荒 澤 岳 (1,969m)

                         
                      奥只見地方には名峰が幾つもある。平ケ岳、魚沼駒ヶ岳、八海山、,中ノ岳、荒沢岳など。隣の尾瀬には燧ヶ岳、至仏山。いずれも標高は2千メートル前後で、他の山に見られな

                     い特徴を持っている。山頂に広大な湿原をもつ平ケ岳、信仰の山の八海山、巨大な山塊の魚沼駒ヶ岳。では荒澤岳の特徴はと言えば、やはり穂高のジャンダルムと見紛う前グラであ

                     ろうか。前グラは小木の生えた巨大な岩塊で、その高さは30m以上あり、行く手を阻んでいる。

                      荒澤岳は百名山にも三百名山にもない深田クラブが独自に選んだ山である。登山道は中荒沢と蛇子沢の分水尾根に開かれたもので、一筋しかなく、また山頂から先にも登山道

                     はない。

               
                    
  [行程 ]  

                       2013年9月29日(日)

                       自宅10:10→練馬IC11:00→関越道→小出IC13:30→奥只見シルバーライン→14:00伝之助小屋

                           9月30日(月)

                       伝之助小屋5:30→登山口5:37→前山6:12→岩場7:17→9:32山頂10:15→岩場12:22→前山13:08→登山口13:30→銀山平温泉→小出IC→関越道→練馬IC→20:00自宅

                     
[登山日誌 ]

今回は険しく危険な山行ということで妻は回避、単独行となった。前回は平ケ岳に登った時にこの地を訪れたが、

あの時は近くの「清四郎小屋」に宿泊、露天風呂に入っている最
中に中越大地震に見舞われ、恐怖に襲われたが、

裸のため何もできず,じっとしているしかなかった。翌日は登山口まで送ってもらったが、途中地震による落石を拾い

ながらのドライ
ブであった。当日素晴らしい晴天で、平ケ岳山頂近くの池塘の草紅葉や越後三山の紅葉が未だに

眼に焼き付いている。



                      
                 伝之助小屋は越後駒ヶ岳、平ケ岳,荒澤岳などの登山基地として賑わっていた。夕飯でオーナーがツアーの紹介をして

                いたが、荒澤岳に登るのは私一人で、後は越後駒を目指
す人たちであった。
 
       
                 翌日は5時半に宿舎を出発、歩いて直ぐそばの登山口まで行ったところ、車が相模ナンバーと宇都宮ナンバーの2台停

                まっていた。平日はほとんど登る人はいないと聞いていた
ので先行者がいてほっと一息。一応熊除けのスズを鳴らし

                がら歩き始めた。


                  天気は晴れ、気温も低めで歩くには絶好のコンディション。 いきなりの急登を汗をかきながら進み、荒澤岳本峰を隠し

                ている前山(1,091m)へ。 この辺りの紅葉はまだまだだが、
東には越後駒ヶ岳がどっしりとした山塊、北東方向には薄い

                ガスに包まれた奥只見湖を眺めながら快調に登っていく。ブナやナラの大木が次々に現れ、のどかな越後らしい山道を

                味わう。



                    
「ここから岩場、キケン」の看板を過ぎると、ハシゴ、クサリが登場、緊張が走る。前グラが荒々しい姿を現す。ここか

らトラバース。ロープに捕まりながら慎重に歩を進める。下は
切れ落ちている。ようやくトラバースが終わると、いよい

よこの岩場最大のクサリ場。20m以上有る岩場がほぼ垂直に切れており、足がかりがよく見えない。腕力で支えなが

ら足がか
りを探すという作業を繰り返しながら、登っていく。足がかりが見つからず宙プラリンになることも。ようやく

這い上がって一安心。1,536m 地点である。やれやれと思ったが、この後の
稜線の道が長かった。しかし、展望が開

け、シャクナゲ、五葉松、シラビソなどが現れる。未丈岳、浅草岳、守門岳など越後の名峰も顔を出す。最後に2ケ所

ハシゴを越え山頂へ。

               


       
                   2等三角点のある山頂は360度の展望が拡がる。 南には燧岳、平が岳、日光白根、越後三山(八海山、中ノ岳、
             
                  駒ヶ岳)、北に守門岳、西に越後三山(八海山、中の岳、越後駒ヶ
岳)、取り分け中ノ岳の大きくてたおやかな姿が

                  印象的であった。


                    存分に山座同定を楽しみ、また紅葉真っ盛りの山頂付近の眺めを味わった後、下山に掛かった。いつもなら下山は

                  多少気持ちが緩むのだが、今回は前グラの下降を控えている
ので緊張感が続いている。余力を残しながら前グラの

                  下降に挑む。慎重の上にも慎重に下降する。最後のクサリを終えたときには肩の力がすっと抜けた。
後は紅葉や景

                  色を楽しみながら一気に下り、13時半には登山口に到着。伝之助小屋に立ち寄り、清酒「荒澤岳」を購入、銀山平
 
                  温泉で汗を流し、小出の道路沿いの店でキノコを
手に入れ、帰宅した。

                      
                   

                   荒澤岳は久し振りに歯ごたえのある山で、前グラの岩塊、急登、行程の長さ、いずれも中々のものであったが、眺望が素晴らしく、また越後の山のゆったりした感覚も味わえ、、印象に残る素

                  晴らしい山行となった。

                         

                         

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