憂い無し。


 本日の宿泊地は東成瀬村のホテル「ブラン」。 ネットで探したホテルだったが、これが大当たり。真ん前がスキー

場のゲレンデで眺めが良く、
部屋も十分な広さがあり、料金はリーズナブル、食事も色々手の込んだものを出して

くれ、最後に出されたトロロご飯も美味しかった。 焼石岳登山にはお薦めの拠点である。

                       
                   翌日は天気が良ければ神室山と考えていたが、相変わらず天気はぐずつき気味で登山を諦め、日本海の象潟を訪れた。天気はほぼ快晴、内陸とは随分違っている。道の駅「ね

                むの丘」でイワガキや海鮮丼を食べ,16時過ぎの便で帰宅した。

                   
                 今回の登山は終日雨の中で眺望を楽しむことはできなかったが、多くの生き生きとした高山植物の姿に接することができ、満足のいく山行となった。
雨もまた良し。

                        

               

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