今年(2016年)の夏から秋にかけての天候は不順で、台風の上陸数も異常に多い。4月、笈ケ岳、5月、池口岳、6月、鋸岳、7月、有明山、8月、カムエク、芦別、暑寒別、9月、佐武流と、
順調に二百名山の残りの山の数を減らしてきたが、ここへ来て足踏み、9月は予定していた山行は3回流れ、特に9月24日(土)〜25日(日)に予定していた中央アルプスの安平路山は、
中央高速の大月インターまで行って、天気予報の悪化によって引き返してきた。10月1日(土)〜2日(日)の南アルプスの大無限山も悪天候で中止、今年もこれで登り納めかと思ったが、
10月9日(日)〜10日(月)にダメモトで電話した徳本峠小屋が、丁度10分前にキャンセルが有った、とのことで予約が取れ、あとは天候待ちとなった。体育の日を含む3連休だが、初日と
2日目は雨、3日目は晴れとの予報、頼りにしている「天気と暮らす」のサイトでは、Cの予報でまたダメかと思ったが、天候の予想より早い回復に賭け、上高地に向かった。
霞沢岳は北アルプス常念山脈の南端の山で、北端の餓鬼岳と対峙している。上高地を挟んで穂高連峰と向かい合い、穂高岳の展望台として有名だが、この山自体を登る人は少ないとい
われている。いわゆる「不遇の山」である。
山名は霧が立ちこめるほど高い山だから名付けられたのこと、登山道は、松本電鉄の新島々から12キロに及ぶクラッシックルートと上高地からの2ルートしかない。
[行程]
2016年10月9日(日)
自宅6:30→国立府中IC7:20→松本IC9:30→沢渡10:50→11:20上高地13:00→13:30明神13:50→16:00徳本峠小屋泊
10日(月)
徳本峠小屋6:00→ジャンクションピーク7:14→K113:30→10:34霞沢岳山頂11:00→K1 13:30→ジャンクションピーク14:03→徳本峠小屋分岐14:49→明神16:00→上高地17:00→沢渡17:45
→松本IC 20:30→国立府中IC 23:20→24:00自宅
[登山日誌]
上高地の天候は曇りだった。周囲の山々の山頂はガスに覆われていたが雨が降り出すような気配がなかったので、
ほっとした。それとともに、予報サイト「天気と暮らす」の予報はC、その信頼性に?が付いた。久し振りの週末晴れ、
上高地にはたくさんの人が訪れていた。明神へ向かう途中、横尾街道を上高地に向かう雨具やスパッツを付けた多
くの人に出会ったが、皆表情が暗い。後から聞いた話だが、この日の朝8時まで暴風雨で、登山を諦め、山小屋で過
ごした人達だったらしい。我々も紙一重であった。明神からは明神岳がその鋭い穂先を天空に突き刺していた。太陽
が出て気温が上がり、気持ちの良い山歩きとなった。紅葉はまだ早いようで、赤や黄色より緑が優っている。 白沢、
黒沢沿いに樹林のなかの広い道を登っていく。更に詰めていくと道は狭くなり、ジグザグの急登が始まる。徳本峠と小
屋の分岐を過ぎると小屋は目の前だ。小屋の横にはテン場があり、テン場には30数張りのテントが張られていた。小
屋が満室状態なのも納得できる。満室でよく眠れるか心配だったが、8時間以上たっぷり睡眠時間が取れた。
一人一人のスペースがしっかり取られており、トイレや食事も良く工夫されていて、申し分なかった。日本の山小屋も居
心地良くなったものだ。
翌朝、朝食をゆっくり摂って6時に小屋を出発。本日は霞沢岳ピストン、更に上高地に戻り、自宅まで車を運転しなけ
ればならないので、気持ちがはやる。まずはジャンクションピークを目指す。西に向かい急登を越えてジャンクションピーク
に到着。ここからの穂高連峰の眺めは見事だ。最高峰の奥穂高岳を中央にして右に前穂、左に西穂、岩稜のヒダがはっき
りと見える。
ここからK1までの2時間半がこの山の核心部、急降下、湿地帯、急登を繰り返す。これだけ登り返しが多いと、行きも帰りも
かかる時間は変わりない。森林限界を超え、うんざりするほど上り下りを繰り返してようやくK1に到着。一休み。気合いを入
れ直して出発。K2を経てハイマツとシャクナゲの道を30分ほど歩いて山頂に到着。山頂から見ると、東に八ヶ岳、北に穂高岳、
北西に笠ヶ岳、西に白山、南に御嶽山など日本を代表する山々が鎮座している。何時間でも山座同定を楽しみたいところだが、
帰路の大変さを思い、30分ほどで下山にかかる。
黙々と歩き、K1を慎重に越え、登り返しに耐え、ようやくジャンクションピーク、水分を補給し直ちに出発。徳本峠分岐が
15時前、上高地→沢渡のシャトルバスの最終時間が気になり、走るように下って行く。明神には16時、上高地には17時前
に着いたが、何とか終バスに間に合った。
松本IC手前で渋滞に遭い、帰宅は丁度12時だった。
二百名山はあまり人に知られていない地域の山が多いが、やはり上高地は日本のアルピニズムの発祥の地。施
設、人、スケールの大きな景色、どれも一級品。バスから見た夕日に輝く穂高連峰の景色はしっかりと脳裏に焼き付いてる。