「日本三百名山」のガイドブックを読んでいたら、佐渡島にその一つの金北山があることを知り、約30年前に家族で行った思い出をたどりながら、金北山に登ることにした。当時はカーフェリーしかなく、
3時間近くかけて佐渡へ渡ったのだが、現在はジェットフォイルを利用すれば、1時間強で渡ることが出来る。この時期、ドンデン山莊から白雲台への縦走がお薦めで、カタクリ、シラネアオイ、キクザキ
イチゲなどの高山植物が登山道の両脇に咲いている、とガイドブックで説明されており、1日目は観光、2日目は登山、と考え、準備を進めた。
[行程] 2018年4月30日(月)
自宅5:00→東京駅6:08→新潟駅→新潟港9:40→10:45佐渡 両津港→ドンデン山荘12:46→15:00宿根木16:00→17:30両津 ホテル「ヤマキ」泊
ホテル「ヤマキ」8:00→白雲台8:52→妙見山9:30→11:00金北山山頂11:30:→白雲台13:40→両津港16:25→17:30新潟港→新潟駅18:15→東京駅20:20→21:10自宅
[山行日誌]
事前に佐渡のトレッキング協会に電話をかけ、ドンデン山荘から金北山の縦走路の様子を聞いたり、ネットのヤマレコのレ
ポートを読んで、残雪が例年に比べて多い、との情報を得ていたが、縦走後のタクシーの予約や新幹線の時間などに気を
取られ、アイゼンとストックを忘れる、という大失敗をしてしまった。佐渡に上陸してから気が付いたので、止む得ず、アイゼン、
ストックなしでどう登るか、を考え、まず縦走はあきらめ、白雲台から防衛省管理道路を利用し、ピストンで金北山に登ること
にした。ストックはドンデン山荘の方が貸してくれるとのことで、佐渡の第一歩はドンデン山荘へストックを借りに行くところから
始まった。
除雪が終わり開通したばかりの81号線を走り、途中路肩にニリンソウやカタクリの花を見ながら、ドンデン山荘に昼過ぎ
に到着した。以前来た時から建て直され、きれいな建物になっていた。山荘で従業員の方からストックを2本借り、コース
を説明していただいたが、確かに残雪が多く、縦走が容易ではないことが分かった。人気のアオネバ渓谷を歩いて来た方
に尋ねたところ、シラネアオイやカタクリが満開とのことだった。
ここから観光を始め、前回訪れた大佐渡には行かず、小佐渡の先端の宿根木の集落を目指した。佐渡は東京23区の
広さがあるそうで、1時間30分近くかかって到着した。宿根木は「千石船と船大工の里」と呼ばれていて、国の重要伝統的
建造物群保存地区に指定されている。この日は集落全体で見学ツアーをやっており、北前船で栄えた廻船業の家々を見
学した。そのうちの一つ「清四郎」は千石船三艘を所有したそうで、家の内部にふんだんにヒノキを使い、また、ウルシを
何重にも塗った部屋があり、往時の繁栄ぶりを偲ばせてくれた。タライ舟が面白そうなので乗ってみた。ここでは「半切り」
と呼ばれている。オケをちょうど半分に切った姿から名付けられたそうだ。船頭の方が器用にカイを操り、前に進んだり、
横に曲がったりで、外海に出ても結構安定していた。本日の宿舎ホテル「ヤマキ」で新鮮な魚を味わい、夕食後には「佐
渡おけさ」の踊りのレッスンを受けた。旅の良い思い出となりそうだ。
翌朝は8時過ぎの出発、防衛省管理道路の出発点白雲台交流センターに9時前に到着、準備をして歩き始めた。すぐに
防衛省管理道路のゲートがあり、ロープを外して入った。事前に電話をして、住所、名前を告げ、30−96という許可番号を
得ている。片側1車線の広い道路で、両側の測溝には雪解け水が音をたてて流れている。ガスがかかり視界は数十メート
ル。風も強く多少不安になる。カタクリやフキノトウが群落で顔を出している。徐々に高度を上げていくと、周囲の残雪が深
くなって行くが、自衛隊が雪かきをしたのか道路上には雪はない。途中、道に迷い、妙見山の方に行って山頂まで行ったが
気が付き、また、戻ってきた。ブナの樹林帯を抜けると道路上に数十センチの雪が現れるが、また少しすると無くなり、そ
れを繰り返しているうちに、山頂直下にやってくる。ここの雪の層は厚く、キックステップで慎重に登っていく。
雪がかなり柔らかいので、滑り落ちる心配はあまりない。狛犬のお迎えを受けて山頂に到着。数名の登山者が昼食を食
べている。相変わらず風は強いが、ガスは薄くなり、ドンデン山荘からの縦走路が見えている。我々も昼食休憩。ホテル
に頼んだ弁当のおにぎりがとても美味しい。他の登山者とおしゃべりをしながら、景色を眺める。遠望は利かず、本土の
山は見えない。神社にお参りしたのち、下山にかかる。下山はあっという間で、1時間ちょっとで白雲台。少し休んだのち、
県道まで3時間歩く、という登山者を乗せて、バス停近くで下し、16時25分のジェットフォイルで新潟港に着き、新幹線で21
時過ぎに帰宅した。今回は久しぶりに大失敗をして多くの花を見損なってしまったが、金北山山頂を踏む、という最低限の
目標は達成できた。いつの日かこの縦走にトライしようと思っている。