第2編  教育工学からみた質的授業研究


3章 質的研究におけるコンピュータの活用

役割…質的研究の主要なデータであるテキストデータを作成し,管理し,検索棟の処理によって研究を支援すること。

 


1 コンピュータ利用以前の質的研究

 手書きのフィールドノート等によりカードを作成し,指標となるコードワードを付し,それをフォルダにファイルして,文字記録を管理していた。検索等の処理をするには,膨大な時間と労力がかかる。

 つまり,技術的な制限を受けていた。

 


2 質的研究のためのソフトウェアに求められる機能と専用ソフトウェア

  1. コード化と検索…コードワードを付して,検索をかける
  2. メモ書き,注釈
  3. 概念(コードワード)の定義(意味)の管理
    定義したコードワードの表示や,更新機能
  4. データリンク
    記録のある部分を同じまたは別の記録の特定の部分との関連づけ
  5. 概念のネットワーク化
    概念どうしの関連構造を入力して蓄積する機能。さらに,それにもとづいて,概念のネットワーク構造を表現するネットワーク図(意味ネットワーク)を作成表示する機能。
  6. 概念の階層構造化機能と理論構築支援機能
    分析のためのコードワードやカテゴリーなどを,その上位・下位概念等に階層構造化してデータベースに蓄積し,樹形図状に表示する。
     


3 質的研究での汎用ソフトウェアの活用
    (1) ワープロソフト
    (2) テキストデータ検索ソフト
    and,or,not等が使用できる。
    (3) 表計算ソフト
    (4) ハイパーテキストプログラムとWWW関連のソフト
     ハイパーテキストとは,文字だけでなく,静止画・動画・音声などを組み込んだ非線形的な文書で,しかも文書の特定の部分から他の部分や他の文書へと連結され,重層的な構造を有するもの。
     パソコン上では,HyperCardがよく知られている。
     HTML文書であれば,異なるコンピュータ間でもOK
     


4 フィールドコンピュータの利用の可能性
     観察あるいは面接現場に携行するコンピュータのことをさす。
 ただし,利用には注意が必要である。

 入力速度・授業の雰囲気への影響


5 コンピュータがデータや研究手法に及ぼす影響に着目する必要

 

 過去の記録にさかのぼって検索できるのは便利だが,データを眺め回すことから脱しえず,理論構築の段階に進みにくくなる危険性を有する。

 

 


 

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