中央アルプスの寂峰、安平路山にいつ登るかはずっと頭の隅に有ったが、ネットの記事を読んでいたら、「東沢林道の修復工事を行っているので、今が好機だ」という記事が眼に
付いた。大平街道の大平宿から東沢林道を詰めてどこまで行けるかが安平路山登山のカギといわれ、特に悪路の征服が問題だと言われていたので、「梅雨前の安定した天気の今
しかない」と決断した。
中央アルプスは北アルプスや南アルプスに比べると人気がいまいちだが、北部の木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳は千畳敷までのロープウエーも有って、それなりに賑わっている。し
かし、南部の奥念丈岳、安平路山、摺古木山は大部分樹林帯で、ササヤブと倒木との格闘となる。
[行程]
2017年6月4日(日)
自宅6:00→中央道国立・府中IC→飯田IC→大平宿→11:40休憩舎12:00→摺古木山13:48→シラビソ山15:06→15:45避難小屋
5日(月)
避難小屋6:22→7:20山頂7:25→8:00避難小屋9:00→シラビソ山9:37→10:45摺古木山1147→13:13休憩舎13:15→14:00大平宿14:15→15:30砂払温泉16:10→飯田IC→国立・府中IC
→19:30自宅
[登山日誌]
日曜日の早朝ということで一般道、高速道ともに空いていて快調に走り、飯田ICに10時前に到着、ここから大平街
道、狭い山道であったが幸いほとんど対向車が来ず、大平宿に着いた。ここはかつて伊那と木曽を結ぶ要衝であ
ったが、昭和45年に集団離村して、無人の村となってしまった。予約をすれば宿泊も可能とのことだが、各家の痛
みが激しい。家は人が住まないと急速に傾いていくようだ。ここから東沢林道に入っていく。始めは舗装道、それか
ら砂利道となるが、やはりかなり荒れていて、車高の有る車でないと厳しい。直ぐに通行止めの柵があるが、脇に
除けて入って行く。更に道は悪くなり、陥没している箇所も次々と現れ、スピードを緩めて慎重に走る。ドライブレコ
ーダーの「衝撃録画を始めます」との声が、何度も何度も繰り返される。工事車両が止まっていて、通行止めの
表示があるが、それもパスして何とか休憩舎まで走った。車3台とバイクが駐車していた。下りてきた登山者3名
に登山道の様子を聞くと、山頂付近のササがひどいとのことだ。ここで簡単な昼食を摂って、ちょうど12時に休憩
舎横の登山道に入る。避難小屋宿泊なので、炊事用の水と飲料水合計6リットルが肩に食い込む。他におにぎり
衣類、燃料などで15キロ位の重さがあるようだ。いきなりの急登が厳しい。ササで覆われた道を一歩ずつ歩む。
カラマツの植林帯を登ると摺古木山への直登ルートと自然園経由に道が分かれる。直登ルートを取り、休憩舎
から1時間半ほどで摺古木山頂。 天気は晴れ、噴煙を吐く御岳や乗鞍岳、中央アルプスの木曽駒ヶ岳、南駒ヶ
岳等が一望できる。ここで一本立てて景色を楽しむ。山頂から北東へササの中を急降下、さらに何回かアップダウン
を繰り返してシラビソ山に到着。標識があるだけで展望はない。モミ、ツガ、ダケカンバ等の新緑が眼に飛び込んでくる。
ここからさらにアップダウンを何回か繰り返して、ササに囲まれたログハウス風の安平路避難小屋に到着。休憩舎か
らは3時間半ほどだ。小屋を覗くと何枚ものシュラフが干してあり、レトルト食品もあって、今にも人が帰ってくると思われ
たが、結局、誰も来ず、置きっぱなしになっていると分かった。カップ麺やおにぎりで夕食を済ませ、2階部分にウレタン
マットを敷いて寝ようとしたが、とにかく寒い。去年、池口岳で経験しているので、ダウンウエアーやセーターを用意してい
たが、それを全て着込んでも寒いので、置いてあったシュラフを5枚下に敷いたり上にかけたりして、ようやく寒さを凌いだ。
夜中には信じられないくらい大きな夏の星座を見た。月が満月で、ぼんやりしてしまったのは残念だった。翌朝、
6時過ぎに小屋を出発、ササを漕ぎながら山頂に向かう。所々残雪がコース上に残っている。時々道を見失うが
要所にリボンがあり、また、よく見ると何となくコースが見えてくるので、あまり苦労はない。1時間弱で3等三角点
のある山頂に着く。全く眺望はない。セルフタイマーで写真を撮り、直ぐに下山にかかる。小屋には40分ほどで到
着、パッキングをし、小屋の掃除をして出発。 摺古木山では1時間ほど山座同定を楽しんだ。北アルプスの穂高
槍、大キレットが霞んでいる。かつて縦走した木曽駒ヶ岳、宝剣岳、熊沢岳、東川岳などが懐かしい。昨年登った
池口岳の双耳峰も見える。
帰りは自然園経由で戻った。立木や倒木やササが次々と現れ、歩きにくい道であったが、休憩舎には13時過ぎに到着、早々に発車、工事現場の方に挨拶をし、大平宿に戻って来た。
砂払温泉で汗を流し、夕食を食べて、20時前に帰宅した。
今回は何とか休憩舎まで車で入れたことで、余裕をもって行動できた。頂上直下の避難小屋の赤い屋根が可愛らしく、ササに覆われた登山道とともにいつまでも記憶に残りそうだ。