昨年、長野県と新潟県の境にある鳥甲山に登ったが、中津川を挟んで向かい側にある佐武流山は、檜俣川増水で徒渉が出来ない恐れがあったので、回避した。
今回、その残した山に再挑戦することにした。
佐武流という響きの良い名前は、山頂の西にある佐武流沢から取られたもので、サブ・サビは水サビのこと、かっては鉄鉱山らしきものが有ったそうだ。
平成12年から廃道化した登山道を復活・整備したのは地元栄村ののボランティア団体「前進倶楽部」で、4年かかったそうだ。今年も8月に刈り払いなど登山道の整備
をしている。昨年、鳥甲山に登った際に、山頂でこの倶楽部のメンバーの方にお会いし、メンバーはもう4人しかおらず、登山道の維持が大変だ、とのお話しを聞いた。
佐武流山に登る際には是非この倶楽部の拠点であるヒュッテ「ひだまり」に泊まり、主催者である相澤さんに是非お礼を言いたいと思っていた。
9月2日〜3日に日程が取れたので早速「ひだまり」に連絡を入れたところ、空いているということで、前夜泊をお願いした。
[行程]
2016年9月2日(金)
自宅9:30→練馬IC10:30→塩沢・石打IC13:25→国道353号線→117号線→405号線→16:00 ヒュッテ「ひだまり」泊
9月3日(土)
「ひだまり」4:30→4:35ドロの木平登山口5:05→檜俣川徒渉点6:53→物思平7:48→ワルサ峰8:48→西赤沢源頭9:28
→坊主平9:41→10:22山頂10:40→ワルサ峰11:49→徒渉点13:19→ドロの木平登山口15:01→15:10ひだまり15:30
→塩沢・石打IC→練馬IC→21:00自宅
[登山日誌]
今回は妻が仕事があり久し振りの単独行となった。車の運転を全行程しなければならないこと、また、登山中のケ
ガなどはそのまま遭難に繋がるので、緊張感を持って行動しなければならない。自宅をゆっくりと9時過ぎに出発、
関越道塩沢・石打ICから国道を乗り継ぎ、4時前に「ひだまり」に到着、早速相澤さんに挨拶をし、感謝の気持ちを伝
え、登山道の状況を聞いた。既に山頂まで刈り払いをしたとのこと、今年は5名しかメンバーがおらず、山中にテント
を張るのではなく、通いで整備をした、とのことだった。クマの心配は不要とのことだった。
翌朝、4時に朝食を用意して頂き、4時半に出発、ドロの木平登山口に直ぐ着いた。、1台だけ車が有ったのでその後に出
発しようと思ったが、5時過ぎになっても出発しないので、ヘッデンを点け、先頭を切って登山口に入って行った。クマが多
いと聞いていたので、スズを二つザックに着け、ホイッスルを首からかけ、曲がり角ではホイッスルを吹いた。天候は快晴、
エラクボ林道、中津川林道、檜俣林道と3つの林道を経て、檜俣川徒渉点に到着、水深20センチぐらいの川を、浅瀬を探し
て飛び越えて渡った。緩やかなカラマツ林が直ぐに終わり、ブナやミズナラの中、急登が続く。汗が噴き出てきて、長袖を脱
ぎTシャツで登る。1時間ほどで物思平到着、一本立てる。対岸に赤茶けた岩肌のピラミダブルな猿面峰が見える。昨年登っ
た鳥甲山や以前に登った岩菅山も近い。岩に根が絡みついた歩きにくい道を慎重に登っていく。鋭く突き出たワルサ峰までやっ
て来た。苗場山の特徴のある山頂が間近だ。このとき東の方角を見ると、ガスがかかり始めこちらにゆっくりと流れて
きている。苗場山との分岐、西赤沢源頭を通過、ダケカンバの林の坊主平で一休み。。幾つもの尾根を越して山頂に
ようやく到着。既にガスに覆われ視界はゼロとなっていた。いつ雨が降り出してもおかしくない雲行きなので、セルフで
写真を撮って下山にかかる。このときもう一人の単独行が到着、会話を交わす。更に坊主平に向かう途中、男性3人
連れ、夫婦、単独行、と行き会う。皆、頂上まであとどれくらいですか、と聞いてくる。本当に長い道のりだ。唯、クマの
心配はもう無いようだ。天気もこの頃から回復、視界は利かないが青空が見えている。原生林の緑の中、気持ちの良
い道が続く。急降下の場所はいつもより一段とゆっくり慎重に下りる。瀬音が大きくなって徒渉点が見えてきた。ほっと
一息。行きと同じく浅瀬を目指して飛び越える。100m以上の急登を経て林道に出る。ここで油断したのか大転倒。林
道に切ってある水の通り道の溝に足を引っかけ、肩から倒れ込んだ。思わず、身体に手を当て、骨折や捻挫をしていない
かを点検。幸い、肩に打撲は負ったが他は大丈夫、思わず自分で自分を笑ってしまった。あれだけ急で木の根や岩が絡
んだ道を無事に下りてきたのに、こんな平地で転倒とは。
ドロの木平の登山口には3時に到着、「ひだまり」に寄って無事下山の報告をした。アイスコーヒーをご馳走になり、また、
名物の熱い温泉にも入れて頂いた。
帰りは眠気と相談しながら休み休み運転、9時過ぎに自宅に戻ってきた。
今回の登山は山頂までカヤを刈り、倒木や木の枝を除去してくれた「前進倶楽部」の皆さんのお陰、原生林に覆われれた
秘境の山を堪能できた。合計10時間の長い道のりで有ったが、それだけに登り甲斐が有り、達成感を感じる山であった。